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32 一緒に帰ろう①
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「あー、夕凪また来ているね」
終業後の教室の中、帰りの準備をしている最中に、寧々ちゃんが後ろを向いた。
あまり見たくないものを見てしまったって風に顔を顰めていた。
夕凪さんが鷹羽くんを迎えに来たのかもしれない。
それを見れば絶対に嫌な思いをするってわかっている私は、なるべくそちらを意識しないように筆記用具や今日出た課題なんかを通学バッグに詰め込んだ。
夕凪さんが何をしたいかなんてわからない。鷹羽くんが私と付き合ったら彼女の失恋が確定するっていうことはわかるんだけど、脅したからって彼の気持ちが手に入る訳でもないのに。
けれど、好きな人が誰か違う人と付き合うことを止めたいという気持ちはわかってしまう。
「二人……一緒に帰りそう?」
なるべくなら、見たくない。そういう気持ちを察したのか、寧々ちゃんは彼らをじっと見て観察してくれたようだ。
「うーん。どうかな? でも、鷹羽くんはこの後、バスケ部の部活あるんじゃないの?」
「そっか……それも、そうだよね」
私は一人ドキドキしてた。
実は今日、夕凪さんの帰り道を着けることに決めていた。
敵を倒すには、まず敵を知ることから。
今は彼女が何を望んでいるか何をしようとしているか、全く訳がわからない状況だから、どうしても恐れが先に来てしまうけど、ここは勇気を出して、交友関係や夕凪さん本人のことを知ることから始めたい。
「あ。二人で帰ることにしたみたい」
なるべくなら見たくない。見たくないけど、勇気は出さないといけない。
「わかった……私も先に帰るね。ごめん、寧々ちゃん」
「……え?」
一人驚く寧々ちゃんを残して、私は足早に廊下に出た。
そこには鷹羽くんの大きな黒い背中にスポーツバッグ。その隣には夕凪さんのサラサラの長い髪が靡く。
なんでか隣り合って歩く二人の姿を見れば、胸が痛い気がして、不意に立ち止まる。
なんでかな……鷹羽くんは付き合っている訳でもないし、私のものでもないし……そもそも、恋人同士になったからって、人を所有物扱いってどうなんだろう。
そんなことをつらつら考えながら、彼らを追い掛けて靴箱を過ぎて正門まで歩いて来た。
終業後の教室の中、帰りの準備をしている最中に、寧々ちゃんが後ろを向いた。
あまり見たくないものを見てしまったって風に顔を顰めていた。
夕凪さんが鷹羽くんを迎えに来たのかもしれない。
それを見れば絶対に嫌な思いをするってわかっている私は、なるべくそちらを意識しないように筆記用具や今日出た課題なんかを通学バッグに詰め込んだ。
夕凪さんが何をしたいかなんてわからない。鷹羽くんが私と付き合ったら彼女の失恋が確定するっていうことはわかるんだけど、脅したからって彼の気持ちが手に入る訳でもないのに。
けれど、好きな人が誰か違う人と付き合うことを止めたいという気持ちはわかってしまう。
「二人……一緒に帰りそう?」
なるべくなら、見たくない。そういう気持ちを察したのか、寧々ちゃんは彼らをじっと見て観察してくれたようだ。
「うーん。どうかな? でも、鷹羽くんはこの後、バスケ部の部活あるんじゃないの?」
「そっか……それも、そうだよね」
私は一人ドキドキしてた。
実は今日、夕凪さんの帰り道を着けることに決めていた。
敵を倒すには、まず敵を知ることから。
今は彼女が何を望んでいるか何をしようとしているか、全く訳がわからない状況だから、どうしても恐れが先に来てしまうけど、ここは勇気を出して、交友関係や夕凪さん本人のことを知ることから始めたい。
「あ。二人で帰ることにしたみたい」
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なんでかな……鷹羽くんは付き合っている訳でもないし、私のものでもないし……そもそも、恋人同士になったからって、人を所有物扱いってどうなんだろう。
そんなことをつらつら考えながら、彼らを追い掛けて靴箱を過ぎて正門まで歩いて来た。
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