富豪外科医は、モテモテだが結婚しない?

青夜

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《マルドゥック》 Ⅲ

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 「飛行」で《マルドゥック》たちと共に防衛線まで飛び、地上へ降りた。
 聖や皇紀はもちろん、スージーも「飛行:鷹閃花」を習得しているので自分で飛んでいる。
 俺は蓮花を抱えて飛んだ。
 蓮花が初めての「飛行」に興奮していた。
 大事そうに端末を握りしめ、何度も俺に顔を向け、嬉しそうに微笑んでいる。
 まあ、カワイイ。
 防衛線の端に降り、「エクスタームドタイプ」はそのまままだ空中にいて、ライカンスロープや妖魔の掃討を始めた。
 内蔵の「霊素観測レーダー」で敵を捕捉し、一撃で砲棘によって斃して行く。
 「アサルトタイプ」はまだ俺たちの傍にいる。
 敵がどう出るかと思っていたが、俺たちが新型を投入したことは分かったはずだ。
 それに少人数で来たことも。
 だから俺の予想通りに、数での制圧を決めたようだ。
 《ハイヴ》から無数の妖魔が出て来る。
 これまでは《ハイヴ》攻略の最初に「シャンゴ」を使っていたので、内部の妖魔ごと破砕してきた。
 今回も二体の《マルドゥック》で同様のことは出来るのだが、敢えて妖魔の出撃を待った。
 20体のデュールゲリエが空中へ上がり、記録データを取っていく。
 そのデュールゲリエたちが時々移動していた。
 端末を見ている蓮花が《マルドゥック》からの指示を受けていると言った。
 《マルドゥック》はデュールゲリエと連携し、最適解で行動させているのが分かる。
 デュールゲリエたちの安全を考慮しながら、記録データに必要な内容を指示しているのだ。
 俺と蓮花が「仲間を護って欲しい」と言ったことが実現していた。
 上空の哨戒機「ウラール」から霊素観測レーダーの情報が来た。

 「妖魔の数はおよそ4億です」

 「多いな」
 「「シャンゴ」が今までやっつけてくれてたんだな」
 「まあ、穴に閉じこもってるうちに全部死んじゃうもんな」
 
 俺と聖が暢気に話しているので、スージーが笑った。
 蓮花は持って来た端末を熱心に見ている。
 「エクスタームドタイプ」が出て来た妖魔を破砕していく。
 撃破速度が恐ろしく速い。
 膨大な数の敵に対し、砲棘の攻撃は全く撃ち漏らしが無い。
 砲棘の一撃で妖魔が確実に粉砕される。
 それを連射で同時に数千の砲撃で行なっている。
 途轍もない正確な攻撃だった。
 亜紀ちゃんであれば強力な技の一撃で多くの妖魔を斃せる。
 しかし破壊力がでかいために、攻撃された場所は破壊される。
 「エクスタームドタイプ」の攻撃は、妖魔一体ずつを狙うために、仲間が混戦状態でも使えるメリットが大きいことが証明された。

 「凄いですね!」
 
 スージーが驚いている。
 数百万の妖魔が数秒で続々と駆逐されていく様は、壮観だった。
 強い個体もいるのだろうが、一様に斃されて行く。
 「エクスタームドタイプ」の対妖魔兵器は実に有効であることが分かった。
 蓮花と同じく端末を見ている皇紀が目を輝かせて見ている。

 「タカさん! これで数の問題は解決しそうですね!」
 「まだ安心するな。今は数億だから楽勝だけどな。その千倍も来たらどうなるか分からん」
 「あ、はい!」

 まあ、千倍は無理でもある程度の規模までは対応出来ると考えてはいるが。
 でも、「業」が今後戦場に投入して来る妖魔は、もっと桁が違う可能性もある。
 あいつもまた強くなって行くのだ。
 「エクスタームドタイプ」は俺たちの近くの妖魔から駆逐しているので、俺たちは安全に観測していた。
 4億の妖魔は空中に上がり、密集して黒い山のようになっている。
 それに対して「エクスタームドタイプ」は身体の前面の砲棘だけを使って攻撃している。
 一撃で数十万だが、連射していくので、どんどん削り取って行く。
 妖魔の数が半減した頃。

