118 / 336
第118話 運搬部長
しおりを挟む
「こっちのジャガイモは芽を取って皮を剥いて、そうそう。それでなるべく薄くペラペラに切ってくれ」
「はーい。じゃあ、さくっさくっ、ささささささ。できたよ」
「早いなおい! それと薄っ。めっさ薄っ。向こうが透けて見えるじゃないか。まるでスライサーで削ったみたいだ。ミヨシも腕を上げたな」
「えへへ。こっちのはどうするの?」
「こっちは棒状になるように切ってくれ。5mm□ぐらいがいいかな」
「ザクザクザクザク、はい、できたよ」
「早いなおい! ってもう驚かないぞ。それじゃこれを水に浸ける」
「え? 水に浸けるの? これから油で揚げるのに?」
「ジャガイモにはデンプンが多量に含まれている。それが残っていると揚げたときにべたっとしたチップになっちゃうんだよ。だからチップは2分ぐらい、スティックは10分くらいは浸けておく」
「はーい。ばしゃばしゃばしゃっとね」
「そうだ。取り出したら水気を取らないといけないのだが、キッチンペーパー……なんかあるわけないな。ケント、ここには和紙はあるか?」
「はい、あります。ご用意いたしましょう。どのくらい必要ですか?」
「そうだな。とりあえずは20枚くらい用意しておいてもらおうか」
「え? そんなにですか」
「ダメか?」
「ダメではありませんが、和紙は貴重品なもので、なにに使われますか?」
「……ポテトの水を吸わせるのに……」
「そ、そんな、もったいことを!!」
ですよね。
「仕方ない、ミノ国から取り寄せよう。魔回線を使うぞ。ほにゃらかほい(起動するための呪文)。モナカ、大至急和紙が必要だ。持てるだけ持ってこっちに来てくれ。赤紙は別途用意させる。失敗作でも切れ端でもなんでもいいから多めに頼む。きょにゅうもえ」
毎度のことながらハズカシス(´・ω・`)
「クラーク。悪いがまた赤紙を出して欲しい。今度はモナカを呼び寄せたい」
「モナカという子が和紙を持ってきてくれるのか。それ、少しもらっても良いか?」
「それは持ってきた量を見てからにしよう。あちらでは和紙なんかそれほど高いものじゃなかったが、すぐに用意できるかどうかは分からんからな」
「そうか。半端でもいいので、余るようなら検討してくれ」
「分かった。こちらでは和紙は作れないのか?」
「ああ、原料のコウゾはこちらの気候では育たないからな」
「和紙の原料ってコウゾだけじゃないだろ?」
「繊維があればなんでもできないことはないが、油っぽかったり色が黒かったり、ざらざら過ぎたりで紙に適したものがないのだよ」
「それで買うしかないのか。ここまで運ぶと、運送費だけでも高くついちゃうわけだな」
「手のひらサイズのメモぐらいなら作れるのだけどな。ミノの和紙のように大きくてキレイなものは無理だ。その上、品質が違い過ぎる」
「クラークは本好きと言っていたが、自分でなにか書いたりするのか?」
「ああ、研究結果をまとめたり、ちょっとしたアイデアをメモしたり。俺には紙と鉛筆は必需品だ」
「そんなに和紙を必要としている人がいるなんてね。ミノなんてたくさん作るけど、使う人はほとんどどいないよ? なんとかしてあげたいものね、ユウ」
「とは言ってもな、和紙の原料はコウゾ、ミツマタ、ガンピのほぼ3つだ。それはどれも本州より南にしか生えていない。かといってパルプなんかは工程が複雑過ぎるし薬品もいる。とても手作業では無理だ。やはり、買ってもらうしかないな」
「ユウでも無理なのね」
「ああ、ってか、ミノの人はもっと紙を使うべきだと思うのだが。なあ、ミヨシ、お前もちょっとは勉強を」
「あ、そろそろ水から出さないと、せっせ、せっせ」
「せっせ、じゃねぇよ! 誤魔化しやがって」
