27 / 116
第一部
26
しおりを挟む
就寝の時間、メリシャが眠りについたのを見計らって、ネリは再び飛び立っていく。
それを眺めながら、メリシャを起こさないように結果を何重にも張り巡らせ、寝室のみ外部との接触を断つ。
偶に寝返りを打つメリシャへ器用に布団を被せるルーは、その寝顔を静かに眺め続けた。
時を同じくして、女子寮前に佇む教員がいた。
空から音もなく静かに降り立つ鷹のような鳥は、その教員に目を向ける。
教員は手にしていた杖を地面に置き、鳥の目線に合わせるように、地面に座る。
『リーティ講師。此度は何用で参った。』
「はい。私は聖女様の監視者として教会より派遣された一人であり、あなた方に敵対する者でないことをここに宣誓いたします。」
『ふむ。あの狸も一言言えば良いものを、紛らわしい事をするな。…して、それだけではあるまい?』
「はい。今朝方、ある女生徒が中庭にて散策中、日頃は大人しい筈の鳥に攻撃されたと。そして突かれたことに怒り、魔法で攻撃した結果、跳ね返って気絶したと聞いております。彼の方より聞き入っていた私めの見解から、聖女様に何かあったのかと推測しておりました。」
『確かではある。主人に実害がある前に対処するのは従魔の役割だ。それを事前に知ったのであれば、尚のこと。』
「確かにその通りであります。ただ今後、穏便な方法を取ってもらえないでしょうか。此度のように教員が大勢で対処を余儀なくされるため、聖女様の教育に差し支えます故。」
『良いだろう。私も彼の方の今後を奪う気はない。だが敵対行為をされた場合は、その限りでないと知れ。私は彼の方の元へ帰る。』
「御意に。」
その後、飛び立った鳥を見届けたリーティ講師は杖に半身を預けて、ドッと吹き出した汗と倦怠感からその場に伏せた。
どれだけそうしていたか、心の整理がついた彼女は精神安定魔法を自身に掛けて、それでもふらつきながら帰路についた。
窓から帰ってきたネリはスヤスヤと眠るメリシャと、外界を断絶する勢いで張られた結界に苦笑いする。
『帰ったか。』
『ああ。これでメリシャ様に敵意が向くことは減るだろう。また何かあっても我らが対処するだけだ。何か問題はあったか?』
『廊下から何者かが扉へ近付く気配を感じたため、念の為に結界を張った。他にあったとすれば、メリシャ様が寝返りを数度打ったことだろう。』
『そうか。』
お互いに笑みを浮かべ、ネリも加わって、メリシャの寝顔を眺め始めた。
それを眺めながら、メリシャを起こさないように結果を何重にも張り巡らせ、寝室のみ外部との接触を断つ。
偶に寝返りを打つメリシャへ器用に布団を被せるルーは、その寝顔を静かに眺め続けた。
時を同じくして、女子寮前に佇む教員がいた。
空から音もなく静かに降り立つ鷹のような鳥は、その教員に目を向ける。
教員は手にしていた杖を地面に置き、鳥の目線に合わせるように、地面に座る。
『リーティ講師。此度は何用で参った。』
「はい。私は聖女様の監視者として教会より派遣された一人であり、あなた方に敵対する者でないことをここに宣誓いたします。」
『ふむ。あの狸も一言言えば良いものを、紛らわしい事をするな。…して、それだけではあるまい?』
「はい。今朝方、ある女生徒が中庭にて散策中、日頃は大人しい筈の鳥に攻撃されたと。そして突かれたことに怒り、魔法で攻撃した結果、跳ね返って気絶したと聞いております。彼の方より聞き入っていた私めの見解から、聖女様に何かあったのかと推測しておりました。」
『確かではある。主人に実害がある前に対処するのは従魔の役割だ。それを事前に知ったのであれば、尚のこと。』
「確かにその通りであります。ただ今後、穏便な方法を取ってもらえないでしょうか。此度のように教員が大勢で対処を余儀なくされるため、聖女様の教育に差し支えます故。」
『良いだろう。私も彼の方の今後を奪う気はない。だが敵対行為をされた場合は、その限りでないと知れ。私は彼の方の元へ帰る。』
「御意に。」
その後、飛び立った鳥を見届けたリーティ講師は杖に半身を預けて、ドッと吹き出した汗と倦怠感からその場に伏せた。
どれだけそうしていたか、心の整理がついた彼女は精神安定魔法を自身に掛けて、それでもふらつきながら帰路についた。
窓から帰ってきたネリはスヤスヤと眠るメリシャと、外界を断絶する勢いで張られた結界に苦笑いする。
『帰ったか。』
