249 / 276
第五部
43 王太子付き騎士候補ジェレミーの姉弟の密談【サイドストーリー】
しおりを挟む
繁華街の喧騒はどこかに、落ち着いた店内は人払いしており静かだ。
ジェレミーが主の依頼を糸目の男に伝え終えると、その男はかわいくもない顔を傾げた。
「……王太子殿下がトワイン侯爵令嬢を店に連れていらっしゃる時に、トワイン侯爵令嬢とバレないようにしながら恋人同士だということを知らしめるようにして欲しい? はぁ。義兄さん。言っている意味がわからないです」
「なにいっているのよ。アイザックってば。ジェレミーはわたしの双子の弟なんだから義兄さんなんて呼ぶ必要ないわ。ジェレミーなんてジェレミーで十分よ」
「メアリ。一応こんなでも義兄さんは生まれつきの貴族様だ。平民育ちの僕が呼び捨てなんて滅相もないことだよ。義兄さん呼びが許されないというのならジェレミー様とお呼びしなくちゃ」
アイザック── 双子の姉であるメアリの夫はわざとらしく首を振る。
「いやだわ。アイザックは縁あって男爵家の跡取りになったけど、ジェレミーは子爵家の次男だからそのうち貴族じゃなくなるのよ? ただのジェレミーに成り下がるんだから呼び捨てでいいのよ」
「おい。なんでメアリが勝手に決めてんだよ! ってぇ!」
机の下で的確に蹴られた脛をさする。
「じゃあアイザックに義兄さんだとかジェレミー様だとか呼ばれたいの? クソみたいなプライドね」
「別にそんなふうに呼んでくれなんて頼んでない。好きなように呼べばいいだろ」
「じゃぁ義弟くんがいいかな!」
「それがいいわね!」
「なにが義弟君だよ。ジェレミーでいい。ジェレミーって呼んでくれ」
「だったらさっさとそう言いなさいよ。私に会いに来たと思ったら、王太子殿下のご依頼だなんて言ってまどろっこしい話を始めるんだもの。なんだかお貴族様アピールでもしたいのかと思っちゃったじゃない?」
「メアリは生まれも育ちも貴族のお嬢さんで、いまは男爵家の若奥様なんだからメアリこそお貴族様らしく振る舞っていいんだよ。トワイン産蒸留酒の復興に目が眩んだ父さんに感謝しないと。ああもちろんメアリがエレナ様と縁を結んでくれたのにも感謝しても感謝しきれないと思ってるんだよ」
「あぁもう! 話が進まねぇ」
その叫び声にタイミングよく二本の手が差し出され「どうぞ」と話を促される。
悪びれない笑顔に苛立ちが募ったジェレミーは舌打ちをした。
「別に話したくないなら話さなくていいわ」
「だぁ。もう! 舌打ちして悪かったよ。だから、要は、なんていうか、エレナ様が街じゃ嫌われて好き勝手言われてるのは二人だって知ってる話だろ?」
「そうなのよね。王立学園で騎士を目指すご令息たちはドン引きする勢いで『エレナ様は女神様だ』なんて手のひら返しまくってるから街の噂もあっという間に誤解が解けると思ってたんだけど」
「まあ、正教会や軍部は今の王室から権力を奪いたい奴らが多いからねぇ。ほら聖女様に騎士団を帯同させてこれみよがしに遊行なんかさせちゃってさ。聖女様も有能だから行く先々で病人を癒したりして信奉者が増えているでしょ。同行の騎士団も見目麗しいご令息ばかり集めてるから女性たちの黄色い悲鳴が鳴り止まないらしい」
「あら情報通」
「そりゃ、御用聞きしてれば嫌でも情報は入ってくるさ」
「だから! 話を聞いてくれって!」
テーブルを勢いよく叩いたジェレミーは再び差し出された手にため息をつく。
「わかってやってるだろ」
「からかって悪かったわよ。わざわざジェレミーが私たちに会いに来てくれたから嬉しくなっちゃったのよ」
