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五、
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その後、お芙沙と初姫も無事に茶を飲み干し、合格者だけが部屋へ戻されることになった。
「常盤!無事だったかい」
部屋に入るなり、夕霧が駆け寄ってくるのが見えて、常盤は相好を崩した。
「ええ。夕霧姐さんも、ご無事で何よりです」
お互いの無事を喜ばねばならないところが、昨日とは状況が一変してしまったことを示す何よりの証拠であった。
夕霧は常盤の耳に口を寄せるなり、
「……あんたの時も人が死んだかい」
「ええ」
常盤は声を低めて応じた。
「お上は何を考えてるんだろうね。人死にが出ても構わないと思っているのか」
「そう考えるより他にないと思います。夕霧姐さん」
「何だい?」
「夕霧姐さんの茶碗には、何が入っていましたか」
夕霧は目を丸くして、苦く笑った。
「てことは、あんたが飲んだのも茶じゃなかったってことか」
「はい。わたしのは色のついた泥水でした」
夕霧の顔から血の気が引いた。
「何てひどい。早く吐き出さないと腹を壊すよ」
「大丈夫です。手水場で先ほど吐き出してしまいましたから。それより、夕霧さんは」
「私は平気だよ。茶なのに変に辛くて、とても飲めたもんじゃなかったが。遊廓じゃ、もっとえげつないことが日常茶飯事だったからね」
怒りのあまりこめかみに青筋を浮かせて、夕霧は言い募った。
「これが人間のやることなのかい。私らを家畜のように扱って」
「しかしながら、待遇は丁寧なものです。やはり私たちを試しているのでしょう」
「吐き気のするやり方だね」
夕霧は眦を裂いて憤っている。
彼女の怒りが、逆に常盤を鎮静化してくれた。
その時、不意に扉の外で気配がして、常盤は人差し指を唇に当て、
「しっ」
「常盤!無事だったかい」
部屋に入るなり、夕霧が駆け寄ってくるのが見えて、常盤は相好を崩した。
「ええ。夕霧姐さんも、ご無事で何よりです」
お互いの無事を喜ばねばならないところが、昨日とは状況が一変してしまったことを示す何よりの証拠であった。
夕霧は常盤の耳に口を寄せるなり、
「……あんたの時も人が死んだかい」
「ええ」
常盤は声を低めて応じた。
「お上は何を考えてるんだろうね。人死にが出ても構わないと思っているのか」
「そう考えるより他にないと思います。夕霧姐さん」
「何だい?」
「夕霧姐さんの茶碗には、何が入っていましたか」
夕霧は目を丸くして、苦く笑った。
「てことは、あんたが飲んだのも茶じゃなかったってことか」
「はい。わたしのは色のついた泥水でした」
夕霧の顔から血の気が引いた。
「何てひどい。早く吐き出さないと腹を壊すよ」
「大丈夫です。手水場で先ほど吐き出してしまいましたから。それより、夕霧さんは」
「私は平気だよ。茶なのに変に辛くて、とても飲めたもんじゃなかったが。遊廓じゃ、もっとえげつないことが日常茶飯事だったからね」
怒りのあまりこめかみに青筋を浮かせて、夕霧は言い募った。
「これが人間のやることなのかい。私らを家畜のように扱って」
「しかしながら、待遇は丁寧なものです。やはり私たちを試しているのでしょう」
「吐き気のするやり方だね」
夕霧は眦を裂いて憤っている。
彼女の怒りが、逆に常盤を鎮静化してくれた。
その時、不意に扉の外で気配がして、常盤は人差し指を唇に当て、
「しっ」
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