もう我慢しなくて良いですか? 【連載中】

青緑 ネトロア

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第一部

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メリシャは少年から値踏みをされるような不躾な視線から隠れるように、枢機卿の背後へと隠れた。
少年が声を上げた事で、その場に様々な人が様子を窺うように人集りができていた。護衛を陰からしていた聖騎士達は人集りを割くことができず、人と人に挟まれるような形で見守ることしかできない。

「おい、隠れるな!俺はお前が気に入ったぞ。俺の婚約者にしてやる。」

「殿下。相手は貧しい者とお見受けします。どうか御再考くださいませっ。」

「俺が決める事だ!おい、小娘。お前に拒否権はないぞ?覚えておけ!」

騒がしく叫んだ少年は宥める付き人を連れて、その場を離れていく。メリシャは枢機卿の袖を掴み、枢機卿は僅かに震える身体に気付き、抱き上げて急ぎ足で宿屋へと向かった。
余興のように集まっていた人集りも散り散りになり、やっと自由になった聖騎士達は枢機卿の後を追う。

「さっきの子、怖かったぁ。お義父様、あれってどういう事なの?」

宿屋に辿り着いた二人は泊まっている部屋に戻り、枢機卿は相談を持ち掛けられていた。枢機卿は答えにくそうに頭を抱えていたが、安心させるように微笑んでみるも、メリシャの顔に目線を合わせた途端、顔が引き攣ってしまう。

「あれは一種の貴族か、王族に連なる者と思われます。高位貴族であれば、私に断ることは難しいかもしれません。メリシャ様が望むのであれば、打診が来た際に何としてでも断るつもりです。」

「あの子の顔を思い浮かべると、鳥肌が立って恐ろしく思えるの。でも断ったとしても、受け入れてもらえる気がしないよ?」

メリシャは枢機卿の顔を見つめながら、例の少年の浮かべた顔が浮かび、断った先が恐ろしくなっていた。その声に寄り添うように枢機卿は考えを絞り出すが、撤回できる未来が見えなかった。

「そうですな。いくら教会側だと言っても、こちらは男爵位。強引な手に出られた場合、現状では対処の仕様がありません。」

「なら私は受けても良いと思う。いざって時は、ルーと逃げれば良いわ。その時はお義父様も連れて行くね!」

「はい。メリシャ様の御意志に従います。」

メリシャは打診が来る事に覚悟を決めるが、同時に少年の印象から少なくとも仲良くできないだろうと感じていた。出来るだけ機嫌を損ねないように努めようと、メリシャは重く受け止めようと考えていた。
枢機卿は目前で決意を固めるメリシャに不安を覚えていた。そしてメリシャから少し視線をずらし、心の中で女神への懺悔を溢していた。
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