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26 勇者にもいろいろいる
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「助かりました。ありがとうございました」
頭を下げると、美女は軽く目を瞠った。
「もしかして、日本からの召喚者?」
「わかるんですか?」
「この国で黒目と黒髪の組み合わせは珍しいからね~」
笑うと、随分と印象が変わる。とっつきにくそうな感じがなくなり、「綺麗なお姉さん」になった。
「わたしは大河内和紗。仲間内ではカズサで通ってる」
「高杉孝太郎です。コータローって呼んでください」
「え!? コータローって…もしかして、あの噂のーー」
噂って……この時点で嫌な予感しかしねえ……
「…馬云々はデマですからね」
カズサさんは一瞬だけ動揺を見せたが、すぐに苦笑した。
「そりゃそうだよね。話を聞いた時はびっくりしたよ」
「…大変お騒がせいたしました」
「じゃあもうひとつの称号ーー『韋駄天』だっけ。そっちは?」
「そっちは本当です。称号もあります」
そう言うと、カズサさんはほっとした顔を見せた。
「実はあなたの話を聞いて、わたしなりに考えていたことがあるの。もう少しまとまったら協力をお願いすることがあるかもしれないんだけど……」
「俺にできることならいいですよ」
内容をよく聞かずに承諾してしまったが、カズサさんなら問題ないだろう。そう思わせるくらいカズサさんからは誠実さが滲み出ていた。
「ありがとう。その時はよろしくお願いします」
「こちらこそーーところで、少し訊いてもいいですか?」
「何ですか?」
「他の召喚勇者に会ったのが初めてなんですが、召喚勇者って全部で何人くらいいるんですか?」
「正確な人数はわからないけど、百人くらいだと思う」
「皆さん普段はどうしてるんですか?」
「だいたい冒険者しながら来る日に備えてるって感じかな」
「召喚者同士の交流ってあるんですか?」
「わたしは召喚者同士でパーティーを組んでいるけど、どちらかと言うと少数派ね。ソロで活動している人が多いかな」
カズサさんは渋い表情を見せた。
「実際に脅威が目の前にあるわけではないので、個人毎でモチベーションに差ができてしまっていて、さっきのような犯罪者まがいの人も出てきてしまって……」
「そうは言っても、あんなのは他にはいないですよね」
「…あそこまで極端な人はいないけど、多かれ少なかれ皆抱えているものはあるわ」
カズサさんの言葉は重く響いた。
「さっきあなたを襲った人ーートンプソンっていうんだけど、あの人、わたしがこっちへ来た時には、召喚勇者の中でもトップといわれる存在だったのよ」
「え!?」
「誰もが憧れるような人だったんだけど、上位魔族との戦いで重傷を負ってから人が変わってしまって……」
「なるほどね……」
「ゲーム感覚だったみたい。チートな力で雑魚相手に無双できちゃったから勘違いしちゃったんだろうな。強い相手に負けた時に、これはゲームじゃなくて現実だってわかって、心が折れちゃったんだと思うの」
「…あいつもある意味被害者か」
「だからと言って今の行いが許されるわけじゃないわ。何とか立ち直ってくれればいいんだけど……」
「そうだな……」
まあ、他人事ではないわけで……俺にはシルヴィアがいてくれるからそうなる心配はないが、そうでなければ、俺がヤツのようになっていた可能性もあるわけだ。
「ごめん、重い話しちゃってーー今度わたしの仲間を紹介させてもらうから、また会おうよ」
落ち込みかけた俺を見て、カズサさんは明るく言ってくれる。俺がへこんでても仕方ないので、のっけてもらう。
「是非!」
「じゃあまた連絡するね」
「はい」
カズサさんとはそれで別れたが、今日はいろいろと考えさせられる一日だった。
頭を下げると、美女は軽く目を瞠った。
「もしかして、日本からの召喚者?」
「わかるんですか?」
「この国で黒目と黒髪の組み合わせは珍しいからね~」
笑うと、随分と印象が変わる。とっつきにくそうな感じがなくなり、「綺麗なお姉さん」になった。
「わたしは大河内和紗。仲間内ではカズサで通ってる」
「高杉孝太郎です。コータローって呼んでください」
「え!? コータローって…もしかして、あの噂のーー」
噂って……この時点で嫌な予感しかしねえ……
「…馬云々はデマですからね」
カズサさんは一瞬だけ動揺を見せたが、すぐに苦笑した。
「そりゃそうだよね。話を聞いた時はびっくりしたよ」
「…大変お騒がせいたしました」
「じゃあもうひとつの称号ーー『韋駄天』だっけ。そっちは?」
「そっちは本当です。称号もあります」
そう言うと、カズサさんはほっとした顔を見せた。
「実はあなたの話を聞いて、わたしなりに考えていたことがあるの。もう少しまとまったら協力をお願いすることがあるかもしれないんだけど……」
「俺にできることならいいですよ」
内容をよく聞かずに承諾してしまったが、カズサさんなら問題ないだろう。そう思わせるくらいカズサさんからは誠実さが滲み出ていた。
「ありがとう。その時はよろしくお願いします」
「こちらこそーーところで、少し訊いてもいいですか?」
「何ですか?」
「他の召喚勇者に会ったのが初めてなんですが、召喚勇者って全部で何人くらいいるんですか?」
「正確な人数はわからないけど、百人くらいだと思う」
「皆さん普段はどうしてるんですか?」
「だいたい冒険者しながら来る日に備えてるって感じかな」
「召喚者同士の交流ってあるんですか?」
「わたしは召喚者同士でパーティーを組んでいるけど、どちらかと言うと少数派ね。ソロで活動している人が多いかな」
カズサさんは渋い表情を見せた。
「実際に脅威が目の前にあるわけではないので、個人毎でモチベーションに差ができてしまっていて、さっきのような犯罪者まがいの人も出てきてしまって……」
「そうは言っても、あんなのは他にはいないですよね」
「…あそこまで極端な人はいないけど、多かれ少なかれ皆抱えているものはあるわ」
カズサさんの言葉は重く響いた。
「さっきあなたを襲った人ーートンプソンっていうんだけど、あの人、わたしがこっちへ来た時には、召喚勇者の中でもトップといわれる存在だったのよ」
「え!?」
「誰もが憧れるような人だったんだけど、上位魔族との戦いで重傷を負ってから人が変わってしまって……」
「なるほどね……」
「ゲーム感覚だったみたい。チートな力で雑魚相手に無双できちゃったから勘違いしちゃったんだろうな。強い相手に負けた時に、これはゲームじゃなくて現実だってわかって、心が折れちゃったんだと思うの」
「…あいつもある意味被害者か」
「だからと言って今の行いが許されるわけじゃないわ。何とか立ち直ってくれればいいんだけど……」
「そうだな……」
まあ、他人事ではないわけで……俺にはシルヴィアがいてくれるからそうなる心配はないが、そうでなければ、俺がヤツのようになっていた可能性もあるわけだ。
「ごめん、重い話しちゃってーー今度わたしの仲間を紹介させてもらうから、また会おうよ」
落ち込みかけた俺を見て、カズサさんは明るく言ってくれる。俺がへこんでても仕方ないので、のっけてもらう。
「是非!」
「じゃあまた連絡するね」
「はい」
カズサさんとはそれで別れたが、今日はいろいろと考えさせられる一日だった。
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