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第一部
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夜が明け、聖騎士が昨晩の焚き火を弄っていたとき、砦から門兵が出てきた。
責任者を要求されたため、枢機卿が対応に当たることとなった。
「現在、領主様からの指示を待っております。」
数人の聖騎士が天幕の外で睨みを効かせる中、門兵は書簡を広げ、指示書を読み上げる。
「領都では現在、魔物狩りの対策を講じており、連絡が届くまで時間が要するとのことです。神官様たちには申し訳ありませんが、当分の間は門前で過ごしていただく次第で御座います。」
「構いませんよ。事態が事態ですから、困惑するのも仕方ないでしょう。分かりました。では我々は、その連絡を待つと致しましょう。」
門兵は枢機卿の穏やかそうな声音を聴きながら、体の震えを抑え付けて話し続けている。
「ありがとうございます。私は砦の末端ですので、もし何か御用が御座いましたら、上に御相談していただければ幸いです。」
内心で関わりたくないという想いが伝わるような言葉を残す素直な門兵。
枢機卿は苦笑しつつ、それに対して了承する。
「ええ、承知いたしました。ご苦労様です。」
門兵は指示書を手渡すと、駆け足で門へ走っていく。
その背後を見ている一行は遠目に門の中へ入ったのを確認すると、傍らに違和感なく佇む聖獣から声を掛けられる。
『あの者は生来の正直者のようだな。あれほど邪念すら持ち合わせない人間は珍しいぞ。』
「今回は報告に来ましたが、通常時は本当にそうなのでしょうね。」
枢機卿は何やら微笑ましそうに語りかける。
『お前もそれくらい分かりやすければ良いのに、な。』
「いえいえ。ルー様。そんなに分かりやすかったら、この地位に居ませんでしたよ。」
聖騎士たちが遠巻きに眺める中、比較的穏やかな会話が聖獣ルーと枢機卿との間で交わされる。
何処か緊張感が解れる光景に安堵していたが、天幕の中からネリが飛び出してきたことで、緊張感が舞い戻った。
そこには聖女の衣装に着替え終えたメリシャが天幕から出てくる所だった。
「ルー。お出迎えは?」
『メリシャ様!兵士の方は、報告だけして既に戻られましたよ。』
ルーは尻尾を振りながら、メリシャの顔を見上げて、そう告げた。
「そうですか。枢機卿様、状況はどうなっているか、お聞きしても宜しいでしょうか。」
「はい。やはり当分は野宿をすることが決まりました。食糧の関係上、砦に手助けは期待できないでしょう。聖騎士たちが食糧を調達いたしますので、ご不便をお掛けいたします。」
枢機卿の言葉に頷くメリシャは、再び天幕の中へ戻っていく。
それを皮切りに、枢機卿は聖騎士への指示を出し始めるのだった。
--------------------
※お知らせ※
次回更新日程:2024年10月26日 17:00・予定
責任者を要求されたため、枢機卿が対応に当たることとなった。
「現在、領主様からの指示を待っております。」
数人の聖騎士が天幕の外で睨みを効かせる中、門兵は書簡を広げ、指示書を読み上げる。
「領都では現在、魔物狩りの対策を講じており、連絡が届くまで時間が要するとのことです。神官様たちには申し訳ありませんが、当分の間は門前で過ごしていただく次第で御座います。」
「構いませんよ。事態が事態ですから、困惑するのも仕方ないでしょう。分かりました。では我々は、その連絡を待つと致しましょう。」
門兵は枢機卿の穏やかそうな声音を聴きながら、体の震えを抑え付けて話し続けている。
「ありがとうございます。私は砦の末端ですので、もし何か御用が御座いましたら、上に御相談していただければ幸いです。」
内心で関わりたくないという想いが伝わるような言葉を残す素直な門兵。
枢機卿は苦笑しつつ、それに対して了承する。
「ええ、承知いたしました。ご苦労様です。」
門兵は指示書を手渡すと、駆け足で門へ走っていく。
その背後を見ている一行は遠目に門の中へ入ったのを確認すると、傍らに違和感なく佇む聖獣から声を掛けられる。
『あの者は生来の正直者のようだな。あれほど邪念すら持ち合わせない人間は珍しいぞ。』
「今回は報告に来ましたが、通常時は本当にそうなのでしょうね。」
枢機卿は何やら微笑ましそうに語りかける。
『お前もそれくらい分かりやすければ良いのに、な。』
「いえいえ。ルー様。そんなに分かりやすかったら、この地位に居ませんでしたよ。」
聖騎士たちが遠巻きに眺める中、比較的穏やかな会話が聖獣ルーと枢機卿との間で交わされる。
何処か緊張感が解れる光景に安堵していたが、天幕の中からネリが飛び出してきたことで、緊張感が舞い戻った。
そこには聖女の衣装に着替え終えたメリシャが天幕から出てくる所だった。
「ルー。お出迎えは?」
『メリシャ様!兵士の方は、報告だけして既に戻られましたよ。』
ルーは尻尾を振りながら、メリシャの顔を見上げて、そう告げた。
「そうですか。枢機卿様、状況はどうなっているか、お聞きしても宜しいでしょうか。」
「はい。やはり当分は野宿をすることが決まりました。食糧の関係上、砦に手助けは期待できないでしょう。聖騎士たちが食糧を調達いたしますので、ご不便をお掛けいたします。」
枢機卿の言葉に頷くメリシャは、再び天幕の中へ戻っていく。
それを皮切りに、枢機卿は聖騎士への指示を出し始めるのだった。
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