異世界召喚 ~依頼されたのは魔王討伐ではなく……~

オフィス景

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24 逆恨み

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「バッカじゃねえの?」

「あ!?」

 凶悪な視線がこちらを向いた。普通、勇者って正義だよな。でも、こいつはどう見ても悪役だぞ。人を見た目で判断しちゃいけないとは思いつつも、悪いヤツにしか見えない。

「おまえ、今何て言った?」

「聞こえなかったか? バッカじゃねえの、って言ったんだよ。いい年してガキみてえなことしてんじゃねえよ。見てるこっちが恥ずかしくなる」

「おまえ、僕が勇者だってわかってるのか?」

「え? マジで? 勇者って、人とぶつかっただけで怪我するような虚弱体質でも務まるんだ」

 わざとらしい口調で言うと、周りでクスクス笑う声が聞こえてきた。

「ふざけんな。誰がその程度で怪我するってんだ」

「あ、怪我してないんだ。じゃあこの人謝ってたし、これで終わりでいいよな」

 言いながら、ディーンさんに手を貸して、立ち上がらせる。

「皆さん、お騒がせしてすみませんでした。お仕事に戻ってください」

 口を挟む暇がないように一気に言うと、ルミさんがフォローしてくれた。

「早くしないと、受付時間終わっちゃいますよー」

「おお、やべえやべえ」

「あ、お、おいーー」

 もう誰も勇者になど注目していなかった。

「ちっ」

 舌打ちを残して勇者はギルドから出ていった。最後にこっちをものすごい目で睨んでいったから、恨みをかったかもしれないな。

「コータローさん、ありがとうございました」

「うまいこといなしたな」

「でも気をつけろよ。あいつ、粘着質っぽいからな。逆恨みされると厄介だぞ」

 誰かの言葉に、ルミさんの顔が曇る。

「そん時は走って逃げるよ」

「それがいい」

 皆は笑ったが、ルミさんの表情は晴れない。

「王宮に連絡をしておいた方がよくないですか?」

「いちいちそんなことしてたら、冒険者だって名乗れなくなっちゃうよ」

 信用一番のこの商売、一度でもあいつは使えないと思われてしまったら、仕事がなくなってしまう。これからも冒険者を続けていくためには、この程度のトラブルは自分で何とかしなくちゃならん。

「本当に気をつけてくださいね」

「だから、戦うつもりはないってば。ちゃんと逃げるって」

 嫌な会話の流れだな。これってどう考えてもフラグだよな……

 まあ、わかっているのなら備えておけばいい。

 ということで、臨戦態勢を整えて帰途に就いた。

 そうしたら案の定ーー

「さっきはずいぶんなめた真似してくれたじゃねえか」

 聞いてるこちらが恥ずかしくなるくらいテンプレな悪人台詞とともに、勇者が現れた。
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