「ユ、ユウだって筋トレすらできないじゃないの。適材適所でいいじゃいの」
「お前は適材適所の意味を辞書で引け。辞書なんかないけど! ところで俺は筋トレを毎日やっているぞ?」
「へぇ。どのくらいやってるの?」
「そ、それ、それはだな」
「腹筋1回と腕立て伏せ1回なのだヨ」
「それは筋トレじゃない。ただのストレッチよ!」
「や、やかましいわ」
「それより、水気を取ったらどうするの?」
「よーく水気を取ったら加熱した油に投入してくれ。油の温度が下がっちゃうから少しずつな」
「はーい。ほいっ、ほいっ、ほいっ」
「お待たせしました、所長、モナカです。ご注文の和紙をお持ちし……ま……した?」
「良く来たな。モナカとやら。おおすごい量の和紙を持ってきたではないか。ユウ、これだけあれば俺にも……あれ?」
「ああ、そいつは気にしないでくれ。魔王を見ると、一度は卒倒しないといけない性分なんだよ」
「しょ、性分なのか。それは俺にも直せそうにないな」
「草津の湯でも無理だろう。それより、揚げ終わったら並べるからその和紙をこちらにくれ」
「はい、私がお持ちします。すごい量ですね。全部縦に積んだら、魔王様の身長よりも高くなりそうです」
「頑張って運んでくれたな。目が覚めたら労ってあげよう」
「倒れる前に労るべきだと思うのだヨ」
「じゅぅぅぅ。ユウ。薄く切ったほうはそろそろ焦げ始めてるわよ。そろそろじゃない?」
「ある程度色がついたら出して、紙の上に並べてくれ。そしたら次のを入れて」
「はーい。ほいっとほいっとな」
「揚げ終わったら、塩を振りかけてとぱらりんこ。クラーク。できたぞ、試食してみろよ」
「ほぉ。なんだか食欲をそそる色だな。これがジャガイモとは信じられん。ぱりっ」
「どうだ?」
「ぱりっ、さくっ」
「いけるだろ?」
「ぱりっ、さくっ、ぱりっ、さくっ、ぱりっ、さくっ。ぱりぱりぱりぱりぱりざくざくざくざく」
「無我夢中かよ! 返事くらいしろよ」
「うまい!! これはうまい。おい、ケントもジョウも食べてみろパリパリ」
「では失礼して。ぱりっ。おお!」
「では私も。パリパリパリ。おおーすごいこれはおいしい!」
「だろ? これは売れるだろ……ってお前ら全部食うんじゃないぞ。俺たちの分も残しておけよ」
「いやパリパリ、そう言われてもだなボリボリ」
「ザクザクこんなおいしいものいままで食べたことありませパリ」
「パリパリ分かってはいるのですがポリポリ」
「パリパリパリ ヨ」
ミノウも一緒になって食ってんじゃねぇ!!
「私とユウ用に2枚だけ残してあるから大丈夫よ」
「おおっ、そうか。さすがミヨシだ。自分で味見できないと不安だったんだよパリパリ。うん、まずますだな」
「パリ。わぁぁこれ、すごくおいしい。食べ始めたら止まらないわね。ポテトの甘みと油の旨みにこの塩味がすごくマッチしているわ。これは絶対に売れるわね。私ももっと食べたかったなぁ」
「じゃあ、そっちのスティックのほうも同じ要領で揚げてくれ。時間はもう少し長くなるだろう」
「はーい。どちゃっとほれほれ」
「ユウ」
「どした? クラーク」
「お代わり」
「あるかぁ!! お前らずっと見ていただろうが。あれだけのジャガイモを全部食いやがって。それにしても早過ぎないか?!」
「じゃあ、次のやつをはよ」
「はよって言えた義理か! 食い意地はってんのか。どんだけ気に入ったんだよ」
「うむ。ジャガイモだからまずいわけはないとは思っていたが、予想以上だった。これなら間違いなく俺は食べる」
「そうだろ? ……じゃねぇ! お前が食ってどうするよ、これは売るんだよ!!
「パリパリパリ ヨ」
「だからお前もひたすら食ってんじゃねぇぇ!」
隠し持ってやがった。魔王の秘密の倉庫でもあるのかよ。
ん? 待て待て。魔王の倉庫?
