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43 決着の朝②
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そうだろうと思った通りに、そこには夕凪さんが居た。
すっごく気に入らない様子で、私たち二人睨み付けていた。
「夕凪……あの」
私は仁王立ちで腕組みをした夕凪さんに話そうとした、鷹羽くんの前に出た。
「夕凪さん。私たち二人、付き合うことにしたから。何しても無駄だから。それに、こんな風に脅したって鷹羽くんは夕凪さんのこと好きにならないと思う」
「……何ですって?」
夕凪さんは私がそう言ったことに驚いているようだ。私だって怖い。向こうは良く目立つ女子で、スクールカースト上位で権力を持っている。
私みたいな目立たないモブのことを、心底馬鹿にしていると思う。
けど、可愛いから目立つからって、言って良いことと悪い事がある。
「だって、このまま行ったとしても、鷹羽くんに嫌われるだけだと思うよ。それに、もしあれが公になったら、夕凪さんがあの写真を公開した犯人だと知っている人が居るんだから、悪者扱いされるのは、どっちだと思う?」
私は冷静に話せていると思う。本当は怖い。だって、すっごい嫌なこと言われるかもしれないし、夕凪さんの視線は一軍女子らしく圧が凄い。
「……何が言いたいのよ」
「夕凪さんのやっていることは、全員不幸になるってこと。だって、これを鷹羽くんがバスケ部の皆に相談したら、どうなると思う? その状態で写真を公開したら? 全校生徒から、後ろ指刺されるよ。鷹羽くん人気あるし、他の好きな子からも嫌われて、すっごく、居づらくなると思うよ」
私の言ったことを聞いて、夕凪さんも顔を青くしていた。だって、そうなるって冷静に考えられたら、しないと思うけど……それが見えなくなるくらい、鷹羽くんのことを好きだったんだよね。
「もう……やめた方が良いと思う。だって、邪魔されたら、私と鷹羽くんもっとお互いに好きになるよ。恋の障害ってそう言うことだよ。夕凪さんのしていることって、全部逆効果だし、鷹羽くんがもっと私を好きになるように仕向けているのかなって思っちゃう」
私がそこまで言うと、夕凪さんは顔を真っ赤にして振り返って去っていった。
嫉妬でおかしくなるって、割と普通のことみたいだし、そうなってもおかしくないよね。
けど、どんな物語でも、それをしてしまえば、好きな人には永遠に好かれることは無くなるんだよね。
私は夕凪さんの後ろ姿が見えなくなるまで眺めてから、後ろに居る鷹羽くんを振り返った。彼は口元を押さえて何だか感動しているようだった。
「ごめん。余計なことした?」
「いや……俺こそごめん。有馬に守って貰って……」
鷹羽くんは赤い顔で、苦笑していた。
私は何となく、戦った後のように気持ちは高揚していた。うん。あれって、恋の戦いだったのかな……私、勝ったのかな。
これだけはわかる。怖くても、逃げずに立ち向かえたと思う。
「あのね。私……鷹羽くんの事が好き。私のことを好きな理由……教えてもらって良い?」
この前から、これを聞きたくて堪らなかった。
いつもの私なら言えなかったかもしれない。けど、今なら。
「うん。俺が有馬を好きになった理由は……」
苦笑して話し出した鷹羽くんの理由に、私は顔に熱が上がり……二人して、真っ赤な顔をして授業を受けることになったのでした。
Fin
すっごく気に入らない様子で、私たち二人睨み付けていた。
「夕凪……あの」
私は仁王立ちで腕組みをした夕凪さんに話そうとした、鷹羽くんの前に出た。
「夕凪さん。私たち二人、付き合うことにしたから。何しても無駄だから。それに、こんな風に脅したって鷹羽くんは夕凪さんのこと好きにならないと思う」
「……何ですって?」
夕凪さんは私がそう言ったことに驚いているようだ。私だって怖い。向こうは良く目立つ女子で、スクールカースト上位で権力を持っている。
私みたいな目立たないモブのことを、心底馬鹿にしていると思う。
けど、可愛いから目立つからって、言って良いことと悪い事がある。
「だって、このまま行ったとしても、鷹羽くんに嫌われるだけだと思うよ。それに、もしあれが公になったら、夕凪さんがあの写真を公開した犯人だと知っている人が居るんだから、悪者扱いされるのは、どっちだと思う?」
私は冷静に話せていると思う。本当は怖い。だって、すっごい嫌なこと言われるかもしれないし、夕凪さんの視線は一軍女子らしく圧が凄い。
「……何が言いたいのよ」
「夕凪さんのやっていることは、全員不幸になるってこと。だって、これを鷹羽くんがバスケ部の皆に相談したら、どうなると思う? その状態で写真を公開したら? 全校生徒から、後ろ指刺されるよ。鷹羽くん人気あるし、他の好きな子からも嫌われて、すっごく、居づらくなると思うよ」
私の言ったことを聞いて、夕凪さんも顔を青くしていた。だって、そうなるって冷静に考えられたら、しないと思うけど……それが見えなくなるくらい、鷹羽くんのことを好きだったんだよね。
「もう……やめた方が良いと思う。だって、邪魔されたら、私と鷹羽くんもっとお互いに好きになるよ。恋の障害ってそう言うことだよ。夕凪さんのしていることって、全部逆効果だし、鷹羽くんがもっと私を好きになるように仕向けているのかなって思っちゃう」
私がそこまで言うと、夕凪さんは顔を真っ赤にして振り返って去っていった。
嫉妬でおかしくなるって、割と普通のことみたいだし、そうなってもおかしくないよね。
けど、どんな物語でも、それをしてしまえば、好きな人には永遠に好かれることは無くなるんだよね。
私は夕凪さんの後ろ姿が見えなくなるまで眺めてから、後ろに居る鷹羽くんを振り返った。彼は口元を押さえて何だか感動しているようだった。
「ごめん。余計なことした?」
「いや……俺こそごめん。有馬に守って貰って……」
鷹羽くんは赤い顔で、苦笑していた。
私は何となく、戦った後のように気持ちは高揚していた。うん。あれって、恋の戦いだったのかな……私、勝ったのかな。
これだけはわかる。怖くても、逃げずに立ち向かえたと思う。
「あのね。私……鷹羽くんの事が好き。私のことを好きな理由……教えてもらって良い?」
この前から、これを聞きたくて堪らなかった。
いつもの私なら言えなかったかもしれない。けど、今なら。
「うん。俺が有馬を好きになった理由は……」
苦笑して話し出した鷹羽くんの理由に、私は顔に熱が上がり……二人して、真っ赤な顔をして授業を受けることになったのでした。
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