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14 一人の夜(シルヴィア視点)2
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「姫は可愛くなりました……でも、カッコ悪いです」
「え……?」
「コータロー様に頼りっきり。コータロー様がいないと生きていけない。今の姫はそんな風に見えます」
否定したくてもできなかった。コータローが一晩帰ってこないというだけでこんなにも動揺している自分に気づかされ、愕然としてしまう。
「仕方ないのはわかります。わかりますが、自分を見失ってるのは……」
「ん」
こういうことをきちんと言ってくれるイリスは本当にありがたい。
「でれでれで、みっともなかったよね」
「はい」
…ありがたいけど…少しは否定して欲しい……
「まあ、恋愛に関する免疫不全症候群ということで同情の余地はありますけどね」
「危険な病気みたいじゃない」
「危険ですよ。全身がでれでれに溶けて、人としてダメになっていってしまうので」
「もう……」
絶対に口では勝てない。
「…どうすればいいかな?」
「お試し期間を終了させてはいかがですか?」
イリスは何でもないことのように言った。
「きちんと婚約者として公表してしまえば、余計な虫が寄ってくることもないでしょう。心配も軽減されるのでは?」
「だ、大丈夫かな?」
「何がです? お二人の関係なら王都の者なら皆知っておりますよ」
「何で!?」
「…あれだけベッタベタのデートを見せつけておいて、今更何を言いやがりますかね。この天然ボケ姫は」
わぁ、瘴気レベルの毒が漂って来た。
「連絡してくれた友人が言ってましたよ。あの人が売約済みなのはとても残念だって。実はまだ婚約者でも何でもないと知れば、アタックしてくるかもしれませんね。ちなみに友人はギルドのやり手受付嬢で、顔も可愛いです」
「そんなのダメです」
イリスの友人というくらいだから、きっと素敵な人なんだろう。勝てる気がしない。
「もうお試しの必要はないんですよね?」
頷く。逆にコータローがいなくなることの方が考えられない。
「一度お二人でお話されてみては?」
「そうするわ」
「いい結論が出るといいですね」
そう言って、イリスは仕事に戻っていった。
一人になった部屋で、ベッドに腰かける。
言われるまで気づかなかったけど、確かに相当舞い上がってたわよね…恥ずかしい……
気づかせてくれたイリスには感謝。
で、わたしがしなきゃいけないのは自分磨き。
コータローは、わたしの隣に立つのにふさわしい男になると言ってくれた。それなら、わたしはコータローがそう言い続けてくれる女でいなければ。
頑張らなきゃ。
コータローと一緒にいるためだと思えば、頑張り甲斐はある。
やるぞぉ!
気合を入れた。
…でも、少しでいいから声が聞きたいな……
そう思ってしまうのは止められなかった。
「え……?」
「コータロー様に頼りっきり。コータロー様がいないと生きていけない。今の姫はそんな風に見えます」
否定したくてもできなかった。コータローが一晩帰ってこないというだけでこんなにも動揺している自分に気づかされ、愕然としてしまう。
「仕方ないのはわかります。わかりますが、自分を見失ってるのは……」
「ん」
こういうことをきちんと言ってくれるイリスは本当にありがたい。
「でれでれで、みっともなかったよね」
「はい」
…ありがたいけど…少しは否定して欲しい……
「まあ、恋愛に関する免疫不全症候群ということで同情の余地はありますけどね」
「危険な病気みたいじゃない」
「危険ですよ。全身がでれでれに溶けて、人としてダメになっていってしまうので」
「もう……」
絶対に口では勝てない。
「…どうすればいいかな?」
「お試し期間を終了させてはいかがですか?」
イリスは何でもないことのように言った。
「きちんと婚約者として公表してしまえば、余計な虫が寄ってくることもないでしょう。心配も軽減されるのでは?」
「だ、大丈夫かな?」
「何がです? お二人の関係なら王都の者なら皆知っておりますよ」
「何で!?」
「…あれだけベッタベタのデートを見せつけておいて、今更何を言いやがりますかね。この天然ボケ姫は」
わぁ、瘴気レベルの毒が漂って来た。
「連絡してくれた友人が言ってましたよ。あの人が売約済みなのはとても残念だって。実はまだ婚約者でも何でもないと知れば、アタックしてくるかもしれませんね。ちなみに友人はギルドのやり手受付嬢で、顔も可愛いです」
「そんなのダメです」
イリスの友人というくらいだから、きっと素敵な人なんだろう。勝てる気がしない。
「もうお試しの必要はないんですよね?」
頷く。逆にコータローがいなくなることの方が考えられない。
「一度お二人でお話されてみては?」
「そうするわ」
「いい結論が出るといいですね」
そう言って、イリスは仕事に戻っていった。
一人になった部屋で、ベッドに腰かける。
言われるまで気づかなかったけど、確かに相当舞い上がってたわよね…恥ずかしい……
気づかせてくれたイリスには感謝。
で、わたしがしなきゃいけないのは自分磨き。
コータローは、わたしの隣に立つのにふさわしい男になると言ってくれた。それなら、わたしはコータローがそう言い続けてくれる女でいなければ。
頑張らなきゃ。
コータローと一緒にいるためだと思えば、頑張り甲斐はある。
やるぞぉ!
気合を入れた。
…でも、少しでいいから声が聞きたいな……
そう思ってしまうのは止められなかった。
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