ときめき♥沼落ち確定★婚約破棄!

待鳥園子

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07 異世界から来た聖女①

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「レティシア。それでは、早速帰りの天馬車まで、このまま向かいます。君の生活に必要なものは、僕は全てすぐに用意させますので、これからについては、着の身着のままで何の心配も要りませんよ」

 ヴィクトルはそんな会話をしつつも、歩みを止めない。ここで私は先程から彼に言いたかったことを思い出した。

「あっ……あの、ヴィクトル。実は私……さっきは不注意で転んでしまっただけで、別に足を痛めたりしていないんです……だから」

 私は抱き上げた腕から下ろしてくれれば自分で歩くと言いたかったんだけど、ヴィクトルは降ろす気はさらさらなさそうで、何故か城の階段を上へ昇り出した。

 今……確か馬車を、用意するって言ってたよね?

 簡単には戻れなさそうに言っていた遠方への移動だし、時間がかかるのかもしれない。

 用意された待合室か、何処かに行くのかもしれない……? このまま貴族の常識知らないで動くって自殺行為だし、本当にヴィクトルが出て来てくれて良かった……。

「レティシア。淑女が足を痛めていないと、こうして移動してはならないという法律はありませんよ」

「だって……その、私……重くはないですか?」

 私の着ているドレスは、王太子の婚約者として相応しくとても豪華で、とても重い……そんな私の心配を聞いて軽く笑うと、ヴィクトルは楽しそうに言った。

「辺境伯の仕事を、知っていますか?」

「え。国境を、守ること……?」

 唐突にされた質問に、私は何を聞くのかと戸惑った。確かヴィクトルはさっき、自分でそう言っていたはずだけど。

「そうです。敵や魔物を国境で退けている騎士団の司令官なので、この程度の重さをこの距離歩くことが出来ないようでは、とても務まりません。どうか、気にしないでください。僕がやりたくてやっているだけなので」

「……ごめんなさい」

 そんな彼にまるで力ない男性だと心配したように聞こえてしまったかもしれない。失礼なことを言ってしまった。

「謝るようなことでもないですよ。レティシア。公爵令嬢は、自分より身分の低い者に対し、このように簡単に謝ってはいけません」

 そっか……そうだよね。貴族って難しい。ヴィクトルに辺境に匿って貰う間に、勉強しなきゃ。

「ごめ……ふふ。まだ、謝るところでした」

 日本人って、他の国の人からすると、驚くくらい謝っているっていうよね……いけないいけない。合わせなきゃ。

 せっかく幸運すぎる偶然でヴィクトルに助けて貰ったと言うのに、怪しまれてもいけない。

「いや……僕の都合もあります。ドレスを着た君の歩幅に合わせていたら、目的の場所に到着するまでに夜が明けてしまうという危険性もあります」

 それは多分、ヴィクトルには茶目っ気を出した冗談なんだろうけど、それって確かに冗談で終われないかもしれない。

「ヴィクトルの言う通り……この速度では、私は絶対に歩けないです……」

 階段もこんなに颯爽とした速度で上がれないし、何もかもヴィクトルの言った通りだった。

 それに、彼は今夜中に自分の守護する辺境に出発しないといけないだろうし、早く行かなきゃと言うのならそうだろうと思った。
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