「ちょっと。ミノウ、ここへ来い」
「なんなのだパリパリ。我はまだお食事中きゅぅぅぅ」
「どうもなくなるのが早いと思ったら、お前、がめやがったな?」
「な、なんのことなのだヨパリ」
「それだよ、それ!! それ、どこに隠した?」
「我専用のアイテムボックスの中にきまっておるヨパリ」
「それはすごいな。それってどのくらい入るものなんだ?」
「うむ。ポテチの22枚分だヨ」
「少ないなおい!」
「あ、違うのだ。それはいま入っている分だったのだ。全部使えばもっと入ると思うのだヨ」
「22枚も隠し持っていやがった。それ全部使ったことあるのか?」
「それはないヨ。全部使う必要なんかなかったからな」
「そういうものなのか、さすが魔王ってのは桁外れの能力があるんだなぁ。ちょっと見直したぞ」
ここでクラークをチラと見る。え? という顔をしたが、すぐに気がついたようだ。そしてそれはジョウにもケントにも広がって行く。
「俺にはそんなことできない。さすがは古の大魔王・ミノウであるな」
「それってものすごいレア能力ですよね。我が主にもない能力をお持ちだなんて、ミノウ様、素晴らしです」
「私はミノウ様にお会いできただけでも光栄です」
「そ、そうなのだ。それでいいのだ。それが本来の姿なのだヨ。見たか、ユウ。お主もこうあるべきなのだヨわははは」
「分かった分かった。そのアイテムボックスもお前もすごいよ。そんなすごいアイテムボックスにどのくらいの容量があるのか、試したことはないのか?」
「そうだなぁ。その昔大雨が続いてイルカイケの堤防が崩壊したことがあったヨ。それで大洪水になりかけたときに、池の水を全部ここに放り込んだヨ。おそらくそれが最大だヨ」
池の水を全部抜いたのか。それがあったらテレ東も苦労しなかっただろうにな。魔王のアイテムボックス、パネェッす。クラーク、ジョウ、ケント。ご協力に感謝する。おかげでミノウボックスの容量が分かった。
「そんなすごい能力があるミノウを、いままでのように平社員扱いでは申し訳ないな。お前に役職をやろう」
「なんだ、役職ってポロポリ」
「ポテチの残りカスまで食べないように。そうだな、運搬部長という名称にしよう。部長職ってのは俺の次ぐらいに偉い役職だぞ」
「そう、そうか。それならまあ受けてやっても良いのだヨ」
「うむ、エースには俺から話しをしておくが、オウミには当面は内緒だぞ」
「分かったのだ。まかせるのだ。オウミなんかに負けないのだヨ」
ちょろくて助かるよ魔王さん。流通に関しては悩み所だったのだ。ともかくホッカイ国は遠い。ジャガイモやトウモロコシは加工してから運ぶからまだいいとしても、小麦や甜菜は重いし嵩張るし。どうしたものかと思っていた。
これで、ただで使える運搬人足の確保である。
「ん? ユウ? またなんか悪巧みな顔になっているのだヨ?」
「いや、そんな、ことはないだろあはははは」
「???」
「さて。もうなくなってしまったが、このポテチはこのぐらいうまいものだ。それに原料にも加工にもたいしたコストがかからないのが一番のメリットだろう」
「たしかに。これは食べ始めたらもう止められないな」
「こうすれば水分がほとんどないから腐る心配がない。湿気らないように運ぶだけだ。これを人口の多い地方で売れば、紙なんかいくらでも買えるくらい儲かるぞ」
「そ、そうか。それはありがたい。だけど、これをなにに詰める? ここには紙はないぞ?」
「それはビニール袋……あ、あるわけないか。袋といったら紙か。げっ。紙も量産が必要なのか?!」
「やはりそうだよな。ヘタすると、中身より袋のほうが高くなりそうだ」
運搬はミノウにやらせるとしても、袋詰めでつまづくことになるとは。
さぁ。どうすべぇか。
「まあ、それはともかくとして、こちらも揚がりましたよ。どうぞ、召し上がれ」
「「「おおっ、いただきますっ」」」
