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白髭じいさんの余計な進言。
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モフモフからの寝かしつけにより熟睡した翌朝。
「カナ、おはよう」
目覚めると、朝日を受けて神々しいまでに麗しい紫眼の美形が目の前でニコニコと私を見ていた。
「人の姿に戻ってる・・!?」
聞けば、私が寝てすぐに人化したらしい。
爆イケビジュの黎明に対して、こちらは寝起きで目もよく開いてないし髪だってボサボサだ。
一言で言って、居た堪れないし、心臓に悪すぎる‥!
「黎明、寝台にいる間はずっと虎の姿でいて。」
せめて見た目だけでも動物であって欲しい。
「それではカナと番えないではないか」
「ん?」
昨日の話が蒸し返された?
「昨日は番うのを我慢したが、今日遵景が来れば、我とカナは番になれるのであろう?」
何やら都合の良いように解釈されている・・!
が、下手に反論すれば、良くない方向に刺激することになる。
ここで正すのは、得策ではない。
私は阿王の到着を待つことにした。
◇
その日の午後。
阿王が宮に着いたとの報を受けたが、「カナ、いい子で待っておいで」と危うく置いていかれそうになった。
必死に強請ってやっと同席できることになったが、「カナの声も姿形も吐く息さえも、誰の目にも耳にも触れさせたくない」と黎明はかなり渋った。
…これが神獣の独占欲というものなら、非常に厄介な代物であることがわかった。
しかも昨日よりもパワーアップしている。
宮の入口にほど近い、謁見の間には阿王と宰相と長く白い顎鬚のおじいちゃんの3人が控えていた。
阿王側とこちら側の間には簾がかかっていて、直視できないようになっている。
私が同席するために設けられたらしい。
◇
「黎明様、この離宮はいかがでしたか?」
「なかなかに過ごしやすい。我が巣には遠く及ばないが‥な」
そういって、チラリ流し目を寄越す黎明に、私は完全スルーを決め込んだ。
「それは何よりです。何かあれば瑛仙にお申し付けを。」
簡単な挨拶の後、本題に入る。
「それで遵景、何かわかったか。」
「我が国の高名な学者に急ぎ確認させたのですが、名の交換の後も番様が神獣様を拒んだ、という記録はありませんでした。ですので考えられるとしたら、契約の際に不備があった可能性と、番様に何か原因があった可能性です。今回のことについては、別の世界から召喚した番様なので上手く契約が成立しなかったのではないか、というのが大半の意見です。」
「ふーん?」
黎明が再び私に顔を向ける。右頬のあたりが視線でチリチリする気がする。
我慢だ、我慢。
「そうだったとして、この後どうすれば番契約が結べる?」
「学者が申すには、番様の体をこちらの世界に馴染ませてから、改めて契約してみたらどうか、と。」
「体を馴染ませる?」
「えー、学者が言うにはですが、我が国で日々を暮らすことが、この世界に体を馴染ませることにつながるそうです。この国で息をし、この国で採れたものを食べ、暮らすこと。それを続けることで番様が神力と馴染みやすくなるのでは、と。な、そうだったな?藝實?」
藝實と呼ばれた白髭のおじいちゃんは、学者の偉い人で神獣研究の権威らしい。
「‥はい」
機嫌の悪そうなおじいちゃんはそのまま押し黙った。
それ以上話す気の無さそうな芸實をチラリと見やった後、阿王が続けた。
「と!いうわけなので、まずは番様には健やかに暮らしていただき、体が馴染んでから改めて番契約をし直すことをお勧めします」
ひとまず、今日にも迫っていた私の貞操の危機を引き延ばす作戦らしい。
黎明がグル、と唸った。
「体が馴染むまでとは、どれくらい待てばよいのだ」
「えー、学者の話では、最低半年から1年は…いやちょっ、おい魯伯!あの発光を何とかしろ!」
「黎明様!黎明様!お心をお鎮め下さい!深呼吸!深呼吸ですぞ!」
その時、それまで不貞腐れたようだった白髭のおじいちゃんが一歩前に出た。
「神獣様!私から発言を!」
宰相が鋭く制す。
「藝實殿!貴殿、余計な口は挟まぬ約束をお忘れか!」
「この国の一大事に、口を挟まずにおられるか!そんな悠長なことをしておる間に何かあったらどうしてくれる!これからも我が国が神獣様の恩恵を受け続けられるかどうかは番契約にかかっているのだ!陛下!国益のためには早く番契約を完了していただく方が先決!そのための番様ではないですか!何を躊躇っておられる!」
「藝實、それについてはもう話しただろう!口をつぐめ!」
「いや、そこの者。発言を許す。申してみろ。」
黎明の許しを得て、おじいちゃんは深く平伏した。
「神獣様!儂を含めた数名の学者仲間からは、別の提案がありまする!名の交換は言わば番契約の初期段階。神獣様への恐れを取り去り、番様のお心を神獣様へ向かせる効果をもっております。ですが、この効果が十分得られなかったとしてもですぞ?番契約の初期段階が上手くいかなかったとしても、結局、番ってしまえば番契約は完了し、お二人は結び付くのです!つまり、番様がこの世界に体を馴染ませるなど時間のかかることをせずとも、番ってしまえばよいのです!」
「それは‥番いさえすれば、我はカナの心も手に入れられるということか?」
「そうです!番様が多少嫌がられても、番いさえすればお心は神獣様のものとなりましょう!つまり…番い勝ちなのです!」
言い方に品が無い‥!
