富豪外科医は、モテモテだが結婚しない?

青夜

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《ニルヴァーナ》との戦い Ⅴ

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 UFOは巨大なマザーシップに収容され、「虎星」へ向かった。
 と、僕は言われただけで、何も状況は分からなかった。
 広いラウンジのような場所で寛いだ。
 僕の他には石神さん、蓮花さん、ジェシカさん、ロボさん、それにデュールゲリエのルーさんとハーさんだ。
 その途上でジェシカさんが僕に「虎星」のことを説明してくれる。

 「そう言えば、稔は「虎星」は初めてだったよね?」
 「助かります。全然何も分からないまま連れて来られたんで」
 「アハハハハハハハ!」

 驚いたことに、石神さんのために作られた惑星とのことだ。
 テラフォーミングと言うらしい。
 地球と同じような環境に整えられているそうで、大気組成も調整されているから、宇宙服などは必要ないのだと。
 ただし、地球とは生態系が大きく異なり、巨大なドラゴンのようなものまでいるらしい。
 知的生命体もいて、人間と同じ種もいるけど、エルフ族や獣人族もいるとのことで驚いた、
 それは石神さんが「神素」をばらまいたからであり、一層分からない。
 しかも「魔法」まであるらしい。
 それは非常に興味があるけど、今はワクチンが優先だ。

 「現地の知的生命体とは既に翻訳機で会話も出来るのよ」
 「え、そうなんですか!」
 「うん、それも持って来ているし、デュールゲリエにも備わっているの」
 「すごいですね!」

 まったくスゴイことだ。

 「ドラゴンともね。ああ、ドラゴン族は石神さんの舎弟というか下僕になってるから」
 「……」

 なんですか?
 20分ほどで「虎星」に到着したので、短い間に要点をジェシカさんが上手く説明してくれた。
 降下艇で地表まで降りた。

 「うわぁ……」

 言葉にならなかった。
 地球とは異なる惑星だが、それが感覚的に分かる。
 大陸の形が地球とは全然違った。
 それに森林や草原、砂漠地帯まであるが、当然ビルなどは一つもない。
 降下艇は森林の脇に降りた。

 「蓮花、獣人族の村の辺りだったよな?」
 「はい、そう思います。虎人族の方々とお会いした時かと」
 「よし、行くぞ!」

 その時大きなドラゴンが飛んで来て僕はびっくりした。

 《主様!》

 テレパシーか!

 「よう! 今は急いでいるんだが、お前たちにも協力してもらうからな!」
 《なんでも仰って下さい!》

 石神さんが『ヴォイニッチ手稿』の写真を地面に拡げられた。

 「こういう植物を探してるんだ」
 《はい》

 白い巨大ドラゴンが写真を見ている。

 「どうだ?」
 《すいません、小さくて見えません》
 「使えねぇな!」
 《すいません、殺さないで下さい》

 巨大ドラゴンが頭を下げた。
 なんか凄く脅えている。

 「まあいい、行け」
 《はい!》

 白い巨大ドラゴンが飛び立って、その風圧で地面の写真が飛び散った。
 石神さんが怒って巨大ドラゴンに「槍雷」を何発も撃った。

 《ころさないでぇぇぇぇぇぇーーーー!》

 なんだろ?



 写真を集め、みんなで「虎人族」の村へ向かった。
 《朧》を着ているので、僕たちにも「飛行」が出来る。
 ただ蓮花さんは石神さんに抱えられていた。
 
 「お前、それ着てる意味ねぇよな?」
 「申し訳ございません……」

 蓮花さんの《朧》はネコ耳がついていて可愛らしい。
 《朧》の設計には蓮花さんも参加しているはずだが、運用は出来ないらしい。
 自動反応の制御なのだが、そのちょっとした動きが苦手なようだ。
 歩くことや多少走ることは出来るけど。
 まあ、蓮花さんらしい。

 石神さんが僕たちに合わせて飛んでくれ、数分で「虎人族」の村に着いた。
 素朴な木造の集落で、100人くらいいるらしい。

 『トラぁーー!』

 飛んで来た僕たちは大歓迎された。
 初めて見るが、顔がちょっと虎っぽい感じだ。
 頭の上に虎の耳があり、肩から背中にも虎縞の体毛がある。
 他は人間と同じだ。

 「よう! 今日はちょっと頼みごとがあって来たんだ」
 「なんだ?」

 デュールゲリエのルーさんとハーさんが通訳している。

 「これを探してる。ちょっと見てくれ」

 石神さんが木のテーブルに写真を広げた。
 村中の人間が集まって写真を見ている。
 みんなが石神さんを尊敬して慕っているのが分かった。

 「見覚えがあるのはねぇかな?」
 「ああ、これは知ってる。この近くでよく見かけるな」
 「そうか!」

 他の人間も幾つか知っていると教えてくれた。

 「すぐに探してこようか?」
 「ああ、頼む。俺たちも一緒に探すから」
 
 みんなで森に入って行った。
 ロボさんはどこかへ飛んで行った。
 ロボさんは自由な方だ。
 僕たちも一緒に森に入って、『ヴォイニッチ手稿』の植物を探した。
 1時間もすると、12種類が見つかった。
 すぐにコンテナボックスに収納された。
 
 ロボさんが見たことも無い巨大な魚を運んで来た。

 「にゃー」
 「おお、マッグロかぁ! ロボ、ありがとうな!」
 「マッグロだぁ!」

 村人がみんな喜んだ、
 すぐに石神さんが「花岡」の技で切り分け、蓮花さんが更に食べられる大きさに切って行った。
 虎人族の人たちは火を起こし、枝に突き刺して焼いたりしていく。
 蓮花さんは刺身盛を作っていく。

 「みんな食べてくれ」
 「トラ、レンカぁ!」

 40メートルもあるのでどんどん食べて行った。
 ロボさんは一番美味しいところを貰って喜んでいる。
 石神さんは幾つかの塊を持ってどこかへ飛んで行った。
 デュールゲリエのルーさんとハーさんも同行する。

 「エルフ族や人族の村に行くのよ。情報を集めるためでしょう」
 「そうなんですか」

 ジェシカさんが説明してくれた。
 僕たちは食事を終えるとまた周辺を探し回った。
 なんとしてもここでワクチンの原料となる植物を見つけるのだ。
 虎人族の方々も協力してくれた。
 また幾つか新たな種や同じ植物も増えて行った。
 本当に気の良い人たちで、一緒に探しながら僕も嬉しくなった。
 ここは優しい場所だと思った。
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