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第二部
11 エレナはお兄様の思惑にのりたくない
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面食いな隣国のお姫様が結婚相手として殿下の事を狙ってる。
……知りたくなかった。
そんな事を知ってしまったら案内係の役割を全うできる自信がない。
単純に殿下に興味があるお姫様の相手なんてしたくないっていうのも、もちろんあるけれど……
この世界がわたしが思い出せてないだけで、何か物語の世界だったとして……
お飾りの婚約者がいる王子様の元に、異国から虐げられているお姫様が現れて、本当の恋を知るなんて王道のロマンチックなストーリーだ。
まるで海外のロマンス小説みたい。
そんなロマンチックなストーリーでお飾りの婚約者であるエレナに期待される役割はやっぱり悪役令嬢に違いない。
……幼い頃から殿下の事を一途に大好きなエレナと、いきなり現れた面食いのお姫様ならエレナに報われてほしいけれど、それは私がエレナ視点だからそう思うだけよね。
きっとお姫様視点で見たら、エレナは自分の初恋を成就するために王子様に執着する、浅ましい我が儘な婚約者だもの。
「……お兄様。それって殿下もご存知なの?」
ソファで隣に座るお兄様の顔を覗き込む。
「ご存知ないと思うよ。あくまでもあの時知り合った商人から聞いた噂話だからね」
──あの時
コーデリア様の叔父様であるシーワード子爵が王室の許可なくイスファーンと取引を行なっているという情報を裏付けするために、お兄様は殿下に隠密活動を命じられていろんな夜会に参加して人脈を築いていた。
その中にはイスファーンの商人や船乗りたちもいて、いまもなんだかんだ上手く付き合っている。
お兄様はイスファーン語が出来るからって事だけでなく、その人脈も見込まれてご招待を受けている。
……殿下の都合のいい様にばかり話が進むと思っていたけど、お兄様の都合のいい様にも進んでる気もする。
まったく、この世界はイケメンに都合の良いことばかりだ。
「エレナは気にする必要ないよ」
「気にならない訳ないじゃない!」
「だって、今回いらっしゃるイスファーンの第三王女様って十四歳だよ?」
わたしは目を見開いた。
そうか。子供なのか。
「ほら殿下は婚約者は自分に利益があるに越したことはないとは思ってるかもしんないけど、相手が王女様で利益があるからって、さすがに子供を婚約者にしようとは思わないと思うよ。そもそも側妃の子であっちが後ろ盾を欲してるくらいだしさ。それに王室の偉そうな重鎮達だって普段から『エレナがちっとも成長しないで、まったく女性らしさのかけらもない』ってだけで、エレナの事を子供扱いして相応しくないって騒いでるくらいだから、本物の子供を婚約者に据えようとはしないと思う」
……ひどい。
「お兄様ひどいわ! お兄様の意見を素直に言うところは美点かもしれないけど、わたしに対してもう少し配慮が欲しいわ!」
王室の重鎮達から子供扱いされているのは甘んじて受け入れたとしても「エレナがちっとも成長しないで、まったく女性らしさのかけらもない」は、完全なるお兄様自身のエレナ評だ。
「えっと……ごめんね?」
この言い方はわたしが怒ってるからとりあえず謝っておこうとしてるだけなのが丸わかりで、ますます腹立たしい。
「私がなにに怒ってるかわかってらっしゃるの?」
「……ん?」
「もう!」
「大好きだよ僕の可愛いエレナ」
そう言ってお兄様はわたしを抱きしめて、おでこにキスして誤魔化そうとする。
あざとい。
自分がイケメンだってわかってるから、やる事がいちいちあざとい!
