異世界召喚 ~依頼されたのは魔王討伐ではなく……~

オフィス景

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173 二度あることは三度ある

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「ブロディ将軍でしたか。無礼にも程があるでしょう」

 声は落ち着いていたが、顔には抑えきれない怒りが滲み出ているようだ。それはミネルヴァの顔を見なくてもわかった。

「無礼はそちらだろう。各国とも自国の最高戦力を派遣しているところにその面子ではふざけていると言われても仕方なかろう」

「見る目がないのですね。ここにいるのは間違いなく我が国の最強パーティーですよ」

「はっ」

 あからさまな侮蔑を浮かべ、ブロディはせせら笑った。

「オルタナはよほど人材不足なんだな。そんな陣容でこちらの足を引っ張らんでもらいたいものだ」

「その言葉、そっくりそのままお返しするわ。相手の力量を見極められないようだから、格上の魔人に特攻しないように気をつけてくださいね」

 ものすごい勢いで場の空気が悪化していく。ヒートアップしていく二人を誰も止めることができずにいる内に、修復不能な深くて広い溝ができあがってしまった。

「この小娘が……」

 ブロディのこめかみに浮かんだ青筋は今にもブッチ切れそうだ。

「ミネルヴァ、そのへんにしとけーーで、そっちも止めてくれねえか?   他国の王族にかなりな暴言吐いてるのわかってるか?」

 俺の言葉にハッとした幕僚たちがブロディを止めにかかる。が、頭に血が昇り過ぎたらしいブロディは今度はこっちに矛先を向けてきた。

「また貴様か。いちいち目障りな男だ」

 じゃあ近づいて来るなよ、と思うが、不毛な争いはしたくなかったので黙っていた。

「はっ、言い返すこともできんか。まあ、身の程をわきまえているところだけは評価してやってもいいぞ」

 あからさまな挑発。俺はこんなのに乗る気はこれっぽっちもなかったのだが、ウチの女性陣は想像以上に血の気が多かったらしい。

「弱い犬ほどよく吠えると言うが、そのクチか?」

 そう言ったのは、驚いたことにレイナだった。普段温厚な表情が怒りに染まっている。美人が怒った顔は怖いと言うが、まさにその通りだった。

「何だ、おまーー」

 言いかけたブロディの言葉が途切れる。目と口を真ん丸にしてレイナを見ている。

 あ、このパターンは……

「…う、美しい……」

 やっぱりか……

 頭痛がしてきた。この後の展開が容易に想像できる。

 しばしレイナに見とれていたブロディだったが、突然ハッとした顔をこっちに向けた。

「おい、まさかーー」

「想像した通りだよ」

 肩をすくめて答えると、ブロディの顔がみるみる内に憎悪に染まっていく。

「…二度ならず三度までも……」

 ギリギリと歯ぎしりしながら、ブロディは俺を睨んでくるが、これに関しては相性と運命だ。おまえの出る幕じゃねえ。

 これ以上ややこしくならないよう、俺はブロディに背を向けた。

「さあ、俺たちはやるべきことに集中するぞ」

 やるべきことは当然ダンジョンの攻略なわけだが、この分だと前途はなかなかに多難なようだった。

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