「カナ、おはよう」
目覚めると、朝日を受けて神々しいまでに麗しい紫眼の美形が目の前でニコニコと私を見ていた。
「人の姿に戻ってる・・!?」
聞けば、私が寝てすぐに人化したらしい。
爆イケビジュの黎明に対して、こちらは寝起きで目もよく開いてないし髪だってボサボサだ。
一言で言って、居た堪れないし、心臓に悪すぎる‥!
「黎明、寝台にいる間はずっと虎の姿でいて。」
せめて見た目だけでも動物であって欲しい。
「それではカナと番えないではないか」
「ん?」
昨日の話が蒸し返された?
「昨日は番うのを我慢したが、今日遵景が来れば、我とカナは番になれるのであろう?」
何やら都合の良いように解釈されている・・!
が、下手に反論すれば、良くない方向に刺激することになる。
ここで正すのは、得策ではない。
私は阿王の到着を待つことにした。
◇
その日の午後。
阿王が宮に着いたとの報を受けたが、「カナ、いい子で待っておいで」と危うく置いていかれそうになった。
必死に強請ってやっと同席できることになったが、「カナの声も姿形も吐く息さえも、誰の目にも耳にも触れさせたくない」と黎明はかなり渋った。
…これが神獣の独占欲というものなら、非常に厄介な代物であることがわかった。
しかも昨日よりもパワーアップしている。
宮の入口にほど近い、謁見の間には阿王と宰相と長く白い顎鬚のおじいちゃんの3人が控えていた。
阿王側とこちら側の間には簾がかかっていて、直視できないようになっている。
私が同席するために設けられたらしい。
◇
「黎明様、この離宮はいかがでしたか?」
「なかなかに過ごしやすい。我が巣には遠く及ばないが‥な」
そういって、チラリ流し目を寄越す黎明に、私は完全スルーを決め込んだ。
「それは何よりです。何かあれば瑛仙にお申し付けを。」
簡単な挨拶の後、本題に入る。
「それで遵景、何かわかったか。」
「我が国の高名な学者に急ぎ確認させたのですが、名の交換の後も番様が神獣様を拒んだ、という記録はありませんでした。ですので考えられるとしたら、契約の際に不備があった可能性と、番様に何か原因があった可能性です。今回のことについては、別の世界から召喚した番様なので上手く契約が成立しなかったのではないか、というのが大半の意見です。」
「ふーん?」
黎明が再び私に顔を向ける。右頬のあたりが視線でチリチリする気がする。
我慢だ、我慢。
「そうだったとして、この後どうすれば番契約が結べる?」
「学者が申すには、番様の体をこちらの世界に馴染ませてから、改めて契約してみたらどうか、と。」
「体を馴染ませる?」
「えー、学者が言うにはですが、我が国で日々を暮らすことが、この世界に体を馴染ませることにつながるそうです。この国で息をし、この国で採れたものを食べ、暮らすこと。それを続けることで番様が神力と馴染みやすくなるのでは、と。な、そうだったな?藝實?」
藝實と呼ばれた白髭のおじいちゃんは、学者の偉い人で神獣研究の権威らしい。
「‥はい」
機嫌の悪そうなおじいちゃんはそのまま押し黙った。
それ以上話す気の無さそうな芸實をチラリと見やった後、阿王が続けた。
「と!いうわけなので、まずは番様には健やかに暮らしていただき、体が馴染んでから改めて番契約をし直すことをお勧めします」
ひとまず、今日にも迫っていた私の貞操の危機を引き延ばす作戦らしい。
黎明がグル、と唸った。
「体が馴染むまでとは、どれくらい待てばよいのだ」
「えー、学者の話では、最低半年から1年は…いやちょっ、おい魯伯!あの発光を何とかしろ!」
「黎明様!黎明様!お心をお鎮め下さい!深呼吸!深呼吸ですぞ!」
その時、それまで不貞腐れたようだった白髭のおじいちゃんが一歩前に出た。
「神獣様!私から発言を!」
宰相が鋭く制す。
「藝實殿!貴殿、余計な口は挟まぬ約束をお忘れか!」
「この国の一大事に、口を挟まずにおられるか!そんな悠長なことをしておる間に何かあったらどうしてくれる!これからも我が国が神獣様の恩恵を受け続けられるかどうかは番契約にかかっているのだ!陛下!国益のためには早く番契約を完了していただく方が先決!そのための番様ではないですか!何を躊躇っておられる!」
「藝實、それについてはもう話しただろう!口をつぐめ!」
「いや、そこの者。発言を許す。申してみろ。」
黎明の許しを得て、おじいちゃんは深く平伏した。
「神獣様!儂を含めた数名の学者仲間からは、別の提案がありまする!名の交換は言わば番契約の初期段階。神獣様への恐れを取り去り、番様のお心を神獣様へ向かせる効果をもっております。ですが、この効果が十分得られなかったとしてもですぞ?番契約の初期段階が上手くいかなかったとしても、結局、番ってしまえば番契約は完了し、お二人は結び付くのです!つまり、番様がこの世界に体を馴染ませるなど時間のかかることをせずとも、番ってしまえばよいのです!」
「それは‥番いさえすれば、我はカナの心も手に入れられるということか?」
「そうです!番様が多少嫌がられても、番いさえすればお心は神獣様のものとなりましょう!つまり…番い勝ちなのです!」
言い方に品が無い‥!
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