(思ってもないこと言いやがって)
文句が言いたいのを悪びれない顔のメアリを睨むことで我慢をする。
「……で、好き勝手言ってる街の奴らは誰もエレナ様をみたことがない。みたことがないのは外に出せないほど不細工だからだとか益々悪い噂ばっかり広がっているだろ?」
「そうね」
「だから、その悪い噂を吹き飛ばすために王宮役人たちの騒動を今度は王都で仕掛けようってことだ」
その言葉にメアリは唸り声をあげた。
「もしかして、エレナ様を女官見習いとして王宮に出仕させたのも王太子殿下の策略なの?」
「さあ、俺は知らないけど」
「メアリ。なんのこと?」
アイザックが興味津々でメアリに問いかけるのをジェレミーは目で牽制する。
「ああ、ほらエレナ様がイスファーン語が堪能だからって王宮にお手伝いにあがられたでしょ? あの時王太子様の婚約者として補佐でもされるのかと思ったのに、蓋を開けたら女官見習いとしてお仕事されることになっていたのよ。まあ役人たちはそんなこと知らないから、突然イスファーン語が堪能な美少女が現れたと思ったらその美少女から今まで誰からも向けられたことのない尊敬の眼差しを向けられて、まあ自尊心くすぐられまくりの承認欲求びたびたに満たされまくりだったわけよ。最初の方は手を出そうとしてた役人もいたけどお互いに牽制しまくって最後はもう崇拝に近い熱狂だったのよ」
「メアリ」
「しかもその間エレナ様は女官見習いへの崇拝なんてこれっぽっちも届いてないの。領地の方がもっとあからさまで歩こうものならみんなこうべを垂れてひざまずいてお祈り始めちゃうらしいから気が付かないのも仕方ないんだけど。で、エレナ様の元に届くのは『それに引き換え、王太子様の婚約者は小太りの醜女のくせに傲慢で癇癪持ちの役立たず。早く婚約破棄されないものか』だなんて言葉ばかりなわけ。なのにそんな言葉に涙をこぼしても前を向くひたむきなエレナ様に正体を知る女官たちはもう絆されまくりで王太后様に冷遇されてた女官たちが結束してエレナ様派を作り始めちゃうのよ」
「メアリ!」
「で、もうイスファーンとの交易に関する取り交わしが終わってエレナ様がもう王宮に出仕しなくなるって頃に正体をどーんよ。本当に大騒ぎだったんだから」
「メアリ‼︎ 王宮内の出来事をあんまりベラベラ喋んなよ‼︎」
「ああ、ごめん。ごめん。もうこれ以上は黙るわ」
「全部言い終わってんだろ!」
ジェレミーの牽制は当たり前のようにメアリに無視され、結局のところ詳らかにされていた。
「どこまで王太子殿下のご計画だったかはわかんねえよ。王太子殿下は『たまたま、私に都合よくことが運んだだけだよ』なんておっしゃるだけだ」
「まあ、つまり王宮内で起こった『たまたま』を今度は作為的に王都でやろうってことだね」
そう言って糸目の奥の瞳がキラリと輝く幻影をジェレミーは一瞬見た気がした。
ジェレミーが主の依頼を糸目の男に伝え終えると、その男はかわいくもない顔を傾げた。
「……王太子殿下がトワイン侯爵令嬢を店に連れていらっしゃる時に、トワイン侯爵令嬢とバレないようにしながら恋人同士だということを知らしめるようにして欲しい? はぁ。義兄さん。言っている意味がわからないです」
「なにいっているのよ。アイザックってば。ジェレミーはわたしの双子の弟なんだから義兄さんなんて呼ぶ必要ないわ。ジェレミーなんてジェレミーで十分よ」
「メアリ。一応こんなでも義兄さんは生まれつきの貴族様だ。平民育ちの僕が呼び捨てなんて滅相もないことだよ。義兄さん呼びが許されないというのならジェレミー様とお呼びしなくちゃ」