『ああ。これでメリシャ様に敵意が向くことは減るだろう。また何かあっても我らが対処するだけだ。何か問題はあったか?』
『廊下から何者かが扉へ近付く気配を感じたため、念の為に結界を張った。他にあったとすれば、メリシャ様が寝返りを数度打ったことだろう。』
『そうか。』
お互いに笑みを浮かべ、ネリも加わって、メリシャの寝顔を眺め始めた。
18
あなたにおすすめの小説
義妹が聖女を引き継ぎましたが無理だと思います
成行任世
恋愛
稀少な聖属性を持つ義妹が聖女の役も婚約者も引き継ぐ(奪う)というので聖女の祈りを義妹に託したら王都が壊滅の危機だそうですが、私はもう聖女ではないので知りません。
婚約破棄が私を笑顔にした
夜月翠雨
恋愛
「カトリーヌ・シャロン! 本日をもって婚約を破棄する!」
学園の教室で婚約者であるフランシスの滑稽な姿にカトリーヌは笑いをこらえるので必死だった。
そこに聖女であるアメリアがやってくる。
フランシスの瞳は彼女に釘付けだった。
彼女と出会ったことでカトリーヌの運命は大きく変わってしまう。
短編を小分けにして投稿しています。よろしくお願いします。
最初からここに私の居場所はなかった
kana
恋愛
死なないために媚びても駄目だった。
死なないために努力しても認められなかった。
死なないためにどんなに辛くても笑顔でいても無駄だった。
死なないために何をされても怒らなかったのに⋯⋯
だったら⋯⋯もう誰にも媚びる必要も、気を使う必要もないでしょう?
だから虚しい希望は捨てて生きるための準備を始めた。
二度目は、自分らしく生きると決めた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
いつも稚拙な小説を読んでいただきありがとうございます。
私ごとですが、この度レジーナブックス様より『後悔している言われても⋯⋯ねえ?今さらですよ?』が1月31日頃に書籍化されることになりました~
これも読んでくださった皆様のおかげです。m(_ _)m
これからも皆様に楽しんでいただける作品をお届けできるように頑張ってまいりますので、よろしくお願いいたします(>人<;)
聖女解任ですか?畏まりました(はい、喜んでっ!)
ゆきりん(安室 雪)
恋愛
私はマリア、職業は大聖女。ダグラス王国の聖女のトップだ。そんな私にある日災難(婚約者)が災難(難癖を付け)を呼び、聖女を解任された。やった〜っ!悩み事が全て無くなったから、2度と聖女の職には戻らないわよっ!?
元聖女がやっと手に入れた自由を満喫するお話しです。
婚約破棄された私は、処刑台へ送られるそうです
秋月乃衣
恋愛
ある日システィーナは婚約者であるイデオンの王子クロードから、王宮敷地内に存在する聖堂へと呼び出される。
そこで聖女への非道な行いを咎められ、婚約破棄を言い渡された挙句投獄されることとなる。
いわれの無い罪を否定する機会すら与えられず、寒く冷たい牢の中で断頭台に登るその時を待つシスティーナだったが──
他サイト様でも掲載しております。
婚約者を寝取った妹にざまあしてみた
秋津冴
恋愛
一週間後に挙式を迎えるというある日。
聖女アナベルは夫になる予定の貴族令息レビルの不貞現場を目撃してしまう。
妹のエマとレビルが、一つのベットにいたところを見てしまったのだ。
アナベルはその拳を握りしめた――
現聖女ですが、王太子妃様が聖女になりたいというので、故郷に戻って結婚しようと思います。
和泉鷹央
恋愛
聖女は十年しか生きられない。
この悲しい運命を変えるため、ライラは聖女になるときに精霊王と二つの契約をした。
それは期間満了後に始まる約束だったけど――
一つ……一度、死んだあと蘇生し、王太子の側室として本来の寿命で死ぬまで尽くすこと。
二つ……王太子が国王となったとき、国民が苦しむ政治をしないように側で支えること。
ライラはこの契約を承諾する。
十年後。
あと半月でライラの寿命が尽きるという頃、王太子妃ハンナが聖女になりたいと言い出した。
そして、王太子は聖女が農民出身で王族に相応しくないから、婚約破棄をすると言う。
こんな王族の為に、死ぬのは嫌だな……王太子妃様にあとを任せて、村に戻り幼馴染の彼と結婚しよう。
そう思い、ライラは聖女をやめることにした。
他の投稿サイトでも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる