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28 彼の罪
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◇◆◇
何かを迷っている様子のジュリアスは私のテントに着いても、なかなか口を開こうとはしなかった。
私はそんな彼を、急かすようなことはするべきではないと感じていた。
私のテントの外は、ざわざわと騒がしかった。エセルバードの様子がおかしいのは、誰だってわかるはずだし、落ち着くのに苦労しているのかもしれない。
「……聖女様。僕は彼の罪を、自分が引き受けることに決めました。それが、あの時に一番良い選択肢だと考えたからです」
言葉を選んだ様子のジュリアスは、いつの間にか伏せていた顔を上げて私を見ていた。
「エセルバードが殺してしまったんですね……けど、どうしてそんなことに?」
どうしてエセルバードがしてしまった殺人なのに、ジュリアスが犯人になることになったの……?
いくら一国の王の命令だとしても、息子の殺人をそんな方法で隠蔽するなんて普通なら考えられない。
「僕はもう結婚する気がその時に既になかったんです。だから……爵位なども弟に譲りました。エセルバード殿下の子は、もうすぐ産まれようとしていました」
庶民を孕ませたって、言ってたものね。最低でしかないけど。
「あの……エセルバードは、何歳のお話ですか?」
「十四の時のことです。まだ、殿下も子どもと言える年齢でした」
そんな幼い年齢でとんでもないことをしたエセルバードにも驚いたけど、ジュリアスが彼を庇おうと思った事情がなんとなくわかった。
ああ……だから、すべての罪をかぶったんだ。
「そして、思ったのです。いつか大きくなった時に、父親が司祭を殺してしまった罪を犯した王子だとわかれば……この子が傷つくだろうと」
「ジュリアス……」
「事件のあった時に、僕は既に救世の旅を二回やり遂げていました。汚名を着ることに躊躇いと大きな葛藤はありました。僕へ向けられた多くの期待を裏切り、失望されるだろうと思いました」
ジュリアスが泣いていると気がついたのは、その時だ。
気がつけば薄い緑色の瞳から、涙がこぼれ落ちていた。
「ですが……それは、我慢出来ると思いました。人の記憶は時が経てば、風化してしまうものです。王族の落胤は良くあることです。現にその時の殿下の子は、とある傍系の貴族の家の養子に入りました……僕はあの時の選択を、今も後悔はしていません」
何かを迷っている様子のジュリアスは私のテントに着いても、なかなか口を開こうとはしなかった。
私はそんな彼を、急かすようなことはするべきではないと感じていた。
私のテントの外は、ざわざわと騒がしかった。エセルバードの様子がおかしいのは、誰だってわかるはずだし、落ち着くのに苦労しているのかもしれない。
「……聖女様。僕は彼の罪を、自分が引き受けることに決めました。それが、あの時に一番良い選択肢だと考えたからです」
言葉を選んだ様子のジュリアスは、いつの間にか伏せていた顔を上げて私を見ていた。
「エセルバードが殺してしまったんですね……けど、どうしてそんなことに?」
どうしてエセルバードがしてしまった殺人なのに、ジュリアスが犯人になることになったの……?
いくら一国の王の命令だとしても、息子の殺人をそんな方法で隠蔽するなんて普通なら考えられない。
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庶民を孕ませたって、言ってたものね。最低でしかないけど。
「あの……エセルバードは、何歳のお話ですか?」
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ああ……だから、すべての罪をかぶったんだ。
「そして、思ったのです。いつか大きくなった時に、父親が司祭を殺してしまった罪を犯した王子だとわかれば……この子が傷つくだろうと」
「ジュリアス……」
「事件のあった時に、僕は既に救世の旅を二回やり遂げていました。汚名を着ることに躊躇いと大きな葛藤はありました。僕へ向けられた多くの期待を裏切り、失望されるだろうと思いました」
ジュリアスが泣いていると気がついたのは、その時だ。
気がつけば薄い緑色の瞳から、涙がこぼれ落ちていた。
「ですが……それは、我慢出来ると思いました。人の記憶は時が経てば、風化してしまうものです。王族の落胤は良くあることです。現にその時の殿下の子は、とある傍系の貴族の家の養子に入りました……僕はあの時の選択を、今も後悔はしていません」
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