アイザック── 双子の姉であるメアリの夫はわざとらしく首を振る。
「いやだわ。アイザックは縁あって男爵家の跡取りになったけど、ジェレミーは子爵家の次男だからそのうち貴族じゃなくなるのよ? ただのジェレミーに成り下がるんだから呼び捨てでいいのよ」
「おい。なんでメアリが勝手に決めてんだよ! ってぇ!」
机の下で的確に蹴られた脛をさする。
「じゃあアイザックに義兄さんだとかジェレミー様だとか呼ばれたいの? クソみたいなプライドね」
「別にそんなふうに呼んでくれなんて頼んでない。好きなように呼べばいいだろ」
「じゃぁ義弟くんがいいかな!」
「それがいいわね!」
「なにが義弟君だよ。ジェレミーでいい。ジェレミーって呼んでくれ」
「だったらさっさとそう言いなさいよ。私に会いに来たと思ったら、王太子殿下のご依頼だなんて言ってまどろっこしい話を始めるんだもの。なんだかお貴族様アピールでもしたいのかと思っちゃったじゃない?」
「メアリは生まれも育ちも貴族のお嬢さんで、いまは男爵家の若奥様なんだからメアリこそお貴族様らしく振る舞っていいんだよ。トワイン産蒸留酒の復興に目が眩んだ父さんに感謝しないと。ああもちろんメアリがエレナ様と縁を結んでくれたのにも感謝しても感謝しきれないと思ってるんだよ」
「あぁもう! 話が進まねぇ」
その叫び声にタイミングよく二本の手が差し出され「どうぞ」と話を促される。
悪びれない笑顔に苛立ちが募ったジェレミーは舌打ちをした。
「別に話したくないなら話さなくていいわ」
「だぁ。もう! 舌打ちして悪かったよ。だから、要は、なんていうか、エレナ様が街じゃ嫌われて好き勝手言われてるのは二人だって知ってる話だろ?」
「そうなのよね。王立学園で騎士を目指すご令息たちはドン引きする勢いで『エレナ様は女神様だ』なんて手のひら返しまくってるから街の噂もあっという間に誤解が解けると思ってたんだけど」
「まあ、正教会や軍部は今の王室から権力を奪いたい奴らが多いからねぇ。ほら聖女様に騎士団を帯同させてこれみよがしに遊行なんかさせちゃってさ。聖女様も有能だから行く先々で病人を癒したりして信奉者が増えているでしょ。同行の騎士団も見目麗しいご令息ばかり集めてるから女性たちの黄色い悲鳴が鳴り止まないらしい」
「あら情報通」
「そりゃ、御用聞きしてれば嫌でも情報は入ってくるさ」
「だから! 話を聞いてくれって!」
テーブルを勢いよく叩いたジェレミーは再び差し出された手にため息をつく。
「わかってやってるだろ」
「からかって悪かったわよ。わざわざジェレミーが私たちに会いに来てくれたから嬉しくなっちゃったのよ」
(思ってもないこと言いやがって)
文句が言いたいのを悪びれない顔のメアリを睨むことで我慢をする。
「……で、好き勝手言ってる街の奴らは誰もエレナ様をみたことがない。みたことがないのは外に出せないほど不細工だからだとか益々悪い噂ばっかり広がっているだろ?」
「そうね」
「だから、その悪い噂を吹き飛ばすために王宮役人たちの騒動を今度は王都で仕掛けようってことだ」
その言葉にメアリは唸り声をあげた。
「もしかして、エレナ様を女官見習いとして王宮に出仕させたのも王太子殿下の策略なの?」
「さあ、俺は知らないけど」
「メアリ。なんのこと?」
アイザックが興味津々でメアリに問いかけるのをジェレミーは目で牽制する。
