"番様"認定された私の複雑な宮ライフについて。

airria

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寝台での攻防。

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阿王が準備したのは、同じ敷地内にある離宮だった。

広い宮であるにも関わらず、人の気配がほとんどしない。

なんなら、この宮に来てからは瑛仙さんの姿しか見ていない。

不思議に思い聞いてみると、「神獣様はご自分の宮に番様以外の人が入るのを嫌いますので、基本的に、宮には番様をお世話する女官を数名程度しか置かないのです。」だそうだ。



食堂には豪勢な食事が準備されていて、お腹がペコペコだった私は喜んで席に着いた。

と言っても、黎明が私から離れないし、なぜか食堂には大きな椅子が一脚しかなかったので、結果的に椅子の上で胡坐になった黎明の上に私が座る形で落ち着いた。

こちらの世界のご飯は普通においしいし、知らない食材もほとんどないようだった。

エビのチャーハンに味しみしみの角煮、揚げた魚とおこげのあんかけ、シャキシャキの野菜炒め、卵と干し貝柱入りのスープ・・春巻きの中にはお餅まで入っている。

こんなに美味しいのに、両腕を私の腰にがっちり回している黎明は食事は要らないという。

その割に、私が食べるごとに「カナ、それ何?美味しいの?」と都度聞いてくる。

説明するのも面倒で、そのたびに口に放り込んであげると、黎明が幸せそうに首筋に顔をこすりつけてきた。

やめれ、食べにくい。

お腹いっぱいになったところで、デザートに出てきたのが好物の桃で、頑張って食べてしまう。

一切れ一切れが大きくて甘くてジューシーで、口に含むたびに夢心地だ。

お腹いっぱいでお茶を啜っていると、お皿を片付ける瑛仙に微笑まれた。

「お口に合うようで、ようございました」

ちなみに、私より絶対年上なのに、彼女からは”さん付け”で呼ぶことを丁重にお断りされた。

「温泉もいつでも入れますので、お申し付けください」

そういえば、屋外温泉があるって言ってたなー。

実は私は大の温泉好きなのでワクワクする。

黎明はお風呂に入るのは嫌がったので(虎だから?)、私はすんなりお風呂に入り、ゆっくり寛げた。



お風呂上りでポカポカいい気持ちで脱衣所を出た途端、すぐに黎明に抱き上げられてビックリした。

と、黎明が動きを止める。

「匂いが消えてる‥」

小さくそう呟いてからはあっという間に寝室に連れていかれ、大きな寝台の上で組み敷かれた。

て、展開が早すぎる!

「黎明?ちょっと!?」

「カナ、匂いを付けるだけだから」

そう言って指を絡ませて手を縫い付けると、私とピッタリ体を密着させた。

頭ひとつ分、身長の高い黎明にそうされてしまうと、私はもう動けない。

そればかりか、頭や顔、首筋にちゅ、ちゅ、ちゅ、と口づけの雨が降る。

ちゅ、ちゅ、ちゅ‥

「れいめ‥黎明!ちょっと‥」

抵抗を試みた私だったが、黎明はビクともしない。

匂いを付けるって・・恐らくマーキングってことだろう。

最初は、それ位なら・・と我慢しようと思ったのに、角度を変えて、何度も何度も繰り返しキスされるのは思った以上に恥ずかしい。

うぅ、首筋くすぐったい‥私首が弱いのに。

「ふふ、真っ赤だよ?カナ・・意識してくれた?」

ちゅ、ちゅ、ちゅ‥ペロ‥ハム‥

耳たぶを舐めらた上にまれて、身体がビクッと跳ねた。

「あ、黎明!コラ!」

「カナ、カナ‥番いたい、番いたい‥番おう?」

耳の中に吹き込まれる囁き声。

明らかにそれっぽい雰囲気になってきていて、私はカッと目を見開いた。

「黎明!だーかーらー!そういうことはしません。ほら、マーキングにおいづけ終わったんなら起こして!」

何度目かの呼びかけに、渋々黎明が体を起こす。

「ほら離れて!今日はもう疲れたから私は寝ます。黎明は出ていって。」

「・・我も、カナと共寝する。」

「ダメよ。一緒に寝ないって言ってるでしょ。」

「せっかくカナと会えたのに、離れるなどあり得ぬ!番うのが無理でも、共寝だけは譲れぬ!」

神獣側の理屈なのか、黎明は折れなかった。

「それに、カナ!カナとくっついて寝ないと、神力が回復しないのだ!」

‥番って、そんなワイヤレス充電みたいな便利機能ついてんの?

必死に主張されて、それでも渋る私に、黎明は新たな提案をしてきた。

「カナ、この姿ならどうだ?」

そう言うと、輪郭がとけて黎明が再び白虎の姿に戻る。

しかも、最初に会った時の大きさではなく、普通の虎のサイズだ。

「わ・・!」

目の前で横たわる白虎。ふわふわの毛皮・・!

お腹を撫で撫ですると、気持ちよさそうに紫の目を細める。

「ふわぁ・・!!」

実は私は、昔から無類の動物好きである。

幼少期から猫や犬を飼いたかったが、家の方針で手が出せず、ひたすら憧れだけで終わった。

つまり、抑圧された動物愛を拗らせて拗らせて、今日を迎えたのだ。

「れ、黎明!ブラッシングしてあげる!」

櫛で全身ブラッシングしてあげると、黎明は気持ちよさそうにされるがままになっている。

念入りにブラッシングした後、黎明は寝台の枕の位置でゴロリと横になった。

「え、いいの?」

ドキドキしながら、黎明のお腹に頭を預ける。

フワフワで柔らかいし暖かい。

何より、黎明の深い呼吸に合わせて上下する動きがまるでゆりかごのようでうっとりする。 

合わせて尻尾でトントンされて、私は穏やかに眠りについた。




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