でも結局なんだかんだ言って甘やかして可愛がってくれるお兄様の事がエレナは大好きだし、わたしはイケメンに抱きしめられる事にときめいちゃうから簡単にほだされてしまう。
「お兄様! 絶対、絶対、ぜーったい! 殿下に王女様が接近しようとしたら邪魔してくださいね!」
お兄様に丸め込まれた気がして、誤魔化そうと反射的に口から出た台詞は、まるで悪役令嬢みたいだった。
……知りたくなかった。
そんな事を知ってしまったら案内係の役割を全うできる自信がない。
単純に殿下に興味があるお姫様の相手なんてしたくないっていうのも、もちろんあるけれど……
この世界がわたしが思い出せてないだけで、何か物語の世界だったとして……
お飾りの婚約者がいる王子様の元に、異国から虐げられているお姫様が現れて、本当の恋を知るなんて王道のロマンチックなストーリーだ。
まるで海外のロマンス小説みたい。
そんなロマンチックなストーリーでお飾りの婚約者であるエレナに期待される役割はやっぱり悪役令嬢に違いない。
……幼い頃から殿下の事を一途に大好きなエレナと、いきなり現れた面食いのお姫様ならエレナに報われてほしいけれど、それは私がエレナ視点だからそう思うだけよね。
きっとお姫様視点で見たら、エレナは自分の初恋を成就するために王子様に執着する、浅ましい我が儘な婚約者だもの。
「……お兄様。それって殿下もご存知なの?」
ソファで隣に座るお兄様の顔を覗き込む。
「ご存知ないと思うよ。あくまでもあの時知り合った商人から聞いた噂話だからね」
──あの時
コーデリア様の叔父様であるシーワード子爵が王室の許可なくイスファーンと取引を行なっているという情報を裏付けするために、お兄様は殿下に隠密活動を命じられていろんな夜会に参加して人脈を築いていた。
その中にはイスファーンの商人や船乗りたちもいて、いまもなんだかんだ上手く付き合っている。
お兄様はイスファーン語が出来るからって事だけでなく、その人脈も見込まれてご招待を受けている。
……殿下の都合のいい様にばかり話が進むと思っていたけど、お兄様の都合のいい様にも進んでる気もする。
まったく、この世界はイケメンに都合の良いことばかりだ。
「エレナは気にする必要ないよ」
「気にならない訳ないじゃない!」
「だって、今回いらっしゃるイスファーンの第三王女様って十四歳だよ?」
わたしは目を見開いた。
そうか。子供なのか。
「ほら殿下は婚約者は自分に利益があるに越したことはないとは思ってるかもしんないけど、相手が王女様で利益があるからって、さすがに子供を婚約者にしようとは思わないと思うよ。そもそも側妃の子であっちが後ろ盾を欲してるくらいだしさ。それに王室の偉そうな重鎮達だって普段から『エレナがちっとも成長しないで、まったく女性らしさのかけらもない』ってだけで、エレナの事を子供扱いして相応しくないって騒いでるくらいだから、本物の子供を婚約者に据えようとはしないと思う」
……ひどい。
「お兄様ひどいわ! お兄様の意見を素直に言うところは美点かもしれないけど、わたしに対してもう少し配慮が欲しいわ!」
王室の重鎮達から子供扱いされているのは甘んじて受け入れたとしても「エレナがちっとも成長しないで、まったく女性らしさのかけらもない」は、完全なるお兄様自身のエレナ評だ。
「えっと……ごめんね?」
この言い方はわたしが怒ってるからとりあえず謝っておこうとしてるだけなのが丸わかりで、ますます腹立たしい。
「私がなにに怒ってるかわかってらっしゃるの?」
「……ん?」
「もう!」
「大好きだよ僕の可愛いエレナ」
そう言ってお兄様はわたしを抱きしめて、おでこにキスして誤魔化そうとする。
あざとい。
自分がイケメンだってわかってるから、やる事がいちいちあざとい!
でも結局なんだかんだ言って甘やかして可愛がってくれるお兄様の事がエレナは大好きだし、わたしはイケメンに抱きしめられる事にときめいちゃうから簡単にほだされてしまう。
「お兄様! 絶対、絶対、ぜーったい! 殿下に王女様が接近しようとしたら邪魔してくださいね!」
お兄様に丸め込まれた気がして、誤魔化そうと反射的に口から出た台詞は、まるで悪役令嬢みたいだった。
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