異世界召喚 ~依頼されたのは魔王討伐ではなく……~

オフィス景

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50 ヒーラーの必要性

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 結果だけを言えば、依頼は難なくこなせた。

 誰一人怪我をすることもなく、依頼されたバジリスクを退治することができた。

 その行き帰りに遭遇したオークやゴブリンを狩ったら、それだけで結構な数になった。魔物が増えているという情報は間違いないようだ。

「この増え方、ヤバくないか?」

 戦闘が一段落したところで、俺たちはその場に座りこんだ。さすがに百匹超の群れと三連戦は、体力的にキツい。もし今次の群れが現れたらかなりヤバいことになる。

「そうだね。狩っても狩っても湧いてくるこの感じ、嫌な予感しかしないな……」

 続く言葉を濁すカズサさん。言いたいことはわかっているが、フラグが立つのを嫌がってか、誰も口に出そうとしない。

「少し休んだら急いで帰ろう。なるべく戦闘は避けるよ」

 カズサさんの言葉に異論は出なかった。

 出なかったのだが、フラグというものはこちらで立てないように気をつけても勝手に生えてくるようでーー

 出発してからいくらも経たない内に冒険者とオーガの戦闘に遭遇した。
 
「……」

「よりによって……」

「…オーガ……」

 揃ってげんなりしてしまう。

 オーガは一言で言ってしまえば「鬼」で、オークなどと比べて格段に手強いモンスターだ。それほど大きな群れを作ることはないが、個体として強いため、当たるなら万全の状態で当たりたい相手である。

「戦ってるのはーーアクバルのパーティね。ちょっとマズいかな」

 何とか渡り合ってはいるようだが、明らかに押されている。このままだと、多分ーー押しきられて全滅する。

「行くわよ!」

 カズサさんの決断は早かった。

 先行して俺が飛び出す。

 スピード重視のため、双剣はまだ抜かない。

 横合いから突っ込み、抜き放った剣でオーガの脚に斬りつける。

 とにかく動きを止めるのを最優先にする。

 怒りの咆哮にビビらされるが、絶対に足は止めない。

 わしゃ止まると死ぬんじゃ。

 どこかで聞いたようなフレーズが頭をよぎり、自分に苦笑してしまう。

 まだ余裕じゃねえか、俺。

 オーガの振るう剣は錆び付いていて、切れ味はないに等しい、が、こいつらの膂力でブンまわされたら、単純に鈍器として恐ろしい。

 当たったら一発で死ぬかもしれない。

 集中力を研ぎ澄ませて戦場を駆ける。

「ひょっ!?」

 間一髪でかわした際の風斬り音。風圧で頬が切れた。

 あっぶねー……

 油断していなくてもこれだ。一瞬の油断が命取りになる。更に集中してオーガに相対する。

 その後、カズサさんたちの参戦により数的優位を得た俺たちは、苦戦はしたものの、勝利をおさめた。

「すまねえ、助かったぜ」

 パーティのリーダーであるアクバルがカズサさんに頭を下げる。彼自身かなりの傷を負っている。

「これ使って」

 手持ちのポーションを渡すが、とても必要数には届かない。他のメンバーも含め、一刻も早く医者に診てもらわないと、命に関わる。

「急ごう」

 アクバルさんのパーティメンバーを支えるようにしながら、俺たちは王都へ急いだ。
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