「ああ、ほらエレナ様がイスファーン語が堪能だからって王宮にお手伝いにあがられたでしょ? あの時王太子様の婚約者として補佐でもされるのかと思ったのに、蓋を開けたら女官見習いとしてお仕事されることになっていたのよ。まあ役人たちはそんなこと知らないから、突然イスファーン語が堪能な美少女が現れたと思ったらその美少女から今まで誰からも向けられたことのない尊敬の眼差しを向けられて、まあ自尊心くすぐられまくりの承認欲求びたびたに満たされまくりだったわけよ。最初の方は手を出そうとしてた役人もいたけどお互いに牽制しまくって最後はもう崇拝に近い熱狂だったのよ」
「メアリ」
「しかもその間エレナ様は女官見習いへの崇拝なんてこれっぽっちも届いてないの。領地の方がもっとあからさまで歩こうものならみんなこうべを垂れてひざまずいてお祈り始めちゃうらしいから気が付かないのも仕方ないんだけど。で、エレナ様の元に届くのは『それに引き換え、王太子様の婚約者は小太りの醜女のくせに傲慢で癇癪持ちの役立たず。早く婚約破棄されないものか』だなんて言葉ばかりなわけ。なのにそんな言葉に涙をこぼしても前を向くひたむきなエレナ様に正体を知る女官たちはもう絆されまくりで王太后様に冷遇されてた女官たちが結束してエレナ様派を作り始めちゃうのよ」
「メアリ!」
「で、もうイスファーンとの交易に関する取り交わしが終わってエレナ様がもう王宮に出仕しなくなるって頃に正体をどーんよ。本当に大騒ぎだったんだから」
「メアリ‼︎ 王宮内の出来事をあんまりベラベラ喋んなよ‼︎」
「ああ、ごめん。ごめん。もうこれ以上は黙るわ」
「全部言い終わってんだろ!」
ジェレミーの牽制は当たり前のようにメアリに無視され、結局のところ詳らかにされていた。
「どこまで王太子殿下のご計画だったかはわかんねえよ。王太子殿下は『たまたま、私に都合よくことが運んだだけだよ』なんておっしゃるだけだ」
「まあ、つまり王宮内で起こった『たまたま』を今度は作為的に王都でやろうってことだね」
そう言って糸目の奥の瞳がキラリと輝く幻影をジェレミーは一瞬見た気がした。
42
あなたにおすすめの小説
【完結】【35万pt感謝】転生したらお飾りにもならない王妃のようなので自由にやらせていただきます
宇水涼麻
恋愛
王妃レイジーナは出産を期に入れ替わった。現世の知識と前世の記憶を持ったレイジーナは王子を産む道具である現状の脱却に奮闘する。
さらには息子に殺される運命から逃れられるのか。
中世ヨーロッパ風異世界転生。
侯爵令嬢リリアンは(自称)悪役令嬢である事に気付いていないw
さこの
恋愛
「喜べリリアン! 第一王子の婚約者候補におまえが挙がったぞ!」
ある日お兄様とサロンでお茶をしていたらお父様が突撃して来た。
「良かったな! お前はフレデリック殿下のことを慕っていただろう?」
いえ! 慕っていません!
このままでは父親と意見の相違があるまま婚約者にされてしまう。
どうしようと考えて出した答えが【悪役令嬢に私はなる!】だった。
しかしリリアンは【悪役令嬢】と言う存在の解釈の仕方が……
*設定は緩いです
断罪される前に市井で暮らそうとした悪役令嬢は幸せに酔いしれる
葉柚
恋愛
侯爵令嬢であるアマリアは、男爵家の養女であるアンナライラに婚約者のユースフェリア王子を盗られそうになる。
アンナライラに呪いをかけたのはアマリアだと言いアマリアを追い詰める。
アマリアは断罪される前に市井に溶け込み侯爵令嬢ではなく一市民として生きようとする。
市井ではどこかの王子が呪いにより猫になってしまったという噂がまことしやかに流れており……。
【完結】私ですか?ただの令嬢です。
凛 伊緒
恋愛
死んで転生したら、大好きな乙女ゲーの世界の悪役令嬢だった!?
