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第一部
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しおりを挟む領境で最小限の安全を保障された場所で、快適な生活を送ること早三日を過ぎようとしていた。
旅人の場合は、自身の体を第一に考え、行動を定めている。
商人の場合は、販売目的で商品の状態を考える者、領地入り後の商機を狙う者、何を第一に捉えるかで変わる。
メリシャたち教会の一行は、聖獣の存在と、枢機卿と神官による結界と、聖騎士による食糧調達によって快適に過ごす環境が構築されていた。
「ルー。私は何も手伝えていないけれど、良いのかな?」
天幕の中で子犬姿のルーと戯れていたメリシャがふと声を零した。
「メリシャ様は料理の際に陰ながら手伝っていただいております故、休んでいただきたいというのが彼らの願いでもあるのです。メリシャ様の安全という意味でも、天幕にいる必要がありますし。」
ルーはメリシャに撫でられることに喜びを感じながら、不安と心配が混ざったような顔で俯くメリシャを励まそうと言葉をかける。
そう言っていたルーだが、内心はネリからの小言を避けたい想いも含まれていた。
そんな不安を悟ったかのように、天幕の中へ枢機卿が訪れた。
「メリシャ様。ご不便はありませんでしょうか。ご負担をかけず、安全を重視しております。」
枢機卿は外行き用の固い言葉を使って語りかけている。
「ロス枢機卿。メリシャ様は何か手伝いたいようだが、安全を前提に何かできることはないだろうか?」
ルーの言葉に枢機卿は暫し、メリシャを観察しながら思案する。
この一行の中では、聖女であるメリシャと聖獣のルーとネリという存在は上位に位置する代表的な存在だ。
その下位に枢機卿や神官といったピラミッド状で階級などが決まっている。
戦闘となれば後方支援に徹するメリシャや枢機卿を筆頭に神官は拠点から動くことは無いに等しい。
メリシャの不安を解消する道として、聖騎士の帰還後にメリシャの前に呼ぼうと画策する。
その激励会を枢機卿が画している一方で、食肉や山菜を調達していた聖騎士たちは突然悪寒を感じて身震いをしていた。
お互い顔を見合わせる聖騎士たちだが、直感が働くことはなく、慎重な行動を余儀なくされたのだった。
聖騎士たちは足が重く、天幕までの道のりが遠く感じられた。
後に天幕前で仁王立ちする枢機卿を見た彼らは声に出さず、互いの交差する目線だけで件の悪寒の原因を悟った瞬間であった。
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※お知らせ※
次回更新日程:2024年11月15日 17:00・予定
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