26 / 43
26 帰り道①
しおりを挟む
帰り道、私は家も近いしもう良いって言ったんだけど、二人は真剣にじゃんけんでその後の送る権利を争っていたみたいだ。
結果はチョキでめでたく鷹羽くん勝利。チョキの片手を上げてにこっと笑う笑顔も可愛い。
その横で、行高はがっくり肩を落としていた。
それを見ながら私なんてクラスで言うところのモブなのに、二人とも趣味がおかしいと冷静に思った。
「送るなんて、もう良かったのに。それに、鷹羽くんの家は反対方向だよね?」
「いや、もう暗いのに危ないよ。俺は男だし大丈夫だから、気にしないで」
もう暗くなって少ない街灯が照らす帰り道をゆっくりと歩きながら、鷹羽くんは言った。
「……昨日は、どうなることかと思っていた。でも有馬がすごく、僕が思っていたよりしっかりしてて強くて、その……」
「その?」
彼の赤くなった横顔を見上げて言った。
「もっと、好きになった」
赤くなった顔のまま鷹羽くんは言って、つられて私も顔が熱くなった。
鷹羽くんはどう考えても私と付き合うような人ではないけれど、好きでいてくれることは間違いないみたい。
「あのね……」
「うん」
「私不思議に思って居ることがあるんだけど、聞いて良い?」
「良いよ」
「……どうして、私の事好きなの? 今まで私たち、ほとんど話したこともないよね?」
本当に不思議だ。何かきっかけめいた出来事があったなら、私だって『あの時なのかも』と思ったはずだ。
けれど、そんな出来事なんて思いつかない。
ただただ、いつ彼が好きになってくれたのかわからないだけ。
鷹羽くんはそれを聞いて、いきなり立ち止まった。
私もそれにつられて足を止める。彼は一度ふーっと大きく息をついて、私の目を見て言った。
「う、ん。……もし」
「もし?」
「もしだけど、有馬が僕のこと、好きになってくれたら、そうしたら好きになった理由を言う。それまでは言いたくない」
どくん、と胸が高鳴った。
「……今は僕のことをなんとも思っていないと思うけど、そうなってもらえるように頑張りたい」
自分の言い聞かせるように呟くと、鷹羽くんははっとしたように前を向いた。
「嘘みたい」
私は思っていることをそのままするりと口に出した。はっと口を覆うけど遅い。
鷹羽くんは驚いたようにして、再度私を見た。
結果はチョキでめでたく鷹羽くん勝利。チョキの片手を上げてにこっと笑う笑顔も可愛い。
その横で、行高はがっくり肩を落としていた。
それを見ながら私なんてクラスで言うところのモブなのに、二人とも趣味がおかしいと冷静に思った。
「送るなんて、もう良かったのに。それに、鷹羽くんの家は反対方向だよね?」
「いや、もう暗いのに危ないよ。俺は男だし大丈夫だから、気にしないで」
もう暗くなって少ない街灯が照らす帰り道をゆっくりと歩きながら、鷹羽くんは言った。
「……昨日は、どうなることかと思っていた。でも有馬がすごく、僕が思っていたよりしっかりしてて強くて、その……」
「その?」
彼の赤くなった横顔を見上げて言った。
「もっと、好きになった」
赤くなった顔のまま鷹羽くんは言って、つられて私も顔が熱くなった。
鷹羽くんはどう考えても私と付き合うような人ではないけれど、好きでいてくれることは間違いないみたい。
「あのね……」
「うん」
「私不思議に思って居ることがあるんだけど、聞いて良い?」
「良いよ」
「……どうして、私の事好きなの? 今まで私たち、ほとんど話したこともないよね?」
本当に不思議だ。何かきっかけめいた出来事があったなら、私だって『あの時なのかも』と思ったはずだ。
けれど、そんな出来事なんて思いつかない。
ただただ、いつ彼が好きになってくれたのかわからないだけ。
鷹羽くんはそれを聞いて、いきなり立ち止まった。
私もそれにつられて足を止める。彼は一度ふーっと大きく息をついて、私の目を見て言った。
「う、ん。……もし」
「もし?」
「もしだけど、有馬が僕のこと、好きになってくれたら、そうしたら好きになった理由を言う。それまでは言いたくない」
どくん、と胸が高鳴った。
「……今は僕のことをなんとも思っていないと思うけど、そうなってもらえるように頑張りたい」
自分の言い聞かせるように呟くと、鷹羽くんははっとしたように前を向いた。
「嘘みたい」
私は思っていることをそのままするりと口に出した。はっと口を覆うけど遅い。
鷹羽くんは驚いたようにして、再度私を見た。
13
あなたにおすすめの小説
クールな幼なじみの許嫁になったら、甘い溺愛がはじまりました
藤永ゆいか
児童書・童話
中学2年生になったある日、澄野星奈に許嫁がいることが判明する。
相手は、頭が良くて運動神経抜群のイケメン御曹司で、訳あって現在絶交中の幼なじみ・一之瀬陽向。
さらに、週末限定で星奈は陽向とふたり暮らしをすることになって!?
