異世界召喚 ~依頼されたのは魔王討伐ではなく……~

オフィス景

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13 一人の夜(シルヴィア視点)

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「遅いなあ……」

 もうじき夕食の時間になるのに、コータローはまだ帰ってこない。

 突然冒険者になるなんて言われて、本当に驚いた。

 理由を聞いて納得はしたけれど、本音を言えば、行って欲しくはなかった。

 だって、わたしより綺麗で魅力的な人はたくさんいる、というか、みんなそう。

 コータローはこんなわたしを綺麗だと言ってくれて、スキルでそれが嘘ではないことを証明もしてくれたけど、やっぱりまだ自信は持てない。

 そばにいてくれないと不安になる。

 外で素敵な人と出逢ったら、目移りしてしまうんじゃないか。

 捨てられてしまうんじゃないか。

 一緒にいる時は平気だけど、一人になると、途端に不安になってしまう。

 怖い……

 早く帰って来て。

 顔が見たい。

 話がしたい。

 笑いかけて欲しい。
 
 煮詰まりかけた時、扉がノックされた。

「!」

 我ながら、この時の反応は早かったと思う。駆け寄って、扉を開けるまで三秒かかっていなかったのではないか。

 それなのにーー

 そこにいたのはコータローではなかった。

「…姫様、何を考えていたのか、気持ちはよくわかりますが、そこまでガッカリされると、さすがにおもしろくありません」

 侍女のイリスに半睨みされてしまった。

 年が同じこともあり、侍女でありながら半分友人に近い存在です。

「ご、ごめんなさい」

「姫様に残念なお知らせです。今日、コータロー様はお帰りにならないそうです」

「どうして!?」

 思わず大きな声を出してしまった。

「先ほど冒険者ギルドに勤めている私の友人から連絡がありました。お仕事でセリアの街へ向かわれたそうです」

「仕事、で?」

「いきなりギルドの指名依頼取ったそうですよ。大したものですねえ」

「そ、そうなの……」

 コータローが褒められる、認められるのは嬉しい。でも、その分わたしから離れていってしまうような気がして、複雑な気持ちになってしまう。

 わたしだけのコータローでいて欲しい、なんて思ってしまう。

「まったく、この勘違い姫は」

 呆れたように言ったイリスにほっぺたをつねられた。

 い、痛いですよ?

「どうせ、わたしだけのコータローでいて欲しい、とか思ってたんでしょうけど」

 そのものずばりを言い当てられてしまった。わたしって、そんなにわかりやすいかしら?

「姫、コータロー様のおかげで、姫は随分と可愛くなりました。姫をここまで変えるとは、恋心とは大したものだと思います」

「あらやだ」

「姫は可愛くなりました……でも、カッコ悪いです」

「え……?」

 思いもよらない言葉でした。
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