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餌にならずに済んだみたいです
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目の前まで来た白虎は鼻を近づけて、しばらく私をフンフンと嗅いでいた。
「・・・」
餌かどうか訝しんでいるのだろうか。
私の首元を念入りに嗅いだ後、頭やお腹にまで鼻先を近づけてフンフンと嗅ぎまわる。
・・私、お風呂入ったよね?
命の危機だと言うのに、何か侮辱された気がしてスンッとなった。
しばらく嗅ぎまわってようやく満足したのか、白虎は最後に私の顔をひと舐めして、その場に座った。
いや、座るその前に、フルリと震えてその輪郭が溶けていく。
パチパチと瞬きをしているうちに、大きかった体がぼやけながらどんどん小さくなっていって、そして目の前にー
今まで見たことないがないほどの美形が現れた。
所々黒のメッシュが入った真っ白な長髪。
頭頂部に並ぶ、2つの大きな虎の耳。
吸い込まれそうな紫の瞳。
細面の、モデルのように美しい顔には微笑が浮かんでいる。
成り行きを見守っていた群衆から細波のように騒めきが起こり、やがてそれは歓声になった。
「顕現された!」
「顕現されたぞ!」
「何と・・!ようやく」
阿王なんてボロ泣きしてたらしいけど、私は何が起こってるんだかわからず目の前のイケメンを見上げてポカンとしていた。
(この人・・もしかしてさっきの白虎?)
気づいた時にはそのイケメンに横抱きにされていて、物凄く焦る。
イケメンは愛おしげに私を見つめると、そのまま回れ右をして洞窟に向かって歩き出した。
え?え?
背を反らして振り返ると、何やら手の甲で目元を拭っている阿王が見えた。
松明からどんどん遠ざかっていく。
「んんー!」
リアルお持ち帰りされてるんだけど!気付いてよ!
側近が何やらこっちを指差しながら阿王の肩を揺らしている。
それでようやく気づいたらしい。
「ちょっ!ちょっ待っ!し、神獣様!神獣様、お待ちをー!」
阿王の声が聞こえるが、イケメンは歩みを止めない。
阿王はズザザッ!と走り込んでくると、必死の様子でこう訴えた。
「神獣様!我が名はこの国を統べる王、阿王 遵景と申します。此度は番様とのお巡り合わせ、誠におめでとうございます!我が国は神獣様と番様の幸せな生活をお支えすべく、宮を準備しております。つきましては!どうぞ宮までお越しください。宮での快適な生活はきっと番様にも喜ばれることでしょう!」
阿王の必死の呼びかけも構わず、イケメンは阿王を素通りして洞窟に向かっていく。
「お、お待ちを!宮には!宮には快適にお過ごし頂くための最新の換気設備はもちろん、充実の水回り、人目を気にすることなく入れる屋外温泉に・・・専用の庭園、執事が常駐し、24時間体制でお二人の快適な宮生活をお支えします!」
・・この人、国王より不動産の営業担当の方が向いているのでは?
イケメンは"屋外温泉"のくだりあたりから歩みを止めて、じっと阿王の言うことを聞いているようだ。
「ほら、洞窟には番様が苦手な虫が・・ゲジゲジとか蜘蛛とかおりますし、番様も宮住まいを望まれるのでは?」
ヒィッ!虫!
阿王の提案に乗るのは癪に障るけれど、虫嫌いの私は何度も頷いた。
「もちろん、番様を飾り立てる美しい装飾品も衣装もすぐに準備させましょう!」
イケメンが微笑んで頷き、そっと頭を撫でてきた。
優しそうではある。
私の扱いも丁寧だ。
でもこの猿轡を先にとってくれないことで、全て台無しだ。
「・・宮はどこにある?」
喋った・・!喋れるんだ!
