7 / 276
第一部
7 エレナの役割は悪役令嬢?
しおりを挟む
「さ。エレナお嬢様。寝巻きを脱ぎますよ。シリル殿下がいらっしゃる前に身を清めましょう」
メリーに連れ込まれたお風呂にはメイド達が待ち構え、真鍮の猫足がついた真っ白なバスタブが鎮座していた。
張られたお湯にはバラの花びらが浮かんでいる。
ラベンダーの香油でも垂らされているのかな?
バラの華やかな香りだけじゃなくて、落ち着く香りが充満している。
お姫様が入るような豪奢なお風呂に感動してたけど、我に帰る。
ん? 殿下に会うために……お風呂……?
わざわざ身を清めるの?
って、みっみっ身を清めて何するの⁈
えっえっ。
ちょっと待って。
さっ流石にこの世界……ぜっ、全年齢向け作品よね?
R-18の世界に転生したりしてないよね?
わたしは十八歳だからいいとして……
ん? よくないのかしら?
っていうか、不明瞭な記憶だとエレナはもうすぐ十六歳の誕生日を迎えるはずだから、まだ十五歳なんだけど!
心の中で慌てる私を尻目に、メリーや他のメイド達はどんどん準備を始める。
「エレナお嬢様。お風呂のご準備できましたよ。三日三晩寝込んでいらしたんだから汗を流しませんと」
あ、そっそうよね。
汗臭いお嬢様なんて嫌よね。
ホッとしたような……
そして、なぜか少しだけ残念な気持ちで着ていた寝巻きを脱ぎ、湯船に浸かる。
湯船に浸かりながらじっくり自分の身体を眺める。
転生して顔も変わったけど、身体もまったく違う。
すべすべもっちりの白い肌に、細く長い手足。
そして小柄で華奢だけど、ちゃんと出るところはでて……
というか、かなり豊かな胸で、女性らしい体つきをしている。
恵玲奈だった時は、悪目立ちしないようにダイエットもお洒落も意識して頑張っても、モブオタクでしかなかったのに。
「傷一つ残らず済んでよかったですねぇ」
うっとり自分の身体を眺めているとメリーに声をかけられ、焦る。
「……えっ……えぇ。見る限りどこも跡が残ってないわ。お医者様に感謝しなくっちゃ」
自分の顔に引き続き、自分の身体に見惚れていた事が恥ずかしくなり、怪我がないか確認していた事にした。
「さて、お召し物はどうしましょう」
お風呂で汗を流した後はメイド達に囲まれて身体を拭かれる。
手分けして香油を塗り込められて、髪の毛も丁寧にとかされると、今度は支度部屋に連れて行かれ、ソファに座わらされた私にメリーが声をかける。
可愛いらしいワンピース? がいっぱいあって、さすがお嬢様の支度部屋。
にしても……
生地や色合いの濃淡に差はあれど、ほとんどが、青地に金糸や銀糸の刺繍やレースがあしらわれている物ばかり……
これってあれよね。
きっとサラサラな淡い金色の髪の毛に深い湖のような碧い瞳……な殿下のイメージカラーよね。
……ベタすぎる。
エレナは殿下が好きで好きでたまらなくて、服まで殿下カラーに染めて恋焦がれてますよー!
ってアピールしてたのかな。
……愛が重いよエレナ。
それにしても、恵玲奈の記憶も不明瞭な上に、エレナの記憶も不明瞭なところが多い。
特に殿下に対する記憶がすっぽり抜けている感じがする。
エレナが殿下に対して好きな事はわかるけど、いつから好きとかなぜ好きなのかとか、具体的にどう思っているかは不自然と言っていいほど記憶にない。
思い出せないだけ?
それとも、エレナの殿下への想いは物語に必要じゃないとか?
でも、転生するほどハマった作品って考えると……
やっぱり背景をしっかり作り込んである作品じゃないとそこまでハマらないと思うんだよね。
これから殿下への想いを持ち始めるってことかしら。
婚約者なのに? こんなに殿下カラーの服ばかり用意して? そんなの不自然。
婚約者……ってもしかして……
エレナはヒロインのライバルで、婚約に固執して殿下とヒロインの恋路を邪魔するベッタベタな悪役令嬢って事?
そうか。それならつじつまが合う。悪役令嬢なら殿下の事が好きって情報さえあれば成り立つもんね……
いやいや。
まさか。
こんな可愛い少女が?
