もう二度と乙女ゲームはしない

こうやさい

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なくても描いてる人かと

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 バッドエンド後は知らないけど、彼には画家という職業の他に、学園の美術教師という定職がゲーム中にはあった。はっきり確認していないけど、今もそうなんだろう。
 ……てことは、一回は確実に休ませたよね、たまたま何かの休みに被ってただけかもしれないけど。
 ゲームではヒロイン達に週一で教えている設定だったけど、あれで全員じゃないだろうし同じ日に教えているのでなければ更に休ませてる事になる。夕方に姿を見かけたイベントは確か授業と曜日が違っていたし。……まさか、常勤ではないと思う。

 その間彼はあたしにべったり……という訳ではなかった。
 少し大きな声を出せば聞こえる程度の距離で、けれど別の部屋にいることが多かった。
 もしかしたら何かをしていたのかもしれないけれど、少なくとも愛人を連れ込んでいちゃつくのは不可能だろう。

 絵も描いていなかった――少なくとも集中しては描いていなかったはず。動くのなら呼んでと言われたから一応呼んだらすぐに返事あったし。
 描くのに集中すると周りの音が聞こえないというベタな設定が確かあった。攻略が上手くいってるとその状態でも気づいてくれるのが早くなったような、どういう意味かはとにかく。
 じゃあ他人がいると描けないって訳じゃないんだからアトリエ用意する必要ないんじゃ、連れ込むため用? と思ってたけれど、こういう立場になってみると同じ家の中にいるのにほとんど存在を無視されるというのは一緒にいるほうがキツイだろうなと思い当たった。目は見えなくなるわけじゃないけれど、キャンパスかモチーフを見てるわけだし。そこまで集中しているのをたいした用でもないのに強引に打ち切って邪魔するのは忍びない。……だからといってヒロイン相手みたいに待ってたら気づいてくれるとは限らないし。
 衝動的に深く描きたくなったりはしないのかなと思ったけれど、メリハリをつけるタイプなのかもしれない。
 正直意外だ、ゲームからはそんな印象を受けない。淫らと思ってるならだけよと後で思い出して頭を抱えたツッコミをした程度には絵を描いていた人だから、てっきり暇があれは……なくても描いてる人かと。
 だとすればこの距離感はこちらを気遣ってのものだろう。
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