 「《地獄の悪魔》4体が出現」

 「ウラール」からまた連絡が来た。
 直後に《地獄の悪魔》たちが出現する。
 その前に「アサルトタイプ」が空中に上がっていた。
 
 「トラ、いよいよか」
 「ああ」

 何度か見ている腕が4対のタイプが2体。
 それにドームタイプと鹿角タイプ。
 「アサルトタイプ」の攻撃が始まった。
 「アサルトタイプ」は全身をプラズマのような輝くエネルギーで覆い、「アサルトタイプ」の周囲に8個の光の珠が浮かぶ。

 「百目鬼家の「聖光輪」みたいだな」
 「そうなのか」

 聖はまだ百目鬼家の技を見ていない。
 俺はマンロー千鶴の技を見たことがある。
 それらから光が発され、3体の《地獄の悪魔》に当たった瞬間、3体が爆散した。

 「「「「おぉー!」」」」

 一撃だった。
 「魔法陣」を使わずに、また俺の「虎王」や聖の「華山」の武器ではなく《地獄の悪魔》を圧倒出来る攻撃は殆ど無い。
 「アサルトタイプ」が背中の《ズル=カルナイン》を抜いて、残ったドームタイプを斬り下ろした。
 ドームタイプから激しい電撃が飛んだが、「アサルトタイプ」は一切影響を受けなかった。
 ドームタイプが激しく切断面を燃やしながら、更に高熱が拡がりながら全身を焼失させた。
 「アサルトタイプ」は最初の攻撃で4体を同時に殲滅出来ただろうが、俺たちに《ズル=カルナイン》の威力と自身の防御性能を見せるためにドームタイプを残したのだろう。
 「エクスタームドタイプ」も殲滅を終えていた。
 どちらの《マルドゥック》も一切のダメージが無いことを、蓮花と皇紀が報告した。
 聖が笑いながら言った。

 「おい、もう終わりかよ!」
 「そうだなー」
 「とんでもねぇな!」
 「そうだなー」

 実際にこの目で確認し、《マルドゥック》の凄まじさを実感した。
 蓮花が頬を紅潮させて立っていた。

 「蓮花、大丈夫か?」
 「はい、皆様はいつもこのような凄まじい戦場にいらっしゃるのですね」
 「まあな。でも今日は楽勝だったぞ」
 「いえ、わたくしにも分かります。あのような怪物たちに満ちた瞬間は、恐ろしゅうございました」
 「そうだな、俺たちだって恐ろしいよ。敵は本気で俺たちを殺そうと来るんだからよ。でもな、お前や護りたい人間がいると思えば、どうにかしようとも思うぜ」
 「はい、有難いことでございます」

 聖とスージーが話し合っていた。
 戦場で自分たちと共闘する場合のことを話しているようだ。

 「トラ、こいつらは単独で運用するのか?」
 「そういう場合もあるだろうけどな。一応最初は拠点防衛に配備するつもりだ。でも作戦行動で一緒になる場合もあると思うぞ。未知の戦場ではなるべく連れて行きたい。「業」の反撃は膨大な妖魔と《地獄の悪魔》だ。それに対抗出来るだろうからな」
 「俺たちは必要ないんじゃないのか?」
 「それはない。《ハイヴ》の調査が必要な場合もあるし、単なる殲滅作戦だけではなく、救出作戦もある。それは《マルドゥック》には担えない。俺たちはぶっ殺しぶっ壊すだけじゃないんだ。それにお前も知っているように、戦場は千変万化だ。人間は必要だよ」
 「そうだな」

 聖は納得したようだ。

 「皇紀はどう見た?」
 「はい、戦力的には十二分だと思います。でも、「業」の方もいつまでもやられるばかりではないでしょう。きっと対抗手段を嵩じて来ると思います」
 「その通りだな。「業」は絶対に舐めて掛かってはいけない。俺たちは今後も進んで行かなければならん」
 「はい!」

 その後、アラスカから調査団を呼び、《ハイヴ》の調査をさせた。
 内部構造を解析出来る機会はあまりないので、今回はその意味でも有用な作戦となった。
 俺たちは後を任せて「タイガーファング」に乗って、アラスカへ飛んだ。
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