みんなで一斉につまみ上げた。それは懐かしいフライドポテトの味であった。
紙の量産か。できるだろうか。和紙って大量生産には向いてないんだよなぁ。でも人件費は安いからなんとかなるかな。しかし通気性が良すぎて湿気を防いではくれないような気がする。長期保存には向かないな。
ぱくぱくぱく、うん、うまい。どないしよ。
「はーい。じゃあ、さくっさくっ、ささささささ。できたよ」
「早いなおい! それと薄っ。めっさ薄っ。向こうが透けて見えるじゃないか。まるでスライサーで削ったみたいだ。ミヨシも腕を上げたな」
「えへへ。こっちのはどうするの?」
「こっちは棒状になるように切ってくれ。5mm□ぐらいがいいかな」
「ザクザクザクザク、はい、できたよ」
「早いなおい! ってもう驚かないぞ。それじゃこれを水に浸ける」
「え? 水に浸けるの? これから油で揚げるのに?」
「ジャガイモにはデンプンが多量に含まれている。それが残っていると揚げたときにべたっとしたチップになっちゃうんだよ。だからチップは2分ぐらい、スティックは10分くらいは浸けておく」
「はーい。ばしゃばしゃばしゃっとね」
「そうだ。取り出したら水気を取らないといけないのだが、キッチンペーパー……なんかあるわけないな。ケント、ここには和紙はあるか?」
「はい、あります。ご用意いたしましょう。どのくらい必要ですか?」
「そうだな。とりあえずは20枚くらい用意しておいてもらおうか」
「え? そんなにですか」
「ダメか?」
「ダメではありませんが、和紙は貴重品なもので、なにに使われますか?」
「……ポテトの水を吸わせるのに……」
「そ、そんな、もったいことを!!」
ですよね。
「仕方ない、ミノ国から取り寄せよう。魔回線を使うぞ。ほにゃらかほい(起動するための呪文)。モナカ、大至急和紙が必要だ。持てるだけ持ってこっちに来てくれ。赤紙は別途用意させる。失敗作でも切れ端でもなんでもいいから多めに頼む。きょにゅうもえ」
毎度のことながらハズカシス(´・ω・`)
「クラーク。悪いがまた赤紙を出して欲しい。今度はモナカを呼び寄せたい」
「モナカという子が和紙を持ってきてくれるのか。それ、少しもらっても良いか?」
「それは持ってきた量を見てからにしよう。あちらでは和紙なんかそれほど高いものじゃなかったが、すぐに用意できるかどうかは分からんからな」
「そうか。半端でもいいので、余るようなら検討してくれ」
「分かった。こちらでは和紙は作れないのか?」
「ああ、原料のコウゾはこちらの気候では育たないからな」
「和紙の原料ってコウゾだけじゃないだろ?」
「繊維があればなんでもできないことはないが、油っぽかったり色が黒かったり、ざらざら過ぎたりで紙に適したものがないのだよ」
「それで買うしかないのか。ここまで運ぶと、運送費だけでも高くついちゃうわけだな」
「手のひらサイズのメモぐらいなら作れるのだけどな。ミノの和紙のように大きくてキレイなものは無理だ。その上、品質が違い過ぎる」
「クラークは本好きと言っていたが、自分でなにか書いたりするのか?」
「ああ、研究結果をまとめたり、ちょっとしたアイデアをメモしたり。俺には紙と鉛筆は必需品だ」
「そんなに和紙を必要としている人がいるなんてね。ミノなんてたくさん作るけど、使う人はほとんどどいないよ? なんとかしてあげたいものね、ユウ」
「とは言ってもな、和紙の原料はコウゾ、ミツマタ、ガンピのほぼ3つだ。それはどれも本州より南にしか生えていない。かといってパルプなんかは工程が複雑過ぎるし薬品もいる。とても手作業では無理だ。やはり、買ってもらうしかないな」
「ユウでも無理なのね」
「ああ、ってか、ミノの人はもっと紙を使うべきだと思うのだが。なあ、ミヨシ、お前もちょっとは勉強を」
「あ、そろそろ水から出さないと、せっせ、せっせ」
「せっせ、じゃねぇよ! 誤魔化しやがって」
「ユ、ユウだって筋トレすらできないじゃないの。適材適所でいいじゃいの」
「お前は適材適所の意味を辞書で引け。辞書なんかないけど! ところで俺は筋トレを毎日やっているぞ?」
「へぇ。どのくらいやってるの?」
「そ、それ、それはだな」
「腹筋1回と腕立て伏せ1回なのだヨ」
「それは筋トレじゃない。ただのストレッチよ!」
「や、やかましいわ」
「それより、水気を取ったらどうするの?」
「よーく水気を取ったら加熱した油に投入してくれ。油の温度が下がっちゃうから少しずつな」
「はーい。ほいっ、ほいっ、ほいっ」
「お待たせしました、所長、モナカです。ご注文の和紙をお持ちし……ま……した?」
「良く来たな。モナカとやら。おおすごい量の和紙を持ってきたではないか。ユウ、これだけあれば俺にも……あれ?」
「ああ、そいつは気にしないでくれ。魔王を見ると、一度は卒倒しないといけない性分なんだよ」
「しょ、性分なのか。それは俺にも直せそうにないな」
「草津の湯でも無理だろう。それより、揚げ終わったら並べるからその和紙をこちらにくれ」
「はい、私がお持ちします。すごい量ですね。全部縦に積んだら、魔王様の身長よりも高くなりそうです」
「頑張って運んでくれたな。目が覚めたら労ってあげよう」
「倒れる前に労るべきだと思うのだヨ」
「じゅぅぅぅ。ユウ。薄く切ったほうはそろそろ焦げ始めてるわよ。そろそろじゃない?」
「ある程度色がついたら出して、紙の上に並べてくれ。そしたら次のを入れて」
「はーい。ほいっとほいっとな」
「揚げ終わったら、塩を振りかけてとぱらりんこ。クラーク。できたぞ、試食してみろよ」
「ほぉ。なんだか食欲をそそる色だな。これがジャガイモとは信じられん。ぱりっ」
「どうだ?」
「ぱりっ、さくっ」
「いけるだろ?」
「ぱりっ、さくっ、ぱりっ、さくっ、ぱりっ、さくっ。ぱりぱりぱりぱりぱりざくざくざくざく」
「無我夢中かよ! 返事くらいしろよ」
「うまい!! これはうまい。おい、ケントもジョウも食べてみろパリパリ」
「では失礼して。ぱりっ。おお!」
「では私も。パリパリパリ。おおーすごいこれはおいしい!」
「だろ? これは売れるだろ……ってお前ら全部食うんじゃないぞ。俺たちの分も残しておけよ」
「いやパリパリ、そう言われてもだなボリボリ」
「ザクザクこんなおいしいものいままで食べたことありませパリ」
「パリパリ分かってはいるのですがポリポリ」
「パリパリパリ ヨ」
ミノウも一緒になって食ってんじゃねぇ!!
「私とユウ用に2枚だけ残してあるから大丈夫よ」
「おおっ、そうか。さすがミヨシだ。自分で味見できないと不安だったんだよパリパリ。うん、まずますだな」
「パリ。わぁぁこれ、すごくおいしい。食べ始めたら止まらないわね。ポテトの甘みと油の旨みにこの塩味がすごくマッチしているわ。これは絶対に売れるわね。私ももっと食べたかったなぁ」
「じゃあ、そっちのスティックのほうも同じ要領で揚げてくれ。時間はもう少し長くなるだろう」
「はーい。どちゃっとほれほれ」
「ユウ」
「どした? クラーク」
「お代わり」
「あるかぁ!! お前らずっと見ていただろうが。あれだけのジャガイモを全部食いやがって。それにしても早過ぎないか?!」
「じゃあ、次のやつをはよ」
「はよって言えた義理か! 食い意地はってんのか。どんだけ気に入ったんだよ」
「うむ。ジャガイモだからまずいわけはないとは思っていたが、予想以上だった。これなら間違いなく俺は食べる」
「そうだろ? ……じゃねぇ! お前が食ってどうするよ、これは売るんだよ!!
「パリパリパリ ヨ」
「だからお前もひたすら食ってんじゃねぇぇ!」
隠し持ってやがった。魔王の秘密の倉庫でもあるのかよ。
ん? 待て待て。魔王の倉庫?
「ちょっと。ミノウ、ここへ来い」
「なんなのだパリパリ。我はまだお食事中きゅぅぅぅ」
「どうもなくなるのが早いと思ったら、お前、がめやがったな?」
「な、なんのことなのだヨパリ」
「それだよ、それ!! それ、どこに隠した?」
「我専用のアイテムボックスの中にきまっておるヨパリ」
「それはすごいな。それってどのくらい入るものなんだ?」
「うむ。ポテチの22枚分だヨ」
「少ないなおい!」
「あ、違うのだ。それはいま入っている分だったのだ。全部使えばもっと入ると思うのだヨ」
「22枚も隠し持っていやがった。それ全部使ったことあるのか?」
「それはないヨ。全部使う必要なんかなかったからな」
「そういうものなのか、さすが魔王ってのは桁外れの能力があるんだなぁ。ちょっと見直したぞ」
ここでクラークをチラと見る。え? という顔をしたが、すぐに気がついたようだ。そしてそれはジョウにもケントにも広がって行く。
「俺にはそんなことできない。さすがは古の大魔王・ミノウであるな」
「それってものすごいレア能力ですよね。我が主にもない能力をお持ちだなんて、ミノウ様、素晴らしです」
「私はミノウ様にお会いできただけでも光栄です」
「そ、そうなのだ。それでいいのだ。それが本来の姿なのだヨ。見たか、ユウ。お主もこうあるべきなのだヨわははは」
「分かった分かった。そのアイテムボックスもお前もすごいよ。そんなすごいアイテムボックスにどのくらいの容量があるのか、試したことはないのか?」
「そうだなぁ。その昔大雨が続いてイルカイケの堤防が崩壊したことがあったヨ。それで大洪水になりかけたときに、池の水を全部ここに放り込んだヨ。おそらくそれが最大だヨ」
池の水を全部抜いたのか。それがあったらテレ東も苦労しなかっただろうにな。魔王のアイテムボックス、パネェッす。クラーク、ジョウ、ケント。ご協力に感謝する。おかげでミノウボックスの容量が分かった。
「そんなすごい能力があるミノウを、いままでのように平社員扱いでは申し訳ないな。お前に役職をやろう」
「なんだ、役職ってポロポリ」
「ポテチの残りカスまで食べないように。そうだな、運搬部長という名称にしよう。部長職ってのは俺の次ぐらいに偉い役職だぞ」
「そう、そうか。それならまあ受けてやっても良いのだヨ」
「うむ、エースには俺から話しをしておくが、オウミには当面は内緒だぞ」
「分かったのだ。まかせるのだ。オウミなんかに負けないのだヨ」
ちょろくて助かるよ魔王さん。流通に関しては悩み所だったのだ。ともかくホッカイ国は遠い。ジャガイモやトウモロコシは加工してから運ぶからまだいいとしても、小麦や甜菜は重いし嵩張るし。どうしたものかと思っていた。
これで、ただで使える運搬人足の確保である。
「ん? ユウ? またなんか悪巧みな顔になっているのだヨ?」
「いや、そんな、ことはないだろあはははは」
「???」
「さて。もうなくなってしまったが、このポテチはこのぐらいうまいものだ。それに原料にも加工にもたいしたコストがかからないのが一番のメリットだろう」
「たしかに。これは食べ始めたらもう止められないな」
「こうすれば水分がほとんどないから腐る心配がない。湿気らないように運ぶだけだ。これを人口の多い地方で売れば、紙なんかいくらでも買えるくらい儲かるぞ」
「そ、そうか。それはありがたい。だけど、これをなにに詰める? ここには紙はないぞ?」
「それはビニール袋……あ、あるわけないか。袋といったら紙か。げっ。紙も量産が必要なのか?!」
「やはりそうだよな。ヘタすると、中身より袋のほうが高くなりそうだ」
運搬はミノウにやらせるとしても、袋詰めでつまづくことになるとは。
さぁ。どうすべぇか。
「まあ、それはともかくとして、こちらも揚がりましたよ。どうぞ、召し上がれ」
「「「おおっ、いただきますっ」」」
みんなで一斉につまみ上げた。それは懐かしいフライドポテトの味であった。
紙の量産か。できるだろうか。和紙って大量生産には向いてないんだよなぁ。でも人件費は安いからなんとかなるかな。しかし通気性が良すぎて湿気を防いではくれないような気がする。長期保存には向かないな。
ぱくぱくぱく、うん、うまい。どないしよ。
1
あなたにおすすめの小説
毒舌アイドルは毒の魔物に転生する。
馳 影輝
ファンタジー
毒舌を売りにして芸能界で活躍できる様になった。
元々はアイドルとしてデビューしたが、ヒラヒラの衣装や可愛い仕草も得意じゃ無かった。
バラエティーの仕事を貰って、毒舌でキャラを作ったらこれがハマり役で世間からのウケも良くとんとん拍子で有名人になれた。
だが、自宅に帰ると玄関に見知らぬ男性が立っていて私に近づくと静かにナイフで私を刺した。
アイドル時代のファンかも知れない。
突然の事で、怖くて動けない私は何度も刺されて意識を失った。
主人公の時田香澄は殺されてしまう。
気がつくとダンジョンの最下層にポイズンキラーとい魔物に転生する。
自分の現象を知りショックを受けるが、その部屋の主であるリトラの助言により地上を目指す。
ダンジョンの中で進化を繰り返して強くなり、人間の冒険者達が襲われている所に出くわす。
魔物でありながら、擬態を使って人間としても生きる姿や魔王種への進化を試みたり、数え切れないほどの激動の魔物人生が始まる。
武装法人二階堂商会 ―― 企業買収(M&A)で異世界を支配する!
Innocentblue
ファンタジー
日本で企業買収の最前線を駆け抜けてきた敏腕社長・二階堂漣司。
裏切りにより命を落としたはずの彼が目を覚ましたのは、
剣と魔法が支配する異世界の戦場だった。
与えられたスキルは《企業買収(M&A)》。
兵士も村も土地も国家さえも、株式として評価・買収・支配できる異能の力。
「ならば、この世界そのものを買い叩く」
漣司は《武装法人二階堂商会》を設立。
冷徹な参謀にして最強の魔導士リュシア、獣人傭兵団、裏社会の戦力――
すべてを子会社として編成し、経済と武力を融合した前代未聞の経営戦争へと踏み出す。
弱小の村を救済し、都市と契約を結び、裏切り者を切り捨て、敵対勢力を力で買収する。
交渉は戦争、戦争は経営。
数字が命運を決め、契約が国境を塗り替える。
やがて商会は、都市国家・ギルド・貴族・宗教勢力すら巻き込み、
世界の価値そのものを再定義する巨大企業へと変貌していく。
これは、剣ではなく契約で世界を制圧する男の物語。
奪うのではない。支配するのでもない。
価値を見抜き、価値を操り、世界に値札を付ける――
救済か、支配か。正義か、合理か。
その境界線を踏み越えながら、蓮司は異世界そのものを経営していく。
異世界×経済×武力が激突する、知略と覇道の武装経営ファンタジー。
「この世界には、村があり、町があり、国家がある。
――全部まとめて、俺が買い叩く」
私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~
Ss侍
ファンタジー
"私"はある時目覚めたら身体が小石になっていた。
動けない、何もできない、そもそも身体がない。
自分の運命に嘆きつつ小石として過ごしていたある日、小さな人形のような可愛らしいゴーレムがやってきた。
ひょんなことからそのゴーレムの身体をのっとってしまった"私"。
それが、全ての出会いと冒険の始まりだとは知らずに_____!!
正しい聖女さまのつくりかた
みるくてぃー
ファンタジー
王家で育てられた(自称)平民少女が、学園で起こすハチャメチャ学園(ラブ?)コメディ。
同じ年の第二王女をはじめ、優しい兄姉(第一王女と王子)に見守られながら成長していく。
一般常識が一切通用しない少女に友人達は振り回されてばかり、「アリスちゃんメイドを目指すのになぜダンスや淑女教育が必要なの!?」
そこには人知れず王妃と王女達によるとある計画が進められていた!
果たしてアリスは無事に立派なメイドになれるのか!? たぶん無理かなぁ……。
聖女シリーズ第一弾「正しい聖女さまのつくりかた」
鬼死回生~酒呑童子の異世界転生冒険記~
今田勝手
ファンタジー
平安時代の日本で魑魅魍魎を束ねた最強の鬼「酒呑童子」。
大江山で討伐されたその鬼は、死の間際「人に生まれ変わりたい」と願った。
目が覚めた彼が見たのは、平安京とは全く異なる世界で……。
これは、鬼が人間を目指す更生の物語である、のかもしれない。
※本作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ネオページ」でも同時連載中です。
異世界でリサイクルショップ!俺の高価買取り!
理太郎
ファンタジー
坂木 新はリサイクルショップの店員だ。
ある日、買い取りで査定に不満を持った客に恨みを持たれてしまう。
仕事帰りに襲われて、気が付くと見知らぬ世界のベッドの上だった。
神様から転生スキルとして鑑定能力とリペア能力を授けられた理由
瀬乃一空
ファンタジー
普通の闇バイトだと思って気軽に応募したところ俺は某国の傭兵部隊に入れられた。しかし、ちょっとした俺のミスから呆気なく仲間7人とともに爆死。気が付くと目の前に神様が……。
神様は俺を異世界転生させる代わりに「罪業の柩」なるものを探すよう命じる。鑑定スキルや修復スキル、イケメン、その他を与えられることを条件に取りあえず承諾したものの、どうしたらよいか分からず、転生した途端、途方にくれるエルン。
転生したらスキル転生って・・・!?
ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。
〜あれ?ここは何処?〜
転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる