もう我慢しなくて良いですか?

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第一部

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翌日から通常通りの授業が始められる事となった。教室内では初日に埋まっていた席の約半数に近い人数の生徒が欠席している。何か家の事情で休学する事になったらしい。
一生徒であるメリシャは、友人になれたかもしれない同じ教室の生徒が来れなくなった事に少し寂しさを覚えた。しかし休憩時間に、他の教室にいる生徒と仲良くなれた事によって、その寂しさも微かであるが薄まっていく。そうしてメリシャの学園生活は始まるのだった。

休日は学園生活を送る間、暮らす家を枢機卿と手分けして荷解きを行う。始めは枢機卿も物件の紹介に携わった神官もメリシャを遠ざけようと画策したが、メリシャの落ち込む姿勢にルーとネリが訴えた事で軽い荷運び役に収まってしまう。
陰から神官達が怪我をしないよう、静かに気配を消して見守る中、危なげなく運んでいく。その背を眺める神獣達は陰から丸見えな神官に呆れながら、些細な補助をおこなっている。ルーは床の尖った箇所を踏み固め、ネリは微風で荷を落とさないよう安定させていた。

本来であれば休日には婚約者となっている王子との社交パーティーへ赴く予定だったが、先方から取り止めるという書簡が届けられたため、こうして枢機卿と過ごしていた。彼らはそれを素直に受け入れ、いつの日か再び会う日を想いながら休日を過ごした。だが休日明けに、それは違うのだという事を学園で伝え聞くのだった。

教室に入り、同じクラスの生徒に挨拶をしたが、一部の女生徒達はキッと睨むだけで返答はされなかった。その原因を授業が終えた休憩時間に、仲が良くなった生徒達から伝え聞く事になった。

枢機卿と過ごしていた休日、実は社交パーティーは王子主催のもとに開催されていたのだ。王子は婚約者が社交慣れしていないため不参加だと告げたが、社交界に於いて婚約者が決まった際に一度は他の貴族に顔を見せる決まりが存在していた。それは上級貴族に限らず下級貴族であっても範囲内である。それを無視したメリシャへの怒りが参加した令息や令嬢から伝え聞き、教室内の一部の生徒の耳に入ったようだった。

仲の良い生徒達は当日に取り止めの書簡を受け取ったというメリシャの主張を信じてくれたが、同じ教室の生徒や他の教室の先生などから信じてもらえることはなかった。その日を境に少しずつであるが、生徒によるグループ化が起こり、メリシャはどこのグループとも話せず学園生活を送ることとなった。

そして神獣から不快に思われた生徒への報復が内々に行われ、他の教室でも生徒が減り、担当講師が嘆いたとか…。
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