「お連れします!ささっ!」と、いつの間にか用意されていた輿に誘導する阿王。
お祝いムードの中、イケメンに抱かれたまま乗せられた輿は、ゆっくりと宮に向かって進み出した。
「・・・」
餌かどうか訝しんでいるのだろうか。
私の首元を念入りに嗅いだ後、頭やお腹にまで鼻先を近づけてフンフンと嗅ぎまわる。
・・私、お風呂入ったよね?
命の危機だと言うのに、何か侮辱された気がしてスンッとなった。
しばらく嗅ぎまわってようやく満足したのか、白虎は最後に私の顔をひと舐めして、その場に座った。
いや、座るその前に、フルリと震えてその輪郭が溶けていく。
パチパチと瞬きをしているうちに、大きかった体がぼやけながらどんどん小さくなっていって、そして目の前にー
今まで見たことないがないほどの美形が現れた。
所々黒のメッシュが入った真っ白な長髪。
頭頂部に並ぶ、2つの大きな虎の耳。
吸い込まれそうな紫の瞳。
細面の、モデルのように美しい顔には微笑が浮かんでいる。
成り行きを見守っていた群衆から細波のように騒めきが起こり、やがてそれは歓声になった。
「顕現された!」
「顕現されたぞ!」
「何と・・!ようやく」
阿王なんてボロ泣きしてたらしいけど、私は何が起こってるんだかわからず目の前のイケメンを見上げてポカンとしていた。
(この人・・もしかしてさっきの白虎?)
気づいた時にはそのイケメンに横抱きにされていて、物凄く焦る。
イケメンは愛おしげに私を見つめると、そのまま回れ右をして洞窟に向かって歩き出した。
え?え?
背を反らして振り返ると、何やら手の甲で目元を拭っている阿王が見えた。
松明からどんどん遠ざかっていく。
「んんー!」
リアルお持ち帰りされてるんだけど!気付いてよ!
側近が何やらこっちを指差しながら阿王の肩を揺らしている。
それでようやく気づいたらしい。
「ちょっ!ちょっ待っ!し、神獣様!神獣様、お待ちをー!」
阿王の声が聞こえるが、イケメンは歩みを止めない。
阿王はズザザッ!と走り込んでくると、必死の様子でこう訴えた。
「神獣様!我が名はこの国を統べる王、阿王 遵景と申します。此度は番様とのお巡り合わせ、誠におめでとうございます!我が国は神獣様と番様の幸せな生活をお支えすべく、宮を準備しております。つきましては!どうぞ宮までお越しください。宮での快適な生活はきっと番様にも喜ばれることでしょう!」
阿王の必死の呼びかけも構わず、イケメンは阿王を素通りして洞窟に向かっていく。
「お、お待ちを!宮には!宮には快適にお過ごし頂くための最新の換気設備はもちろん、充実の水回り、人目を気にすることなく入れる屋外温泉に・・・専用の庭園、執事が常駐し、24時間体制でお二人の快適な宮生活をお支えします!」
・・この人、国王より不動産の営業担当の方が向いているのでは?
イケメンは"屋外温泉"のくだりあたりから歩みを止めて、じっと阿王の言うことを聞いているようだ。
「ほら、洞窟には番様が苦手な虫が・・ゲジゲジとか蜘蛛とかおりますし、番様も宮住まいを望まれるのでは?」
ヒィッ!虫!
阿王の提案に乗るのは癪に障るけれど、虫嫌いの私は何度も頷いた。
「もちろん、番様を飾り立てる美しい装飾品も衣装もすぐに準備させましょう!」
イケメンが微笑んで頷き、そっと頭を撫でてきた。
優しそうではある。
私の扱いも丁寧だ。
でもこの猿轡を先にとってくれないことで、全て台無しだ。
「・・宮はどこにある?」
喋った・・!喋れるんだ!
「お連れします!ささっ!」と、いつの間にか用意されていた輿に誘導する阿王。
お祝いムードの中、イケメンに抱かれたまま乗せられた輿は、ゆっくりと宮に向かって進み出した。
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