家族や使用人にこんなにも愛されてるエレナが、悪役令嬢になるなんて思えない。
考え込んでいるのをメリーには一生懸命に服を選んでいるように見えるらしく、あれはこれはと持ってくる。
「……まだ疲れやすいから、できれば楽な服が着たいわ」
装飾いっぱいのワンピースに着替えさせられそうだったので、思いついた可能性は胸の中にしまっておくことにして、ボロが出ないように簡単な服にしてもらった。
メリーに連れ込まれたお風呂にはメイド達が待ち構え、真鍮の猫足がついた真っ白なバスタブが鎮座していた。
張られたお湯にはバラの花びらが浮かんでいる。
ラベンダーの香油でも垂らされているのかな?
バラの華やかな香りだけじゃなくて、落ち着く香りが充満している。
お姫様が入るような豪奢なお風呂に感動してたけど、我に帰る。
ん? 殿下に会うために……お風呂……?
わざわざ身を清めるの?
って、みっみっ身を清めて何するの⁈
えっえっ。
ちょっと待って。
さっ流石にこの世界……ぜっ、全年齢向け作品よね?
R-18の世界に転生したりしてないよね?
わたしは十八歳だからいいとして……
ん? よくないのかしら?
っていうか、不明瞭な記憶だとエレナはもうすぐ十六歳の誕生日を迎えるはずだから、まだ十五歳なんだけど!
心の中で慌てる私を尻目に、メリーや他のメイド達はどんどん準備を始める。
「エレナお嬢様。お風呂のご準備できましたよ。三日三晩寝込んでいらしたんだから汗を流しませんと」
あ、そっそうよね。
汗臭いお嬢様なんて嫌よね。
ホッとしたような……
そして、なぜか少しだけ残念な気持ちで着ていた寝巻きを脱ぎ、湯船に浸かる。
湯船に浸かりながらじっくり自分の身体を眺める。
転生して顔も変わったけど、身体もまったく違う。
すべすべもっちりの白い肌に、細く長い手足。
そして小柄で華奢だけど、ちゃんと出るところはでて……
というか、かなり豊かな胸で、女性らしい体つきをしている。
恵玲奈だった時は、悪目立ちしないようにダイエットもお洒落も意識して頑張っても、モブオタクでしかなかったのに。
「傷一つ残らず済んでよかったですねぇ」
うっとり自分の身体を眺めているとメリーに声をかけられ、焦る。
「……えっ……えぇ。見る限りどこも跡が残ってないわ。お医者様に感謝しなくっちゃ」
自分の顔に引き続き、自分の身体に見惚れていた事が恥ずかしくなり、怪我がないか確認していた事にした。
「さて、お召し物はどうしましょう」
お風呂で汗を流した後はメイド達に囲まれて身体を拭かれる。
手分けして香油を塗り込められて、髪の毛も丁寧にとかされると、今度は支度部屋に連れて行かれ、ソファに座わらされた私にメリーが声をかける。
可愛いらしいワンピース? がいっぱいあって、さすがお嬢様の支度部屋。
にしても……
生地や色合いの濃淡に差はあれど、ほとんどが、青地に金糸や銀糸の刺繍やレースがあしらわれている物ばかり……
これってあれよね。
きっとサラサラな淡い金色の髪の毛に深い湖のような碧い瞳……な殿下のイメージカラーよね。
……ベタすぎる。
エレナは殿下が好きで好きでたまらなくて、服まで殿下カラーに染めて恋焦がれてますよー!
ってアピールしてたのかな。
……愛が重いよエレナ。
それにしても、恵玲奈の記憶も不明瞭な上に、エレナの記憶も不明瞭なところが多い。
特に殿下に対する記憶がすっぽり抜けている感じがする。
エレナが殿下に対して好きな事はわかるけど、いつから好きとかなぜ好きなのかとか、具体的にどう思っているかは不自然と言っていいほど記憶にない。
思い出せないだけ?
それとも、エレナの殿下への想いは物語に必要じゃないとか?
でも、転生するほどハマった作品って考えると……
やっぱり背景をしっかり作り込んである作品じゃないとそこまでハマらないと思うんだよね。
これから殿下への想いを持ち始めるってことかしら。
婚約者なのに? こんなに殿下カラーの服ばかり用意して? そんなの不自然。
婚約者……ってもしかして……
エレナはヒロインのライバルで、婚約に固執して殿下とヒロインの恋路を邪魔するベッタベタな悪役令嬢って事?
そうか。それならつじつまが合う。悪役令嬢なら殿下の事が好きって情報さえあれば成り立つもんね……
いやいや。
まさか。
こんな可愛い少女が?