「俺と許嫁だってこと、絶対誰にも言うなよ」
星奈には、いつも冷たくてそっけない陽向だったが……。
「星奈ちゃんって、ほんと可愛いよね」
「僕、せーちゃんの彼氏に立候補しても良い?」
ある時から星奈は、バスケ部エースの水上虹輝や
帰国子女の秋川想良に甘く迫られるようになり、徐々に陽向にも変化が……?
「星奈は可愛いんだから、もっと自覚しろよ」
「お前のこと、誰にも渡したくない」
クールな幼なじみとの、逆ハーラブストーリー。
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
児童書・童話
毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
連載時、HOT 1位ありがとうございました!
その他、多数投稿しています。
こちらもよろしくお願いします!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
生贄姫の末路 【完結】
松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。
それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。
水の豊かな国には双子のお姫様がいます。
ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。
もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。
王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。
四尾がつむぐえにし、そこかしこ
月芝
児童書・童話
その日、小学校に激震が走った。
憧れのキラキラ王子さまが転校する。
女子たちの嘆きはひとしお。
彼に淡い想いを抱いていたユイもまた動揺を隠せない。
だからとてどうこうする勇気もない。
うつむき複雑な気持ちを抱えたままの帰り道。
家の近所に見覚えのない小路を見つけたユイは、少し寄り道してみることにする。
まさかそんな小さな冒険が、あんなに大ごとになるなんて……。
ひょんなことから石の祠に祀られた三尾の稲荷にコンコン見込まれて、
三つのお仕事を手伝うことになったユイ。
達成すれば、なんと一つだけ何でも願い事を叶えてくれるという。
もしかしたら、もしかしちゃうかも?
そこかしこにて泡沫のごとくあらわれては消えてゆく、えにしたち。
結んで、切って、ほどいて、繋いで、笑って、泣いて。
いろんな不思議を知り、数多のえにしを目にし、触れた先にて、
はたしてユイは何を求め願うのか。
少女のちょっと不思議な冒険譚。
ここに開幕。
極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。
猫菜こん
児童書・童話
私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。
だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。
「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」
優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。
……これは一体どういう状況なんですか!?
静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん
できるだけ目立たないように過ごしたい
湖宮結衣(こみやゆい)
×
文武両道な学園の王子様
実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?
氷堂秦斗(ひょうどうかなと)
最初は【仮】のはずだった。
「結衣さん……って呼んでもいい?
だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」
「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」
「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、
今もどうしようもないくらい好きなんだ。」
……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。
星降る夜に落ちた子
千東風子
児童書・童話
あたしは、いらなかった?
ねえ、お父さん、お母さん。
ずっと心で泣いている女の子がいました。
名前は世羅。
いつもいつも弟ばかり。
何か買うのも出かけるのも、弟の言うことを聞いて。
ハイキングなんて、来たくなかった!
世羅が怒りながら歩いていると、急に体が浮きました。足を滑らせたのです。その先は、とても急な坂。
世羅は滑るように落ち、気を失いました。
そして、目が覚めたらそこは。
住んでいた所とはまるで違う、見知らぬ世界だったのです。
気が強いけれど寂しがり屋の女の子と、ワケ有りでいつも諦めることに慣れてしまった綺麗な男の子。
二人がお互いの心に寄り添い、成長するお話です。
全年齢ですが、けがをしたり、命を狙われたりする描写と「死」の表現があります。
苦手な方は回れ右をお願いいたします。
よろしくお願いいたします。
私が子どもの頃から温めてきたお話のひとつで、小説家になろうの冬の童話際2022に参加した作品です。
石河 翠さまが開催されている個人アワード『石河翠プレゼンツ勝手に冬童話大賞2022』で大賞をいただきまして、イラストはその副賞に相内 充希さまよりいただいたファンアートです。ありがとうございます(^-^)!
こちらは他サイトにも掲載しています。
少年騎士
克全
児童書・童話
「第1回きずな児童書大賞参加作」ポーウィス王国という辺境の小国には、12歳になるとダンジョンか魔境で一定の強さになるまで自分を鍛えなければいけないと言う全国民に対する法律があった。周囲の小国群の中で生き残るため、小国を狙う大国から自国を守るために作られた法律、義務だった。領地持ち騎士家の嫡男ハリー・グリフィスも、その義務に従い1人王都にあるダンジョンに向かって村をでた。だが、両親祖父母の計らいで平民の幼馴染2人も一緒に12歳の義務に同行する事になった。将来救国の英雄となるハリーの物語が始まった。
【奨励賞】おとぎの店の白雪姫
ゆちば
児童書・童話
【第15回絵本・児童書大賞 奨励賞】
母親を亡くした小学生、白雪ましろは、おとぎ商店街でレストランを経営する叔父、白雪凛悟(りんごおじさん)に引き取られる。
ぎこちない二人の生活が始まるが、ひょんなことからりんごおじさんのお店――ファミリーレストラン《りんごの木》のお手伝いをすることになったましろ。パティシエ高校生、最速のパート主婦、そしてイケメンだけど料理脳のりんごおじさんと共に、一癖も二癖もあるお客さんをおもてなし!
そしてめくるめく日常の中で、ましろはりんごおじさんとの『家族』の形を見出していく――。
小さな白雪姫が『家族』のために奔走する、おいしいほっこり物語。はじまりはじまり!
他のサイトにも掲載しています。
表紙イラストは今市阿寒様です。
絵本児童書大賞で奨励賞をいただきました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる