モブの私が理想語ったら主役級な彼が翌日その通りにイメチェンしてきた話……する?

待鳥園子

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01 モブな私と主役級の彼について①

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 私はモブ。いわゆる、中学校内での主役以外のその他大勢だ。

 小さい頃から受けた周りからの扱いとか、毎日何度も見る鏡の中の顔とか。

 生まれて来てからの十四年間で、自分が立っている位置はわかりたくない程に理解している。

 けど、そんなモブな私の中学二年生の春。

 周囲で、ほんの少しだけ不思議なことが起こりはじめた。

 例えばふとした瞬間、からむ二人の視線。お互いの友達同士の会話の中にある、不可解なつながり。

 彼は私のことなんか、単なる背景の一部だと認識していてもおかしくない。

 色彩の少ない学校の中で、派手派手しい極彩色で目立っているような彼なのに、やたらとその存在を近くに感じてしまった。

 勘違いだ。

 そう言い聞かせる。

 なんだか、ほんのりとした期待を打ち消す度に、自分が自意識過剰で恥ずかしい。

 彼が私みたいな、目立たな過ぎて色を塗り忘れられたモブなんかに、意識している訳なんてない。そんなはずは絶対ない。

 彼の名前は、鷹羽日向くん。

 学校内での主役と言っても差し支えないくらい何もしなくても目立って、常に皆の輪の中の中心に居る存在。というか、もし一人で居たとしても自然と彼の周囲には人が集まって来るという、チートを持っている。

 黒いサラサラの髪に、端正で理知的な顔立ち。息を呑むくらい爽やかな笑顔に、どの角度から見ても満点の容姿。

 もちろん容姿が良いだけじゃなくて、頭も良くて部活でもエース。絵に描いたような、文武両道。

 神様がここだけはと、ピンポイントで気合いを入れて創ったみたいな奇跡の人だ。

 私から見れば同じ教室の中でも鷹羽くんの周りだけ、なぜか光って見える。そんな表現が冗談にならないくらいに、主役級に輝いている人だ。

 私の中では、たとえ距離が近くても、とてもとても遠くに感じる人。

 実際に離れている距離はほんの数メートルかもしれないけど、この学校の生態系頂点にいる彼との距離は走っても走っても追いつかないくらい。

 きっと、親しく喋ることも関わることも、この先ないんだろうなって……ずっと、思ってた。
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