33 / 43
33 一緒に帰ろう②
しおりを挟む
そして、いつもと正反対の方向に曲がり、十歩くらい前に居る鷹羽くんは腕を上げて無理に寄り添おうとする夕凪さんを遠ざけようとしているみたいだけど、離れて見て居る私が見てもそれは上手く行ってない。
向かい風のせいで、前髪が乱れそう。私は通学バッグを持ってない方の、手で前髪を押さえた。
「……たかばくん」
かすかに聞こえて来た彼の名前に、私は前を見てドキっとした。
また夕凪さんが鷹羽くんの腕を組もうと腕を絡ませているところだったからだ。
鷹羽くんは向き合って、何か真剣な顔をして夕凪さんに言っているみたい。
『好きな子が居て誤解されたくないから、やめてほしい』
とか言ってるんだったら良いな、なんてぼんやりと思って、はっとして私は身を隠せる場所を探した。
鷹羽くんの視界に入りそうな気がしたから。ちょうど路地があったので傍の電柱から二人を見る。
きっと後ろから帰っている人から見たら完全に不審者だけど、幸いっていうのもおかしいけど、鷹羽くんは元々学校でとっても人気者だから、そういう関係の人だときっと思ってくれているだろう。
彼らの向かう方向だと、駅前の大きなショッピングモールに行くことになりそう。
私は帰る時間を計算しながら動いた。昨日も遅くなってしまったから、親に良い顔はされないだろうからだ。
二人は二階のゲームセンターに向かっているみたい。プリクラでも撮るのかもしれない。
夕凪さんの隣でフレームに大きな体に窮屈そうに収まる鷹羽くんのことを思うと、後輩二人のために言いなりになっている彼の気持ちを思ってやっぱり胸が痛んだ。
私は二人がプリクラの待ち列に並ぶのを見て、ほっと息をついた。
待っている女の子が鷹羽くんを見て、顔を赤くしてさざめくのを見てやっぱり不思議な気持ちになる。
あんな素敵な人が、なんで私のことを好きなんだろうか。
いわゆるより取り見取りで、どんな可愛い子でも選べそうな人なのになんで。
今日は何の収穫もなさそうかもしれない。なんだか、昨日の勢いのままでここまで来て、少し馬鹿みたいだ。
私は振り返って帰ろうと歩き出そうとして、誰かにぶつかってしまった。
「いって……お姉さん。あー。めっちゃ痛いんですけど、慰謝料貰えます?」
あまり柄が良くなさそうな三人の内の一人が私を見下ろしてにやっと笑う。
いけない。不良に絡まれてしまうなんて、思ってもいなかった。
「……ごめんなさいっ」
「いやいや……こっちがお金で解決するって言ってるんだから、出せよ。な?」
三人に囲まれて、ぎゅっと腕を取られた。
……どうしよう!? 店員さんに助け手貰おうとするものの大声を出そうとするものの、咄嗟に声が出ない。
向かい風のせいで、前髪が乱れそう。私は通学バッグを持ってない方の、手で前髪を押さえた。
「……たかばくん」
かすかに聞こえて来た彼の名前に、私は前を見てドキっとした。
また夕凪さんが鷹羽くんの腕を組もうと腕を絡ませているところだったからだ。
鷹羽くんは向き合って、何か真剣な顔をして夕凪さんに言っているみたい。
『好きな子が居て誤解されたくないから、やめてほしい』
とか言ってるんだったら良いな、なんてぼんやりと思って、はっとして私は身を隠せる場所を探した。
鷹羽くんの視界に入りそうな気がしたから。ちょうど路地があったので傍の電柱から二人を見る。
きっと後ろから帰っている人から見たら完全に不審者だけど、幸いっていうのもおかしいけど、鷹羽くんは元々学校でとっても人気者だから、そういう関係の人だときっと思ってくれているだろう。
彼らの向かう方向だと、駅前の大きなショッピングモールに行くことになりそう。
私は帰る時間を計算しながら動いた。昨日も遅くなってしまったから、親に良い顔はされないだろうからだ。
二人は二階のゲームセンターに向かっているみたい。プリクラでも撮るのかもしれない。
夕凪さんの隣でフレームに大きな体に窮屈そうに収まる鷹羽くんのことを思うと、後輩二人のために言いなりになっている彼の気持ちを思ってやっぱり胸が痛んだ。
私は二人がプリクラの待ち列に並ぶのを見て、ほっと息をついた。
待っている女の子が鷹羽くんを見て、顔を赤くしてさざめくのを見てやっぱり不思議な気持ちになる。
あんな素敵な人が、なんで私のことを好きなんだろうか。
いわゆるより取り見取りで、どんな可愛い子でも選べそうな人なのになんで。
今日は何の収穫もなさそうかもしれない。なんだか、昨日の勢いのままでここまで来て、少し馬鹿みたいだ。
私は振り返って帰ろうと歩き出そうとして、誰かにぶつかってしまった。
「いって……お姉さん。あー。めっちゃ痛いんですけど、慰謝料貰えます?」
あまり柄が良くなさそうな三人の内の一人が私を見下ろしてにやっと笑う。
いけない。不良に絡まれてしまうなんて、思ってもいなかった。
「……ごめんなさいっ」
「いやいや……こっちがお金で解決するって言ってるんだから、出せよ。な?」
三人に囲まれて、ぎゅっと腕を取られた。
……どうしよう!? 店員さんに助け手貰おうとするものの大声を出そうとするものの、咄嗟に声が出ない。
4
あなたにおすすめの小説
クールな幼なじみの許嫁になったら、甘い溺愛がはじまりました
藤永ゆいか
児童書・童話
中学2年生になったある日、澄野星奈に許嫁がいることが判明する。
相手は、頭が良くて運動神経抜群のイケメン御曹司で、訳あって現在絶交中の幼なじみ・一之瀬陽向。
さらに、週末限定で星奈は陽向とふたり暮らしをすることになって!?
「俺と許嫁だってこと、絶対誰にも言うなよ」
星奈には、いつも冷たくてそっけない陽向だったが……。
「星奈ちゃんって、ほんと可愛いよね」
「僕、せーちゃんの彼氏に立候補しても良い?」
ある時から星奈は、バスケ部エースの水上虹輝や
帰国子女の秋川想良に甘く迫られるようになり、徐々に陽向にも変化が……?
「星奈は可愛いんだから、もっと自覚しろよ」
「お前のこと、誰にも渡したくない」
クールな幼なじみとの、逆ハーラブストーリー。
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
児童書・童話
毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
連載時、HOT 1位ありがとうございました!
その他、多数投稿しています。
こちらもよろしくお願いします!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
生贄姫の末路 【完結】
松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。
それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。
水の豊かな国には双子のお姫様がいます。
ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。
もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。
王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。
四尾がつむぐえにし、そこかしこ
月芝
児童書・童話
その日、小学校に激震が走った。
憧れのキラキラ王子さまが転校する。
女子たちの嘆きはひとしお。
彼に淡い想いを抱いていたユイもまた動揺を隠せない。
だからとてどうこうする勇気もない。
うつむき複雑な気持ちを抱えたままの帰り道。
家の近所に見覚えのない小路を見つけたユイは、少し寄り道してみることにする。
まさかそんな小さな冒険が、あんなに大ごとになるなんて……。
ひょんなことから石の祠に祀られた三尾の稲荷にコンコン見込まれて、
三つのお仕事を手伝うことになったユイ。
達成すれば、なんと一つだけ何でも願い事を叶えてくれるという。
もしかしたら、もしかしちゃうかも?
そこかしこにて泡沫のごとくあらわれては消えてゆく、えにしたち。
結んで、切って、ほどいて、繋いで、笑って、泣いて。
いろんな不思議を知り、数多のえにしを目にし、触れた先にて、
はたしてユイは何を求め願うのか。
少女のちょっと不思議な冒険譚。
ここに開幕。
極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。
猫菜こん
児童書・童話
私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。
だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。
「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」
優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。
……これは一体どういう状況なんですか!?
静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん
できるだけ目立たないように過ごしたい
湖宮結衣(こみやゆい)
×
文武両道な学園の王子様
実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?
氷堂秦斗(ひょうどうかなと)
最初は【仮】のはずだった。
「結衣さん……って呼んでもいい?
だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」
「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」
「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、
今もどうしようもないくらい好きなんだ。」
……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。
星降る夜に落ちた子
千東風子
児童書・童話
あたしは、いらなかった?
ねえ、お父さん、お母さん。
ずっと心で泣いている女の子がいました。
名前は世羅。
いつもいつも弟ばかり。
何か買うのも出かけるのも、弟の言うことを聞いて。
ハイキングなんて、来たくなかった!
世羅が怒りながら歩いていると、急に体が浮きました。足を滑らせたのです。その先は、とても急な坂。
世羅は滑るように落ち、気を失いました。
そして、目が覚めたらそこは。
住んでいた所とはまるで違う、見知らぬ世界だったのです。
気が強いけれど寂しがり屋の女の子と、ワケ有りでいつも諦めることに慣れてしまった綺麗な男の子。
二人がお互いの心に寄り添い、成長するお話です。
全年齢ですが、けがをしたり、命を狙われたりする描写と「死」の表現があります。
苦手な方は回れ右をお願いいたします。
よろしくお願いいたします。
私が子どもの頃から温めてきたお話のひとつで、小説家になろうの冬の童話際2022に参加した作品です。
石河 翠さまが開催されている個人アワード『石河翠プレゼンツ勝手に冬童話大賞2022』で大賞をいただきまして、イラストはその副賞に相内 充希さまよりいただいたファンアートです。ありがとうございます(^-^)!
こちらは他サイトにも掲載しています。
わたしの婚約者は学園の王子さま!
久里いちご
児童書・童話
平凡な女子中学生、野崎莉子にはみんなに隠している秘密がある。実は、学園中の女子が憧れる王子、漣奏多の婚約者なのだ!こんなことを奏多の親衛隊に知られたら、平和な学校生活は望めない!周りを気にしてこの関係をひた隠しにする莉子VSそんな彼女の態度に不満そうな奏多によるドキドキ学園ラブコメ。
14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート
谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。
“スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。
そして14歳で、まさかの《定年》。
6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。
だけど、定年まで残された時間はわずか8年……!
――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。
だが、そんな幸弘の前に現れたのは、
「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。
これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。
描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる