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第226話 クラスチェンジ者の権限
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どんどんどん。おーい。ハルミーー。出てこいやぁーー。
「うぅぅう、もう、お嫁に行けない」
「どのみち行けないから心配すんな」
「う、うるさいわっ、ユウは黙ってろ!!」
まったくもう。今度は食器棚に閉じこもりやがった。どんだけ閉じこもるのが好きなんだよ。しかしいくら押し入れが見つからないからって、なんで寄りによって食器棚なんだよ。
ちなみに、中に収納されていた食器類はキレイに並べてテーブルの上に置いてある。妙なとこで律儀なやつである。
とはいえ、ここ他人の家なんだけど。
「うぅぅ、それなら、トイレにする」
「あ、いや、それはみんなに迷惑だから止めてくれ」
案の定、あの試合以来引きこもっているハルミである。真っ裸の丸出し状態を、ここの道場に通う剣士のほとんどに間近でガン見されたのだから、そのショックの度合いは推して知るべきではある。
グジョウの洞窟で同僚にガン見されたのと、どっちがより恥ずかしいのか、判断に困るところである。
しかし、せっかく7,250もエロエロ度があるのだ。エロ担当キャラとしての自覚を持ち、慣れればよさそうなものだが。
「慣れるかぁ!! そんな度いらん!!」
あら、聞こえてた。いらないと言っても、数字はウソをつかないのだよ?
「だけどどうすんだよ。これからお前のクラスチェンジの認定式と、勝者としての表彰式があるんだぞ? 勝ち名乗りを上げたくはないのか」
「そんなもの、もういらない」
「アシナも心配しているぞ」
「わぁぁぁぁぁん」
余計なことを言ったか。そういえば一番間近でアレを見たのはアシナだったな。
「みんなもう気にしてないっての」
「私が気にしてるっての!!」
うむ、ダメか。
「とっさのことだから、ほのかにぐらいしか覚えてないって言ってるぞ」
「うぅぅぅ。ウソだ」
バレたか。
「よりによって剣士たちの真ん前に飛ぶからだよ。俺なんか目の前にタノモが飛んできて、その股間を間近で見るハメになったんだぞ。どえらい被害だよ」
「やつはパンツを穿いていただろ!」
たしかに穿いていた。穿いてはいたが、だからってアレが飛び出さないわけではないのだ。
目の前に見てくれはとても美しい剣士のフルヌードがあって、負けたとはいえ試合が終わったという安心感もあって、タノモのあそこはふるぼっ痛っ!!
「その辺にしておいてください。僕だって悪いことをしたな、とは思ってるんですよ!」
「いたたたた。タノモか。悪いと思うなら俺に謝罪して、ハルミをここから引きずり出してくれ」
「いや、僕が悪いと思っているのはハルミさんに対してだけですよ?」
俺の被害届けは受理されなかったようである。こんちくしお。
「ハルミさん、出てきてください。もうじき表彰式が始まります。主役がいないと始まらないのです」
「うぅぅぅ。放っておいてくれ。私はここでキノコを生やす」
生やすな! そんなもの誰が食べるんだよ。煮ても焼いてもハルミのダシがとれるじゃないか。……おいしいかな?
「そこで試練の認定も行われます。それを受けないとクラスチェンジはお預けということになるのですけど」
「うぐっっ」
おっ、ちょっと興味を引いたぞ。
「ハルミもあの頃に比べればずいぶん成長したなと俺も思ったぞ」
「そ、そうか……な」
うむ、この調子だ。
「見事な剣技でした。僕は体力には自信があったのに、最後の最後で負けてしまいました。年下に負けたのは初めてです」
「たしかに、あの試合のハルミはすごかった」
「そ、そうか。それは良かった」
「特に生え際が」
「やかましいわっっ!!!!!」
あ、出てきた。オウミ、確保!
「うぅ、気が進まないノだ。しかし命令ならするノだ」
「わぁぁぁぁん」
「タノモ、ご協力に感謝」
「え? いや、僕はそういう協力をしたつもりは……」
「さぁ、ハルミ。人生の選択だ。このまま引きずられて会場へ行くか。それとも着替えて普通に会場に行くか。どっちだ?」
「うぅぅぅ。鬼」
「よし、引きずって行くに決定!! じゃあ行くぞぉぉぉぇぇ」
「ちょっと待ってくださいよ、ユウさん」
「タノモ! お前に襟首を引っ張られるとは思わんかったぞ。なんだよ」
「ハルミさん。あんなにカッコ良かったあなたはどこに行ったのですか? あんなすごい試合をしておいて、あんな……あんな……程度のことで閉じこもるなんて、卑怯です」
タノモは励ましているのか、傷口に塩を塗っているのかどっちだよ。あれ、そういえば。
「そういえば、タノモは見てないんだよな」
「はい?」
「ハルミ、ひとつ救いがあったぞ。タノモにはお前の生え際は見られていない」
「わぁぁぁぁぁぁぁぁん」
「明らかに、ユウが塩を塗ったノだ」
「え? あれ? そういえば、この小さいのはなんですか? ユウさんの眷属っぽいですね?」
「あ、オウミ。出てきちゃったのか。面倒なことになるから引っ込んでろって言っただろ」
「ハルミを縛り付けろと命じたではないノか」
「あ、しまった」
「ハルミさんをあの一瞬のうちに拘束するとは、なかなかの力の持ち主なのですね。さすがユウさんの眷属です」
「あ、ああ、そうだな。こいつはオウミ。俺の眷属のうちのひとりだ。それよりも、ハルミをどうしてくれようか」
「眷属が何人もいるのですか。しかし、困りましたね」
「そうだ。これはタノモに頼もう。なんか韻を踏んだ感があるけど」
「はい、僕にできることでしたら」
「これを担いで会場へ向かってくれ」
「「え? このままで?!」」
「もう時間は過ぎているだろ。あまり待たせるのは気の毒だし、礼を失することにもなる」
「は、はぁ。ハルミさんさえ良ければ」
「い、い、良いわけがないだろ!!」
「じゃあ、自分で歩いて行くか?」
「あの、僕はハルミさんの……そん、なには見てません。だから僕の後ろに隠れていれば良いではないですか」
どんな理屈? そんなことでハルミが言うことを。
「分かった。そうしてくれるなら行く」
聞くのかよ! なんでだよ! どんだけ不条理な生き物だ、お前は。
タノモの機転? でハルミはしぶしぶながら、表彰式に出席することになった。
そこは講堂のようなところであった。こういう施設を見るのは、ここへ来てから初めてである。古き良きニホンが、この国は良く残っているな。
ハルミは課題をしにここに来た。ミノ国の剣士が、どうしてアイヅで表彰されてクラスチェンジ認定されるのか不思議だった。
しかしその理由は、この講堂でまもなく判明する。
ハルミを壇上に呼んで、ハニツが高らかに書状を読み上げる。ハルミも堂々と立っている。
タノモの後ろに隠れていれば良い、という先ほどの約束といはいったい?
------------------------------------------------------------------------------
表彰状。ミノ国チュウノウ市ハザマ村 カンナギ ハルミ 14才殿。
あなたは、アイヅ国での剣技試合において、素晴らしい剣技と優れた技能を持って
対戦相手に打ち勝ち、優秀な成績を収められました。
その成果を評すとともに、剣士から聖騎士にクラスチェンジすることをここに認めます。
アイヅ国領主・アイヅ公爵ハニツ
-------------------------------------------------------------------------------
「よく頑張ったな、ハルミ」
「は、はい! ありがとうございます」
クラスチェンジは、どこの国の出身者であっても、試練を達成した国でこの儀式が行われるということのようだ。
しかしそのご褒美――ハルミの場合は識の魔法を授かる――は、ニホン国の代表であるイズモ国で受けなければならない。いわば、ここで発行されるのは免許証のようなもので、車までもらえるわけではない。
しかし、クラスチェンジした場合、自動的にいくつかの名誉や権限が与えられる。
そのひとつが「剣士としての二つ名」である。ハルミにはすでに斬鉄の剣士という二つ名があるが、それはあくまで自称(エースが名付けたのだが)であり、公的な意味はない。
しかし、ここで得られる剣士ネームは、その人に一生ついて回る名前になるのである。それによって、剣士の名に箔が付くだけでなく、実生活でいろいろ役に立つのである。
「タノモ、どんな役に立つんだ?」
「国にもよりますけど、公的機関の設備が無料で使えたり、データにアクセスできたり、冒険者やそのパーティを設定する権限も持ちます。もちろん公務員にとっては、出世のためにクラスチェンジは必須事項です」
「ちょっと待った。いまちょっとだけ気になる項目があったんだが」
「なんでしょうか?」
「冒険者のパーティを設定する権限ってなんだ?」
「例えば、ダンジョンを攻略したいと、思ったとするでしょう?」
「思ったことない」
「冒険者の話です。ダンジョンともなると、ひとりでは無理なことが多いのですよ」
「まあ、そうだろうな」
俺はグジョウダンジョンを思い浮かべていた。無理だろうな、と思った。
「クラスチェンジした者は、そのパーティを編成する権限を持つのです」
「なるほど。パーティのリーダーになれるのか。そうやってますますレベルを上げて行くわけだな」
「そうです。僕も何回も行きました。あ、ハルミさんが戻ってきましたよ」
「ユウ、ここにいたか」
「ハルミ、良かったな。これで胸を張ってミノ国に帰ることができる」
「それは、まあ、それはそうなのだが」
「なんだ煮え切らないな。まだなにかあるのか?」
「あ、ユウさん、ハルミさん。まだ、あの戦いの勝者としての表彰は別にあります。これはこちらの都合ですけどね」
「それもそうだが、ユウ」
「な、なんだよ、改まって」
なんだかすごく嫌な予感が?
「いまから、ダンジョン攻略に行くぞ」
「いまのお前にはパーティを編成できる権限があるんだってな」
「もう聞いていたか。それなら話は早い。私はユウを冒険者に登録した。そしてこれからダンジョン・アブクマに行く」
「ふぁぁ?」
「寝ぼけたフリをしてもダメだ。これは決定事項だ!」
「俺は冒険者になんかなるつもりはない。パーティならタノモを連れて行けばいいだろうが」
「はい、僕も誘われています。もちろん行きますよ」
「そうか、気を付てな。帰ってくるまで俺はここで待ってるぐぇぇぇ」
「ユウも行くんだよ! これは決定事項って言っただろ?」
「俺の意志を無視して決定事項とか言うな。俺はイズモ国の太守だぞ。一介の剣士が逆らえるとでも思ってるのか!」
権力を振りかざすのは本意ではないが、ここは仕方ない。
「あー、そのことだがな、ユウ」
「なんだ、ハニツ?」
「ハルミが得たのは、魔法能力だ。人間界の地位や権限など及ばない。それに逆らえる人間はおらん」
はぁぁぁぁぁ!?
「うぅぅう、もう、お嫁に行けない」
「どのみち行けないから心配すんな」
「う、うるさいわっ、ユウは黙ってろ!!」
まったくもう。今度は食器棚に閉じこもりやがった。どんだけ閉じこもるのが好きなんだよ。しかしいくら押し入れが見つからないからって、なんで寄りによって食器棚なんだよ。
ちなみに、中に収納されていた食器類はキレイに並べてテーブルの上に置いてある。妙なとこで律儀なやつである。
とはいえ、ここ他人の家なんだけど。
「うぅぅ、それなら、トイレにする」
「あ、いや、それはみんなに迷惑だから止めてくれ」
案の定、あの試合以来引きこもっているハルミである。真っ裸の丸出し状態を、ここの道場に通う剣士のほとんどに間近でガン見されたのだから、そのショックの度合いは推して知るべきではある。
グジョウの洞窟で同僚にガン見されたのと、どっちがより恥ずかしいのか、判断に困るところである。
しかし、せっかく7,250もエロエロ度があるのだ。エロ担当キャラとしての自覚を持ち、慣れればよさそうなものだが。
「慣れるかぁ!! そんな度いらん!!」
あら、聞こえてた。いらないと言っても、数字はウソをつかないのだよ?
「だけどどうすんだよ。これからお前のクラスチェンジの認定式と、勝者としての表彰式があるんだぞ? 勝ち名乗りを上げたくはないのか」
「そんなもの、もういらない」
「アシナも心配しているぞ」
「わぁぁぁぁぁん」
余計なことを言ったか。そういえば一番間近でアレを見たのはアシナだったな。
「みんなもう気にしてないっての」
「私が気にしてるっての!!」
うむ、ダメか。
「とっさのことだから、ほのかにぐらいしか覚えてないって言ってるぞ」
「うぅぅぅ。ウソだ」
バレたか。
「よりによって剣士たちの真ん前に飛ぶからだよ。俺なんか目の前にタノモが飛んできて、その股間を間近で見るハメになったんだぞ。どえらい被害だよ」
「やつはパンツを穿いていただろ!」
たしかに穿いていた。穿いてはいたが、だからってアレが飛び出さないわけではないのだ。
目の前に見てくれはとても美しい剣士のフルヌードがあって、負けたとはいえ試合が終わったという安心感もあって、タノモのあそこはふるぼっ痛っ!!
「その辺にしておいてください。僕だって悪いことをしたな、とは思ってるんですよ!」
「いたたたた。タノモか。悪いと思うなら俺に謝罪して、ハルミをここから引きずり出してくれ」
「いや、僕が悪いと思っているのはハルミさんに対してだけですよ?」
俺の被害届けは受理されなかったようである。こんちくしお。
「ハルミさん、出てきてください。もうじき表彰式が始まります。主役がいないと始まらないのです」
「うぅぅぅ。放っておいてくれ。私はここでキノコを生やす」
生やすな! そんなもの誰が食べるんだよ。煮ても焼いてもハルミのダシがとれるじゃないか。……おいしいかな?
「そこで試練の認定も行われます。それを受けないとクラスチェンジはお預けということになるのですけど」
「うぐっっ」
おっ、ちょっと興味を引いたぞ。
「ハルミもあの頃に比べればずいぶん成長したなと俺も思ったぞ」
「そ、そうか……な」
うむ、この調子だ。
「見事な剣技でした。僕は体力には自信があったのに、最後の最後で負けてしまいました。年下に負けたのは初めてです」
「たしかに、あの試合のハルミはすごかった」
「そ、そうか。それは良かった」
「特に生え際が」
「やかましいわっっ!!!!!」
あ、出てきた。オウミ、確保!
「うぅ、気が進まないノだ。しかし命令ならするノだ」
「わぁぁぁぁん」
「タノモ、ご協力に感謝」
「え? いや、僕はそういう協力をしたつもりは……」
「さぁ、ハルミ。人生の選択だ。このまま引きずられて会場へ行くか。それとも着替えて普通に会場に行くか。どっちだ?」
「うぅぅぅ。鬼」
「よし、引きずって行くに決定!! じゃあ行くぞぉぉぉぇぇ」
「ちょっと待ってくださいよ、ユウさん」
「タノモ! お前に襟首を引っ張られるとは思わんかったぞ。なんだよ」
「ハルミさん。あんなにカッコ良かったあなたはどこに行ったのですか? あんなすごい試合をしておいて、あんな……あんな……程度のことで閉じこもるなんて、卑怯です」
タノモは励ましているのか、傷口に塩を塗っているのかどっちだよ。あれ、そういえば。
「そういえば、タノモは見てないんだよな」
「はい?」
「ハルミ、ひとつ救いがあったぞ。タノモにはお前の生え際は見られていない」
「わぁぁぁぁぁぁぁぁん」
「明らかに、ユウが塩を塗ったノだ」
「え? あれ? そういえば、この小さいのはなんですか? ユウさんの眷属っぽいですね?」
「あ、オウミ。出てきちゃったのか。面倒なことになるから引っ込んでろって言っただろ」
「ハルミを縛り付けろと命じたではないノか」
「あ、しまった」
「ハルミさんをあの一瞬のうちに拘束するとは、なかなかの力の持ち主なのですね。さすがユウさんの眷属です」
「あ、ああ、そうだな。こいつはオウミ。俺の眷属のうちのひとりだ。それよりも、ハルミをどうしてくれようか」
「眷属が何人もいるのですか。しかし、困りましたね」
「そうだ。これはタノモに頼もう。なんか韻を踏んだ感があるけど」
「はい、僕にできることでしたら」
「これを担いで会場へ向かってくれ」
「「え? このままで?!」」
「もう時間は過ぎているだろ。あまり待たせるのは気の毒だし、礼を失することにもなる」
「は、はぁ。ハルミさんさえ良ければ」
「い、い、良いわけがないだろ!!」
「じゃあ、自分で歩いて行くか?」
「あの、僕はハルミさんの……そん、なには見てません。だから僕の後ろに隠れていれば良いではないですか」
どんな理屈? そんなことでハルミが言うことを。
「分かった。そうしてくれるなら行く」
聞くのかよ! なんでだよ! どんだけ不条理な生き物だ、お前は。
タノモの機転? でハルミはしぶしぶながら、表彰式に出席することになった。
そこは講堂のようなところであった。こういう施設を見るのは、ここへ来てから初めてである。古き良きニホンが、この国は良く残っているな。
ハルミは課題をしにここに来た。ミノ国の剣士が、どうしてアイヅで表彰されてクラスチェンジ認定されるのか不思議だった。
しかしその理由は、この講堂でまもなく判明する。
ハルミを壇上に呼んで、ハニツが高らかに書状を読み上げる。ハルミも堂々と立っている。
タノモの後ろに隠れていれば良い、という先ほどの約束といはいったい?
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表彰状。ミノ国チュウノウ市ハザマ村 カンナギ ハルミ 14才殿。
あなたは、アイヅ国での剣技試合において、素晴らしい剣技と優れた技能を持って
対戦相手に打ち勝ち、優秀な成績を収められました。
その成果を評すとともに、剣士から聖騎士にクラスチェンジすることをここに認めます。
アイヅ国領主・アイヅ公爵ハニツ
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「よく頑張ったな、ハルミ」
「は、はい! ありがとうございます」
クラスチェンジは、どこの国の出身者であっても、試練を達成した国でこの儀式が行われるということのようだ。
しかしそのご褒美――ハルミの場合は識の魔法を授かる――は、ニホン国の代表であるイズモ国で受けなければならない。いわば、ここで発行されるのは免許証のようなもので、車までもらえるわけではない。
しかし、クラスチェンジした場合、自動的にいくつかの名誉や権限が与えられる。
そのひとつが「剣士としての二つ名」である。ハルミにはすでに斬鉄の剣士という二つ名があるが、それはあくまで自称(エースが名付けたのだが)であり、公的な意味はない。
しかし、ここで得られる剣士ネームは、その人に一生ついて回る名前になるのである。それによって、剣士の名に箔が付くだけでなく、実生活でいろいろ役に立つのである。
「タノモ、どんな役に立つんだ?」
「国にもよりますけど、公的機関の設備が無料で使えたり、データにアクセスできたり、冒険者やそのパーティを設定する権限も持ちます。もちろん公務員にとっては、出世のためにクラスチェンジは必須事項です」
「ちょっと待った。いまちょっとだけ気になる項目があったんだが」
「なんでしょうか?」
「冒険者のパーティを設定する権限ってなんだ?」
「例えば、ダンジョンを攻略したいと、思ったとするでしょう?」
「思ったことない」
「冒険者の話です。ダンジョンともなると、ひとりでは無理なことが多いのですよ」
「まあ、そうだろうな」
俺はグジョウダンジョンを思い浮かべていた。無理だろうな、と思った。
「クラスチェンジした者は、そのパーティを編成する権限を持つのです」
「なるほど。パーティのリーダーになれるのか。そうやってますますレベルを上げて行くわけだな」
「そうです。僕も何回も行きました。あ、ハルミさんが戻ってきましたよ」
「ユウ、ここにいたか」
「ハルミ、良かったな。これで胸を張ってミノ国に帰ることができる」
「それは、まあ、それはそうなのだが」
「なんだ煮え切らないな。まだなにかあるのか?」
「あ、ユウさん、ハルミさん。まだ、あの戦いの勝者としての表彰は別にあります。これはこちらの都合ですけどね」
「それもそうだが、ユウ」
「な、なんだよ、改まって」
なんだかすごく嫌な予感が?
「いまから、ダンジョン攻略に行くぞ」
「いまのお前にはパーティを編成できる権限があるんだってな」
「もう聞いていたか。それなら話は早い。私はユウを冒険者に登録した。そしてこれからダンジョン・アブクマに行く」
「ふぁぁ?」
「寝ぼけたフリをしてもダメだ。これは決定事項だ!」
「俺は冒険者になんかなるつもりはない。パーティならタノモを連れて行けばいいだろうが」
「はい、僕も誘われています。もちろん行きますよ」
「そうか、気を付てな。帰ってくるまで俺はここで待ってるぐぇぇぇ」
「ユウも行くんだよ! これは決定事項って言っただろ?」
「俺の意志を無視して決定事項とか言うな。俺はイズモ国の太守だぞ。一介の剣士が逆らえるとでも思ってるのか!」
権力を振りかざすのは本意ではないが、ここは仕方ない。
「あー、そのことだがな、ユウ」
「なんだ、ハニツ?」
「ハルミが得たのは、魔法能力だ。人間界の地位や権限など及ばない。それに逆らえる人間はおらん」
はぁぁぁぁぁ!?
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