バッドエンドだらけの悪役令嬢。
しかし、
「悪さをしなければ、最悪な結末は回避出来るのでは!?」
そう考え、ただの令嬢として生きていくことを決意する。
運命を変えたい主人公の、バッドエンド回避の物語!
※完結済です。
※作者がシステムに不慣れかつ創作初心者な時に書いたものなので、温かく見守っていだければ幸いです……(。_。///)
※ご感想・ご指摘につきましては、近況ボードをお読みくださいませ。
《皆様のご愛読に、心からの感謝を申し上げますm(*_ _)m》
【完結】初恋相手に失恋したので社交から距離を置いて、慎ましく観察眼を磨いていたのですが
藍生蕗
恋愛
子供の頃、一目惚れした相手から素気無い態度で振られてしまったリエラは、異性に好意を寄せる自信を無くしてしまっていた。
しかし貴族令嬢として十八歳は適齢期。
いつまでも家でくすぶっている妹へと、兄が持ち込んだお見合いに応じる事にした。しかしその相手には既に非公式ながらも恋人がいたようで、リエラは衆目の場で醜聞に巻き込まれてしまう。
※ 本編は4万字くらいのお話です
※ 他のサイトでも公開してます
※ 女性の立場が弱い世界観です。苦手な方はご注意下さい。
※ ご都合主義
※ 性格の悪い腹黒王子が出ます(不快注意!)
※ 6/19 HOTランキング7位! 10位以内初めてなので嬉しいです、ありがとうございます。゚(゚´ω`゚)゚。
→同日2位! 書いてて良かった! ありがとうございます(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)
成人したのであなたから卒業させていただきます。
ぽんぽこ狸
恋愛
フィオナはデビュタント用に仕立てた可愛いドレスを婚約者であるメルヴィンに見せた。
すると彼は、とても怒った顔をしてフィオナのドレスを引き裂いた。
メルヴィンは自由に仕立てていいとは言ったが、それは流行にのっとった範囲でなのだから、こんなドレスは着させられないという事を言う。
しかしフィオナから見れば若い令嬢たちは皆愛らしい色合いのドレスに身を包んでいるし、彼の言葉に正当性を感じない。
それでも子供なのだから言う事を聞けと年上の彼に言われてしまうとこれ以上文句も言えない、そんな鬱屈とした気持ちを抱えていた。
そんな中、ある日、王宮でのお茶会で変わり者の王子に出会い、その素直な言葉に、フィオナの価値観はがらりと変わっていくのだった。
変わり者の王子と大人になりたい主人公のお話です。
悪役令嬢に仕立て上げたいのならば、悪役令嬢になってあげましょう。ただし。
三谷朱花
恋愛
私、クリスティアーヌは、ゼビア王国の皇太子の婚約者だ。だけど、学院の卒業を祝うべきパーティーで、婚約者であるファビアンに悪事を突き付けられることになった。その横にはおびえた様子でファビアンに縋り付き私を見る男爵令嬢ノエリアがいる。うつむきわなわな震える私は、顔を二人に向けた。悪役令嬢になるために。
死に戻りの悪役令嬢は、今世は復讐を完遂する。
乞食
恋愛
メディチ家の公爵令嬢プリシラは、かつて誰からも愛される少女だった。しかし、数年前のある事件をきっかけに周囲の人間に虐げられるようになってしまった。
唯一の心の支えは、プリシラを慕う義妹であるロザリーだけ。
だがある日、プリシラは異母妹を苛めていた罪で断罪されてしまう。
プリシラは処刑の日の前日、牢屋を訪れたロザリーに無実の証言を願い出るが、彼女は高らかに笑いながらこう言った。
「ぜーんぶ私が仕組んだことよ!!」
唯一信頼していた義妹に裏切られていたことを知り、プリシラは深い悲しみのまま処刑された。
──はずだった。
目が覚めるとプリシラは、三年前のロザリーがメディチ家に引き取られる前日に、なぜか時間が巻き戻っていて──。
逆行した世界で、プリシラは義妹と、自分を虐げていた人々に復讐することを誓う。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる