3 / 10
03 理由
しおりを挟む
そのお話は全然事実と異なって違いますと言いたいはずなのに、思わぬ事態に慌てる私は、とんでもないことになってしまったと本当に焦っていた。言いたい事を言えず、口が思うように動かない。
「は? ないのに、俺の帰り尾けてるの? なんなんだよ……なんで、俺のことを尾けた? その理由を早く言え」
「ちっ……ちょっと、待ってください。私っ! 私……」
差し迫ってトイレに行きたかった私は、完全に混乱していた。彼とこんな場所で、積もる話をしている場合ではない。
だって、本当に差し迫ってるのに!
「待たない。なんなんだよ。俺に話があるなら、さっさと言え」
「そのっ……私」
「何」
「トイレ! トイレ行きたくて!!!」
「は?」
マックロイさんは勢い良く涙目で訴える私の言葉に驚いたのか、パッと大きな体を外してくれた。
そして、私は自分の住む部屋と同じ作りの部屋にあったトイレへと駆け込んで、事なきを得たのだった。
魔法の力によって動く水洗のトイレが、ジャーっと流れて行く音を聞きつつ、私はこの事態をどうしようかと考えていた。
マックロイさんは、私が彼のことを好きだと完全に誤解している。
そして、こんな家にまで付いて来ているのなら、何か言えと言われるのはごもっともで確かにだった。
しかし、私は実際のところ彼のことを、現在異性として好きだという訳ではない。
外見は確かに格好良いなと思うし、冒険者としての功績はピカイチの成功者だ。
はーうわーすごいなあと思うけど、自分には絶対に手が届かない人という諦めに似た気持ちが強い。なので、彼と付き合いたいという気持ちは一切ない。
とにかく私がただ単に同じ階に住んでいる住人であることがわかれば、彼だって自分が誤解していることをわかってくれるだろう。
頷いた私はそう決心をして、トイレの扉を開いた。
なんとなく居るだろうなという予想通り、マックロイさんはすぐそこで私を待っていた。青い目は私の体を突き抜けそうなばかりに鋭い。
「……あ。あの……トイレ、ありがとうございました」
「こっち。来いよ」
お礼を言っている途中で荒っぽく手を取られ、私はマックロイさんの後へと続いた。
「あ。あの……聞いてください。実は……」
これは全て誤解なんだと恐る恐る切り出そうとした私の言葉を、マックロイさんは乱暴に遮った。
「わかっているよ。俺のことが、好きなんだろう? ……望み通りに付き合ってやるから。それで良いだろ?」
「え……?」
顔を少々赤くした目の前の彼の言いように、ポカンと口を開いた。
今まで完全にヤバい女と勘違いされていると思っていたので、マックロイさんからの申し出はかなり……というか完全に予想外だった。
「は? ないのに、俺の帰り尾けてるの? なんなんだよ……なんで、俺のことを尾けた? その理由を早く言え」
「ちっ……ちょっと、待ってください。私っ! 私……」
差し迫ってトイレに行きたかった私は、完全に混乱していた。彼とこんな場所で、積もる話をしている場合ではない。
だって、本当に差し迫ってるのに!
「待たない。なんなんだよ。俺に話があるなら、さっさと言え」
「そのっ……私」
「何」
「トイレ! トイレ行きたくて!!!」
「は?」
マックロイさんは勢い良く涙目で訴える私の言葉に驚いたのか、パッと大きな体を外してくれた。
そして、私は自分の住む部屋と同じ作りの部屋にあったトイレへと駆け込んで、事なきを得たのだった。
魔法の力によって動く水洗のトイレが、ジャーっと流れて行く音を聞きつつ、私はこの事態をどうしようかと考えていた。
マックロイさんは、私が彼のことを好きだと完全に誤解している。
そして、こんな家にまで付いて来ているのなら、何か言えと言われるのはごもっともで確かにだった。
しかし、私は実際のところ彼のことを、現在異性として好きだという訳ではない。
外見は確かに格好良いなと思うし、冒険者としての功績はピカイチの成功者だ。
はーうわーすごいなあと思うけど、自分には絶対に手が届かない人という諦めに似た気持ちが強い。なので、彼と付き合いたいという気持ちは一切ない。
とにかく私がただ単に同じ階に住んでいる住人であることがわかれば、彼だって自分が誤解していることをわかってくれるだろう。
頷いた私はそう決心をして、トイレの扉を開いた。
なんとなく居るだろうなという予想通り、マックロイさんはすぐそこで私を待っていた。青い目は私の体を突き抜けそうなばかりに鋭い。
「……あ。あの……トイレ、ありがとうございました」
「こっち。来いよ」
お礼を言っている途中で荒っぽく手を取られ、私はマックロイさんの後へと続いた。
「あ。あの……聞いてください。実は……」
これは全て誤解なんだと恐る恐る切り出そうとした私の言葉を、マックロイさんは乱暴に遮った。
「わかっているよ。俺のことが、好きなんだろう? ……望み通りに付き合ってやるから。それで良いだろ?」
「え……?」
顔を少々赤くした目の前の彼の言いように、ポカンと口を開いた。
今まで完全にヤバい女と勘違いされていると思っていたので、マックロイさんからの申し出はかなり……というか完全に予想外だった。
25
あなたにおすすめの小説
侯爵令嬢ヴェロニカの推し活~義弟の恋を応援していたはずが、最初から逃げ場はありませんでした~
春野ふぶき
恋愛
貴族の家督は男子のみが継げる世界。
侯爵家の一人娘ヴェロニカは、家を継ぐために迎えられた義弟ルートヴェルを、前世日本人の感覚で「推し」として崇拝していた。
容姿端麗で完璧な義弟には、いずれふさわしい伴侶が現れる。
そう信じ、彼の恋を応援し続けるヴェロニカは、自分が選ばれる未来など想像もしない。
しかし彼女の献身は、義弟の静かな執着と独占欲を確実に育てていた。
「姉上は、最初から僕のものですよ」
勘違いに気づいた時には、すでに逃げ道は閉ざされている。
甘く、重く、逃がさない――義弟の歪んだ執着に囚われるTL短編。
天然だと思ったギルド仲間が、実は策士で独占欲強めでした
星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー本編8話+後日談7話⭐︎
ギルドで働くおっとり回復役リィナは、
自分と似た雰囲気の“天然仲間”カイと出会い、ほっとする。
……が、彼は実は 天然を演じる策士だった!?
「転ばないで」
「可愛いって言うのは僕の役目」
「固定回復役だから。僕の」
優しいのに過保護。
仲間のはずなのに距離が近い。
しかも噂はいつの間にか——「軍師(彼)が恋してる説」に。
鈍感で頑張り屋なリィナと、
策を捨てるほど恋に負けていくカイの、
コメディ強めの甘々ギルド恋愛、開幕!
「遅いままでいい――置いていかないから。」
15歳差の御曹司に甘やかされています〜助けたはずがなぜか溺愛対象に〜 【完結】
日下奈緒
恋愛
雨の日の交差点。
車に轢かれそうになったスーツ姿の男性を、とっさに庇った大学生のひより。
そのまま病院へ運ばれ、しばらくの入院生活に。
目を覚ました彼女のもとに毎日現れたのは、助けたあの男性――そして、大手企業の御曹司・一ノ瀬玲央だった。
「俺にできることがあるなら、なんでもする」
花や差し入れを持って通い詰める彼に、戸惑いながらも心が惹かれていくひより。
けれど、退院の日に告げられたのは、彼のひとことだった。
「君、大学生だったんだ。……困ったな」
15歳という年の差、立場の違い、過去の恋。
簡単に踏み出せない距離があるのに、気づけばお互いを想う気持ちは止められなくなっていた――
「それでも俺は、君が欲しい」
助けたはずの御曹司から、溺れるほどに甘やかされる毎日が始まる。
これは、15歳差から始まる、不器用でまっすぐな恋の物語。
【完結】あなた専属になります―借金OLは副社長の「専属」にされた―
七転び八起き
恋愛
『借金を返済する為に働いていたラウンジに現れたのは、勤務先の副社長だった。
彼から出された取引、それは『専属』になる事だった。』
実家の借金返済のため、昼は会社員、夜はラウンジ嬢として働く優美。
ある夜、一人でグラスを傾ける謎めいた男性客に指名される。
口数は少ないけれど、なぜか心に残る人だった。
「また来る」
そう言い残して去った彼。
しかし翌日、会社に現れたのは、なんと店に来た彼で、勤務先の副社長の河内だった。
「俺専属の嬢になって欲しい」
ラウンジで働いている事を秘密にする代わりに出された取引。
突然の取引提案に戸惑う優美。
しかし借金に追われる現状では、断る選択肢はなかった。
恋愛経験ゼロの優美と、完璧に見えて不器用な副社長。
立場も境遇も違う二人が紡ぐラブストーリー。
シャンパンをかけられたら、御曹司の溺愛がはじまりました
入海月子
恋愛
一花はフラワーデザイナーだ。
仕事をドタキャンされたところを藤河エステートの御曹司の颯斗に助けられる。彼はストーカー的な女性に狙われていて、その対策として、恋人のふりを持ちかけてきた。
恋人のふりのはずなのに、颯斗は甘くて惹かれる気持ちが止まらない。
それなのに――。
男嫌いな王女と、帰ってきた筆頭魔術師様の『執着的指導』 ~魔道具は大人の玩具じゃありません~
花虎
恋愛
魔術大国カリューノスの現国王の末っ子である第一王女エレノアは、その見た目から妖精姫と呼ばれ、可愛がられていた。
だが、10歳の頃男の家庭教師に誘拐されかけたことをきっかけに大人の男嫌いとなってしまう。そんなエレノアの遊び相手として送り込まれた美少女がいた。……けれどその正体は、兄王子の親友だった。
エレノアは彼を気に入り、嫌がるのもかまわずいたずらまがいにちょっかいをかけていた。けれど、いつの間にか彼はエレノアの前から去り、エレノアも誘拐の恐ろしい記憶を封印すると共に少年を忘れていく。
そんなエレノアの前に、可愛がっていた男の子が八年越しに大人になって再び現れた。
「やっと、あなたに復讐できる」
歪んだ復讐心と執着で魔道具を使ってエレノアに快楽責めを仕掛けてくる美形の宮廷魔術師リアン。
彼の真意は一体どこにあるのか……わからないままエレノアは彼に惹かれていく。
過去の出来事で男嫌いとなり引きこもりになってしまった王女(18)×王女に執着するヤンデレ天才宮廷魔術師(21)のラブコメです。
※ムーンライトノベルにも掲載しております。
『階段対策会議(※恋愛)――年上騎士団長の健康管理が過剰です』
星乃和花
恋愛
【完結済:全9話】
経理兼給仕のクラリスは、騎士団で働くただの事務員――のはずだった。
なのに、年上で情緒に欠ける騎士団長グラントにある日突然こう言われる。
「君は転倒する可能性がある。――健康管理対象にする」
階段対策会議、動線の変更、手をつなぐのは転倒防止、ストール支給は防寒対策。
全部合理的、全部正しい。……正しいはずなのに!
「頬が赤い。必要だ」
「君を、大事にしたい」
真顔で“強い言葉”を投下してくる団長に、乙女心を隠すクラリスの心拍数は業務超過。
さらに副団長ローレンは胃薬片手に「恋は会議にするな!!」と絶叫中!?
これは健康管理?それとも恋愛?
――答え合わせの前に、まず“階段(概念)“をご確認ください。
再婚相手は溺愛消防士!?二度と結婚しないと決めてたのに、どうしてこんなことに!
すずなり。
恋愛
都会を離れて田舎に引っ越してきた主人公『三井 那智(みつい なち)』。3歳になる娘の真那を連れての転居に不安を覚えるものの、地域の温かさに一安心する。歌が好きな那智は喘息を持っていて、それが一つの原因での引っ越しだったのだ。過疎な地域では子供はいないが、『新入居者への挨拶』として来てくれた消防署員に子供がいることを知り、次第に町になじんでいく。そんな中、真那の父親である那智の『元旦那』が現れて・・・・
「那智、お前・・・稼いでるらしいじゃねーか。」
旦那と別れて真那と二人で生きていくためには収入が必要だ。幸いにも那智には仕事があったのだ。たくさん稼いでいるとは言えないけど、真那と二人で生きていく分には十分だった。でもその稼ぎに目をつけたのか、元旦那は復縁を迫ってきたのだ。
「いい加減にして!私は真那と二人で暮らしていくの!真那のことを何も気に留めないあなたとは暮らせるはずがないでしょう!?」
そんな会話を聞いた消防署員の『長谷川 圭吾』は、二人の間に割って入った。この町で真那と一緒に暮らす那智に惹かれていたのだ。
「俺が二人を守るんで。」
※お話は全て想像の世界です。現実とは何の関係もございません。
※メンタルが薄氷の為、コメントは受け付けることができません。申し訳ありません。
ただただすずなり。の世界を楽しんでいただけたら幸いです。
それではれっつごー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる