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51 まさかこんなところに
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帰り着いた俺たちは病院へ直行。アクバルさんたちを担ぎ込んだ。
アクバルさん本人は問題なさそうだったが、メンバーの中で二人ほど危険な状態の人がいた。心配だが、俺たちにこれ以上できることはなかった。
気持ちを切り替えて家に帰る。自分たちの仕事の成果だけを考えれば、かつてない稼ぎを挙げたわけで、祝杯をあげてもいいくらいだ。
大騒ぎする気分にはなれなかったが、癒しは必要だ。食料を買い込んで家に帰る。
「どうしたの、その顔!?」
いきなりシルヴィアに悲鳴をあげられた。
「顔?」
自覚はなかったが、風圧で裂けた頬からそこそこ出血していたらしい。今まで怪我らしい怪我をしていなかったので、余計に驚いたのかもしれない。
「痛そう…大丈夫?」
シルヴィアの手が傷に触れる。
「え?」
触れた箇所がじんわりと温かくなった。
「あれ……?」
シルヴィアが不思議そうに首を傾げた。
「…消えてく……?」
「え? マジ?」
皆の見ている前で、俺の頬の傷はゆっくりとではあったが消えていった。
「……」
誰からも言葉が出てこない。
「…わたし、何かやっちゃいましたか……?」
とても長い沈黙の後、シルヴィアがおそるおそる口を開いた。
それでようやく皆我に返った。
「…い、今のって……」
信じられないものを目の当たりにして、カズサさんの声は震えていた。
「いやいや、まだそうと決まったわけじゃないわ。この二人の場合、単なるラブラブパワーって可能性もーー」
あるか、そんなもん。
「なあ、シルヴィアって魔法使えたのか?」
「ううん。ただーー」
「ただ?」
「コータローが呪いを解いてくれた後くらいから、不思議な感覚があって……」
「じゃあやっぱりーー」
「何かマズいことなの?」
シルヴィアの表情が曇る。
「まさか。その逆だよ。今の俺たちにとって喉から手が出るほど欲しい力だよ」
「ホントに!?」
曇っていた顔が一瞬で輝いた。
「わたしにできることなら言って! 何でもするから」
「もうちょっとしっかり検証しないとわかんないけど、今見せてくれたシルヴィアの力が本当に治癒魔法だったら、すげえ助かる」
「…嬉しい……」
シルヴィアが涙ぐむ。
「どうした!?」
「…だって…やっとコータローの役に立てると思ったら……」
「何言ってんだよ。俺はシルヴィアがいてくれるだけでいいんだぜ」
「それじゃ駄目なの!」
珍しくシルヴィアが大きな声を出した。
「コータローに守られるだけじゃイヤなの。わたしもコータローを守れるようになりたいの!」
「……」
そんな風に考えていたなんて。正直驚いた。
でもまあ、言われてみればその気持ちは理解できた。もしも立場が逆なら、きっと同じように感じただろうから。
「わかった。あてにさせてもらうよ」
「うん!」
改めて惚れ直しそうな笑顔でシルヴィアは頷いた。
アクバルさん本人は問題なさそうだったが、メンバーの中で二人ほど危険な状態の人がいた。心配だが、俺たちにこれ以上できることはなかった。
気持ちを切り替えて家に帰る。自分たちの仕事の成果だけを考えれば、かつてない稼ぎを挙げたわけで、祝杯をあげてもいいくらいだ。
大騒ぎする気分にはなれなかったが、癒しは必要だ。食料を買い込んで家に帰る。
「どうしたの、その顔!?」
いきなりシルヴィアに悲鳴をあげられた。
「顔?」
自覚はなかったが、風圧で裂けた頬からそこそこ出血していたらしい。今まで怪我らしい怪我をしていなかったので、余計に驚いたのかもしれない。
「痛そう…大丈夫?」
シルヴィアの手が傷に触れる。
「え?」
触れた箇所がじんわりと温かくなった。
「あれ……?」
シルヴィアが不思議そうに首を傾げた。
「…消えてく……?」
「え? マジ?」
皆の見ている前で、俺の頬の傷はゆっくりとではあったが消えていった。
「……」
誰からも言葉が出てこない。
「…わたし、何かやっちゃいましたか……?」
とても長い沈黙の後、シルヴィアがおそるおそる口を開いた。
それでようやく皆我に返った。
「…い、今のって……」
信じられないものを目の当たりにして、カズサさんの声は震えていた。
「いやいや、まだそうと決まったわけじゃないわ。この二人の場合、単なるラブラブパワーって可能性もーー」
あるか、そんなもん。
「なあ、シルヴィアって魔法使えたのか?」
「ううん。ただーー」
「ただ?」
「コータローが呪いを解いてくれた後くらいから、不思議な感覚があって……」
「じゃあやっぱりーー」
「何かマズいことなの?」
シルヴィアの表情が曇る。
「まさか。その逆だよ。今の俺たちにとって喉から手が出るほど欲しい力だよ」
「ホントに!?」
曇っていた顔が一瞬で輝いた。
「わたしにできることなら言って! 何でもするから」
「もうちょっとしっかり検証しないとわかんないけど、今見せてくれたシルヴィアの力が本当に治癒魔法だったら、すげえ助かる」
「…嬉しい……」
シルヴィアが涙ぐむ。
「どうした!?」
「…だって…やっとコータローの役に立てると思ったら……」
「何言ってんだよ。俺はシルヴィアがいてくれるだけでいいんだぜ」
「それじゃ駄目なの!」
珍しくシルヴィアが大きな声を出した。
「コータローに守られるだけじゃイヤなの。わたしもコータローを守れるようになりたいの!」
「……」
そんな風に考えていたなんて。正直驚いた。
でもまあ、言われてみればその気持ちは理解できた。もしも立場が逆なら、きっと同じように感じただろうから。
「わかった。あてにさせてもらうよ」
「うん!」
改めて惚れ直しそうな笑顔でシルヴィアは頷いた。
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