家族や使用人にこんなにも愛されてるエレナが、悪役令嬢になるなんて思えない。
考え込んでいるのをメリーには一生懸命に服を選んでいるように見えるらしく、あれはこれはと持ってくる。
「……まだ疲れやすいから、できれば楽な服が着たいわ」
装飾いっぱいのワンピースに着替えさせられそうだったので、思いついた可能性は胸の中にしまっておくことにして、ボロが出ないように簡単な服にしてもらった。
28
あなたにおすすめの小説
【完結】【35万pt感謝】転生したらお飾りにもならない王妃のようなので自由にやらせていただきます
宇水涼麻
恋愛
王妃レイジーナは出産を期に入れ替わった。現世の知識と前世の記憶を持ったレイジーナは王子を産む道具である現状の脱却に奮闘する。
さらには息子に殺される運命から逃れられるのか。
中世ヨーロッパ風異世界転生。
【完結】第一王子の婚約者になりましたが、妃になるにはまだまだ先がみえません!
風見ゆうみ
恋愛
「王族に嫁いだ者は、夫を二人もつ事を義務化とする」
第二王子の婚約者である私の親友に恋をした第三王子のワガママなお願いを無効にするまでのもう一人の夫候補として思い浮かんだのは、私に思いを寄せてくれていた次期公爵。
夫候補をお願いしたことにより第一王子だけでなく次期公爵からも溺愛される事に?!
彼らを好きな令嬢やお姫様達ともひと悶着ありですが、親友と一緒に頑張ります!
/「小説家になろう」で完結済みです。本作からお読みいただいてもわかるようにしておりますが、拙作の「身を引いたつもりが逆効果でした」の続編になります。
基本はヒロインが王子と次期公爵から溺愛される三角関係メインの甘めな話です。揺れるヒロインが苦手な方は、ご遠慮下さい。
虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました
たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。
我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。
たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。
しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。
そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。
ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。
というか、甘やかされてません?
これって、どういうことでしょう?
※後日談は激甘です。
激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。
※小説家になろう様にも公開させて頂いております。
ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。
タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi(がっち)
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
そのご寵愛、理由が分かりません
秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。
幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに——
「君との婚約はなかったことに」
卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り!
え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー!
領地に帰ってスローライフしよう!
そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて——
「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」
……は???
お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!?
刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり——
気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。
でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……?
夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー!
理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。
※毎朝6時、夕方18時更新!
※他のサイトにも掲載しています。
見た目は子供、頭脳は大人。 公爵令嬢セリカ
しおしお
恋愛
四歳で婚約破棄された“天才幼女”――
今や、彼女を妻にしたいと王子が三人。
そして隣国の国王まで参戦!?
史上最大の婿取り争奪戦が始まる。
リュミエール王国の公爵令嬢セリカ・ディオールは、幼い頃に王家から婚約破棄された。
理由はただひとつ。
> 「幼すぎて才能がない」
――だが、それは歴史に残る大失策となる。
成長したセリカは、領地を空前の繁栄へ導いた“天才”として王国中から称賛される存在に。
灌漑改革、交易路の再建、魔物被害の根絶……
彼女の功績は、王族すら遠く及ばないほど。
その名声を聞きつけ、王家はざわついた。
「セリカに婿を取らせる」
父であるディオール公爵がそう発表した瞬間――
なんと、三人の王子が同時に立候補。
・冷静沈着な第一王子アコード
・誠実温和な第二王子セドリック
・策略家で負けず嫌いの第三王子シビック
王宮は“セリカ争奪戦”の様相を呈し、
王子たちは互いの足を引っ張り合う始末。
しかし、混乱は国内だけでは終わらなかった。
セリカの名声は国境を越え、
ついには隣国の――
国王まで本人と結婚したいと求婚してくる。
「天才で可愛くて領地ごと嫁げる?
そんな逸材、逃す手はない!」
国家の威信を賭けた婿争奪戦は、ついに“国VS国”の大騒動へ。
当の本人であるセリカはというと――
「わたし、お嫁に行くより……お昼寝のほうが好きなんですの」
王家が焦り、隣国がざわめき、世界が動く。
しかしセリカだけはマイペースにスイーツを作り、お昼寝し、領地を救い続ける。
これは――
婚約破棄された天才令嬢が、
王国どころか国家間の争奪戦を巻き起こしながら
自由奔放に世界を変えてしまう物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる