モブの私が理想語ったら主役級な彼が翌日その通りにイメチェンしてきた話……する?

待鳥園子

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05 もしかしての行方②

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「有馬。図書室の鍵はここに置いておくから、帰る時は閉めて帰ってくれよ」

「はい。わかりました。職員室に戻しておきます」

 図書室に着くと同時に、図書委員会顧問の長谷部先生が出て行った。

 長谷川先生は野球部の顧問もしているから、いつも忙しそう。ずっと図書室に居る訳にはいかなくて、大体は図書委員に任せきりにしていた。

 季節的に外気が適温なので、図書室はエアコンはつけずに窓を開け放っている。

 図書室の中にゆるい風がふわっと舞って気持ちよかった。

「さ……課題でも、するか」

 私は貸し出しの席に座りながらぽつりとこぼした言葉に返答があるなんて、その時に思いもしなかった。

「一緒に課題をしても良い?」

 私はカウンターの向こう側で、にっこりと笑う鷹羽くんに驚いた。

 昨日までは長めに伸ばされていたサラサラの髪は、形の良いおでこをのぞかせてアイドルみたいなと形容するのにふさわしいくらい短くなっていら。

 今日はじめてかけているのを見た黒縁の眼鏡は、彼の理知的な面差しをより一層魅力的に見せていた。

「え……鷹羽くん?」

 思考が真っ白になる。そんな訳ない、がこんなにも続くとどうしてももしかして、と思ってしまう。

 鷹羽くんは、私の事が好きなんじゃないかって。

「うん。有馬、今日図書室の当番なんだろ?」

「そうだけど……え」

 なんで、知っているの? っていう言葉は心に仕舞った。それをどう答えられても戸惑ってしまいそうだからだ。

「俺。今日は部活休みなんだ」

「そうなの。バスケ部は今日休みなんだ?」

「うん。体育館が使えないし、顧問いないから筋トレもなし。ラッキーだったけど、本当にラッキーだった」

 何がラッキーなの? も聞けない。意気地無しの私は、通学バッグから数学の問題集を出しながら彼の綺麗な黒い目を逸らした。

「数学……教えて欲しい?」

 視界の端から、尋ねる声に私はいよいよ首を傾げた。

 絶対。おかしい……ここまで来てしまうと、昨日私が言ったことを知っているはずだ。

「からかってる?」

「え? なんで?」

 質問した理由を、逆に聞かれてしまった。戸惑って私は、言葉を失ってしまう。

「別に、からかってないよ。からかう訳ない」

 鷹羽くんの目は三白眼気味で、白目が青味がかっててとても綺麗だ。

「……じゃあ、なんなの。私にいきなり近づいて来た理由教えてよ」

 ついに、聞いた。こくんと、喉が鳴る音がした。

 それは私なのか、鷹羽くんなのか、頭は真っ白でそんなことはどっちでも良かった。

「俺、有馬のこと……」
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