65 / 179
65 正直ビビったけどね
しおりを挟む
目を覚まして真っ先に見えたのは、シルヴィアの泣き顔だった。
一発で目が覚めた。
「どうしたっ!?」
ビックリして跳ね起きたら、シルヴィアもビックリしたようだ。
「コータロー、よかったよぉ」
泣きつかれて、意識をなくす前のことを思い出した。
「…あれ、何だったんだ……いきなり目眩がして、身体から力が抜けて……」
「ごめんなさい、ごめんなさい」
「何でシルヴィアが謝るんだ?」
「回復のさせ過ぎが原因らしいの……」
「へ?」
何それ?
「自分のじゃない魔力を大量に身体に取り込むと、魔力に酔ったようになっちゃうみたいなの」
「ああ、そういうことか」
納得した。
「わたしのせいで……」
「何でそうなるんだよ……」
長年かけて築き上げられてしまったネガティブシンキングは、容易には治らないみたいだな。やれやれ。
「あのな、この際はっきり言っとくが、おまえの『せい』でこうなってるんじゃねえからな。おまえの『おかげ』でこれで済んでるんだぞ。おまえの治癒魔法がなかったら、魔族に瞬殺されとるわ」
「でも……」
「でもじゃねえ。おまえは胸張ってろって」
まだ釈然としない様子だったが、そこを譲るつもりはなかったので、話は終わりにした。
ちょうどよくカズサさんが部屋に入ってきた。
「やっと目覚ましたね。心配したよ」
「すんません」
「何を言うかな。こっちは助けてもらったんだからね。本当にありがとう。君が…いや、君たちがいてくれてよかった」
「照れるじゃないですか」
「正直、魔族があそこまでとは思わなかった」
カズサさんは自嘲するように言った。
「こっちの世界へ来て、それなりにキャリアも積んで、そこそこできるようになったつもりでいたんだが、全然甘かったと痛感してるよ。たかが一体の魔族にあの体たらくでは、本命の魔王には手も足も出ないな」
「そいつはまだわからんでしょ。実際に魔王とやらが現れたわけじゃないんだし」
話しながら、ちょっとヤバいと思った。カズサさんの心が折れかかってる。
「来るべき戦いにおいて自分が役に立てるのかどうか、正直自信がなくなってしまったんだよ」
「それなら少し休めばいいんじゃないですか」
「え?」
「無理することはないですよ。疲れたら休む。休んで鋭気を養ったら戦線復帰する。それでいいんじゃないですか?」
「復帰できるかな?」
「もう帰る場所はないですからね」
肩をすくめて言う。
「善きにつけ、悪しきにつけ、もうここが自分の世界なわけですから。言葉の通じない相手が殴りかかってきたら、殴り返すしかないでしょ。俺だって正直ビビってますけど、逃げ出す場所もないわけだし」
「確かにそうだな」
ようやくカズサさんに笑みが浮かんだ。
「わたしは何を弱気になっていたんだろうな。後輩に抜かれてそのままぼさっとしているわけにはいかないじゃないか」
目に光が戻る。それでこそカズサさん。
「変なところを見せて悪かった。これからもよろしく頼む」
差し出された手をしっかり握った。
一発で目が覚めた。
「どうしたっ!?」
ビックリして跳ね起きたら、シルヴィアもビックリしたようだ。
「コータロー、よかったよぉ」
泣きつかれて、意識をなくす前のことを思い出した。
「…あれ、何だったんだ……いきなり目眩がして、身体から力が抜けて……」
「ごめんなさい、ごめんなさい」
「何でシルヴィアが謝るんだ?」
「回復のさせ過ぎが原因らしいの……」
「へ?」
何それ?
「自分のじゃない魔力を大量に身体に取り込むと、魔力に酔ったようになっちゃうみたいなの」
「ああ、そういうことか」
納得した。
「わたしのせいで……」
「何でそうなるんだよ……」
長年かけて築き上げられてしまったネガティブシンキングは、容易には治らないみたいだな。やれやれ。
「あのな、この際はっきり言っとくが、おまえの『せい』でこうなってるんじゃねえからな。おまえの『おかげ』でこれで済んでるんだぞ。おまえの治癒魔法がなかったら、魔族に瞬殺されとるわ」
「でも……」
「でもじゃねえ。おまえは胸張ってろって」
まだ釈然としない様子だったが、そこを譲るつもりはなかったので、話は終わりにした。
ちょうどよくカズサさんが部屋に入ってきた。
「やっと目覚ましたね。心配したよ」
「すんません」
「何を言うかな。こっちは助けてもらったんだからね。本当にありがとう。君が…いや、君たちがいてくれてよかった」
「照れるじゃないですか」
「正直、魔族があそこまでとは思わなかった」
カズサさんは自嘲するように言った。
「こっちの世界へ来て、それなりにキャリアも積んで、そこそこできるようになったつもりでいたんだが、全然甘かったと痛感してるよ。たかが一体の魔族にあの体たらくでは、本命の魔王には手も足も出ないな」
「そいつはまだわからんでしょ。実際に魔王とやらが現れたわけじゃないんだし」
話しながら、ちょっとヤバいと思った。カズサさんの心が折れかかってる。
「来るべき戦いにおいて自分が役に立てるのかどうか、正直自信がなくなってしまったんだよ」
「それなら少し休めばいいんじゃないですか」
「え?」
「無理することはないですよ。疲れたら休む。休んで鋭気を養ったら戦線復帰する。それでいいんじゃないですか?」
「復帰できるかな?」
「もう帰る場所はないですからね」
肩をすくめて言う。
「善きにつけ、悪しきにつけ、もうここが自分の世界なわけですから。言葉の通じない相手が殴りかかってきたら、殴り返すしかないでしょ。俺だって正直ビビってますけど、逃げ出す場所もないわけだし」
「確かにそうだな」
ようやくカズサさんに笑みが浮かんだ。
「わたしは何を弱気になっていたんだろうな。後輩に抜かれてそのままぼさっとしているわけにはいかないじゃないか」
目に光が戻る。それでこそカズサさん。
「変なところを見せて悪かった。これからもよろしく頼む」
差し出された手をしっかり握った。
0
あなたにおすすめの小説
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
巻き込まれて異世界召喚? よくわからないけど頑張ります。 〜JKヒロインにおばさん呼ばわりされたけど、28才はお姉さんです〜
トイダノリコ
ファンタジー
会社帰りにJKと一緒に異世界へ――!?
婚活のために「料理の基本」本を買った帰り道、28歳の篠原亜子は、通りすがりの女子高生・星野美咲とともに突然まぶしい光に包まれる。
気がつけばそこは、海と神殿の国〈アズーリア王国〉。
美咲は「聖乙女」として大歓迎される一方、亜子は「予定外に混ざった人」として放置されてしまう。
けれど世界意識(※神?)からのお詫びとして特殊能力を授かった。
食材や魔物の食用可否、毒の有無、調理法までわかるスキル――〈料理眼〉!
「よし、こうなったら食堂でも開いて生きていくしかない!」
港町の小さな店〈潮風亭〉を拠点に、亜子は料理修行と新生活をスタート。
気のいい夫婦、誠実な騎士、皮肉屋の魔法使い、王子様や留学生、眼帯の怪しい男……そして、彼女を慕う男爵令嬢など個性豊かな仲間たちに囲まれて、"聖乙女イベントの裏側”で、静かに、そしてたくましく人生を切り拓く異世界スローライフ開幕。
――はい。静かに、ひっそり生きていこうと思っていたんです。私も.....(アコ談)
*AIと一緒に書いています*
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります
竹桜
ファンタジー
武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。
転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。
転生能無し少女のゆるっとチートな異世界交流
犬社護
ファンタジー
10歳の祝福の儀で、イリア・ランスロット伯爵令嬢は、神様からギフトを貰えなかった。その日以降、家族から【能無し・役立たず】と罵られる日々が続くも、彼女はめげることなく、3年間懸命に努力し続ける。
しかし、13歳の誕生日を迎えても、取得魔法は1個、スキルに至ってはゼロという始末。
遂に我慢の限界を超えた家族から、王都追放処分を受けてしまう。
彼女は悲しみに暮れるも一念発起し、家族から最後の餞別として貰ったお金を使い、隣国行きの列車に乗るも、今度は山間部での落雷による脱線事故が起きてしまい、その衝撃で車外へ放り出され、列車もろとも崖下へと転落していく。
転落中、彼女は前世日本人-七瀬彩奈で、12歳で水難事故に巻き込まれ死んでしまったことを思い出し、現世13歳までの記憶が走馬灯として駆け巡りながら、絶望の淵に達したところで気絶してしまう。
そんな窮地のところをランクS冒険者ベイツに助けられると、神様からギフト《異世界交流》とスキル《アニマルセラピー》を貰っていることに気づかされ、そこから神鳥ルウリと知り合い、日本の家族とも交流できたことで、人生の転機を迎えることとなる。
人は、娯楽で癒されます。
動物や従魔たちには、何もありません。
私が異世界にいる家族と交流して、動物や従魔たちに癒しを与えましょう!
【完結】異世界に召喚されたので、好き勝手に無双しようと思います。〜人や精霊を救う?いいえ、ついでに女神様も助けちゃおうと思います!〜
月城 蓮桜音
ファンタジー
仕事に日々全力を注ぎ、モフモフのぬいぐるみ達に癒されつつ、趣味の読書を生き甲斐にしていたハードワーカーの神木莉央は、過労死寸前に女神に頼まれて異世界へ。魔法のある世界に召喚された莉央は、魔力量の少なさから無能扱いされるが、持ち前のマイペースさと素直さで、王子と王子の幼馴染達に愛され無双して行く物語です。
※この作品は、カクヨムでも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる