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18 傲慢
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どちらでも構わないし……どうでも良いわ。貴族の血を引くというだけの私を娶っても、傲慢なイーサンは何もかもを自分の思うままの自由にするだろうから。
イーサンの顔がある程度整っているから彼を愛せるかと言われると、私はそうでもない。
王太子ギャレット様があれほどに人気があるのは、彼の人柄が、ふとした振る舞いにかいま見えるからかもしれない。優しくて真面目で、そして、誰に対しても常に敬意を持って接している。
目の前のイーサンは巨万の富を得る代わりに、そういう人格者たるべき資質を遠い過去に全部捨てて来てしまっているのかもしれない。
「僕とローレンは、変な関係性だ。こうして会っているとまるで浮気をしているようだが、何も知らない王太子より僕の方が君を束縛する権利があるというのに」
「イーサン。王妃様はなんて?」
私はイーサンの軽口を無視して、自分が知りたかったことを聞いた。
「王太子に見られたあの時に、僕に出会ったことにすれば良いと。それから偶然の出会いを何度も重ねて、僕たちは愛を深めるという訳だ」
隠すべきギャレット様にはイーサンと私が会っているところを見せてしまっているから、無関係でいるのもおかしい。これから、イーサンとは公の場で会えば仲の良い関係でいなければ、この先の展開がおかしくなってしまう。
「そうね……私も王太子妃の立場の重圧から、逃げ出したことにするわ。そうすれば、自分から望んだ場所に居たというのに、他の男性を選び逃げ出したとんでもない卑怯者の出来上がりね」
私は彼の対面の席へと座り、いつものように人を食った笑いを浮かべたイーサンに言った。
「やれやれ。そんなに強がらなくても良いだろう。父や弟のために、君も大変だね。同情するよ」
「そんなものは要らないわ。欲しがっている人なんて、そこら辺にたくさん居るんだから、私ではなくそういう誰かにあげれば良いでしょう」
共犯者のイーサンに同情なんて、されたくない。私は自分で、この道を行くと選んだのだから。
それに、自分が可哀想だと思って、何が楽しいのかしら。さめざめと泣いている間に、誰かに利用されて搾取されるなんて真っ平だわ。
肘をついて私を見つめるイーサンは目の前にあったお茶を口に含み、やけに大げさに肩を竦めた。
「やれやれ。父親があんな風にならなければ、君も何の努力もなく幸せになれただろうに」
「何も考えず、自分でまったく努力もせず幸せに? まるで、夢物語ね。そんな人、この世界に存在しているのかしら」
「……君以外の貴族令嬢は、大体そうじゃないのか。家も裕福で、生活も困ることはない。気になることと言えば、貴族の中で持て囃される流行と自分の恋の行方くらいか」
イーサンは庶民からのし上がった彼らしく、日々夜会でダンスを楽しむ貴族がよほどお気楽に見えるのだろう。
それも仕方ない。誰だってその立場にあらねば、誰かの苦しみを理解することなんて、不可能だからだ。
イーサンの顔がある程度整っているから彼を愛せるかと言われると、私はそうでもない。
王太子ギャレット様があれほどに人気があるのは、彼の人柄が、ふとした振る舞いにかいま見えるからかもしれない。優しくて真面目で、そして、誰に対しても常に敬意を持って接している。
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「そんなものは要らないわ。欲しがっている人なんて、そこら辺にたくさん居るんだから、私ではなくそういう誰かにあげれば良いでしょう」
共犯者のイーサンに同情なんて、されたくない。私は自分で、この道を行くと選んだのだから。
それに、自分が可哀想だと思って、何が楽しいのかしら。さめざめと泣いている間に、誰かに利用されて搾取されるなんて真っ平だわ。
肘をついて私を見つめるイーサンは目の前にあったお茶を口に含み、やけに大げさに肩を竦めた。
「やれやれ。父親があんな風にならなければ、君も何の努力もなく幸せになれただろうに」
「何も考えず、自分でまったく努力もせず幸せに? まるで、夢物語ね。そんな人、この世界に存在しているのかしら」
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それも仕方ない。誰だってその立場にあらねば、誰かの苦しみを理解することなんて、不可能だからだ。
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