泡風呂を楽しんでいただけなのに、空中から落ちてきた異世界騎士が「離れられないし目も瞑りたくない」とガン見してきた時の私の対応。

待鳥園子

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06 我慢

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 いきなり変な声が漏れて、私は慌てて自分の口へと手を当てた。

「恥ずかしがらなくて良い。もっと、声を出して……我慢しないで」

「あっ……ちょっとっ……ちょっと、待って」

 ぎゅうっと抱きしめられそうになった私が慌てて手を前に出すと、ノエルは律儀に待ってくれた。

「え。ごめん。嘘。なんだか……夢みたいなんだけど……これって、現実?」

「うん。ちゃんと現実。大丈夫……ちゃんと、俺の居た異世界連れて行くから」

「……私だけ、取り残されない? 大丈夫? お迎えって、いつ来るの?」

 もしかしたら、こんな姿を誰かに見られてしまわないか心配した私に、ノエルは難しい表情を浮かべたのちに、ニコッと安心させるようにして微笑んだ。

「うーん。ごめん。実は俺が戻れる時を選べる。だから、心配しないで」

「え! 騙したの?」

 さっき言ってた事情と、全然違う! 私が軽く睨みつけたら、ノエルは悪気のない顔で笑った

「いや……ミフユとどうにかして、上手く付き合いたかった。うん。俺はモテないから、異世界までこうして嫁を探しに来たんだよ。だから、俺と結婚して家族になって」

 その言葉は、私にとって物凄く嬉しかった。

 私は幼い頃から、天涯孤独だった。施設で育って、辛い現実からの唯一の逃げ道と言えば異世界ファンタジーを読むだけ。

「なりたい……連れて帰って」

 ぽろぽろと涙をこぼしたら、彼は大きな手で頬を覆って親指で拭った。

「うん。そんなに、泣かないで大丈夫だから……というか、胸……おっきいね。何食べたらこうなるの?」

 するっと手を滑らせて、彼は私の胸の上に大きな手を置いた。

「普通だよ! あんっ……ちょっと」

 軽く先端を摘まれて、それに気を取られた瞬間に、彼とキスをしていることに気がついた。数秒の内に色々と起こった……と、どこかで冷静な私が分析している。

 分厚い舌は口中一杯に入り込み、私の舌とねっとり時間を掛けて絡み合った。ゆっくりとお互いの唾液を啜り合って、彼の手が私のお尻を持ち上げた時に私は目を開いた。

「あっ……ノエルっ……っ」

「うわー……綺麗な肌。本当に、良かった」

 噛み締めるようにそう言うと、彼は私の首筋を舐め上げた。何度も味を確かめるようにして往復し、気がついた時には、胸にかぶり付いていた。

 ちゅうっと先端を吸われた瞬間に、ビクンと体がしなって、私は恥ずかしいくらいの甘い声をあげてしまった。

「やっ……ノエル。気持ち良いっ……」

「怖がらないで。もう、何も考えないで……」

 ノエルはそう言ったけど、その時点で私は気持ち良いことしか考えられなくなっていた。
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