異世界召喚 ~依頼されたのは魔王討伐ではなく……~

オフィス景

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90 必殺技

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「小僧が。俺たちに楯突いたこと、後悔させてやるぞ」

 何かほざいてるが、どうでもいい。今は掴めそうな感覚に集中する。

 こんな風にエネルギーを感じるのは、これまでになかったことだ。この感覚をものにできれば、新たな境地が拓ける気がする。

「おい、聞いてんのか、てめえ!」

「ああ、うるせえな。いいからかかってこいよ」

「…なめやがって……」

 リーダー格の男が怒りに震える。と、いきなり剣を抜きやがった。

 周りにいた野次馬が、悲鳴を上げて距離を取る。

「死ねえっ!」

 大上段から斬りかかってきたが、剣筋は三流だ。俺から見れば、スローモーションに等しい。

 十分に安全マージンを取った五センチの見切りで剣をかわす。かわしながらリズムを作る。

 すると、さっきより明確に身体の中のエネルギーの流れを掴むことができた。

 意識してその流れを右手に集中させる。

 上手くできた。

 よし、いける!

 剣をかわしながら間合いを潰す。

 リーダー格の腹に右掌を当てる。

 解放!

「!?」

 声もなく吹っ飛んだリーダー格は、他の二人を巻き込んで地面を滑っていった。建物にぶつかって止まったが、三人ともピクリとも動かない。

 自分の掌を見つめる。

 思わずにんまりしてしまう。

「できた」

 周りでどよめきが起きた。

 この感覚、忘れないうちに自分のものにしなくちゃいかん。

「おい、おまえら起きろ。もっと練習台になれ」

 ところが、根性のない男どもは、叩いても蹴っても一向に目を覚まさない。

「偉そうなこと言ってたわりにだらしねえな」

 起きないんじゃ仕方ない。

「悪いヤツ、いない?」

 周りを見回しながら訊くと、皆慌てて目を逸らした。その反応って、俺が恐いヤツみたいでイヤだな。

「コータロー様、お怪我はありませんか?」

 騒ぎは治まったと見たか、ミネルヴァがやってきた。

「大丈夫だよ。見ての通り、かすり傷ひとつないから」

「よかった……」

 本気で心配してくれていたようで、ほっと胸を撫で下ろしている。

「ミネルヴァ、ありがとな」

「え?   わたし、何かお礼言われるようなことしました?」

「おかげで新しいスキルが身についた」

「そうなんですか?   でもわたし何もしてませんよ」

「いいのいいの。ミネルヴァとのデートのおかげなんだから」

「よくわかりませんが、お役に立てたのなら嬉しいです」

 にっこり笑う顔はめちゃくちゃ可愛い。

 一日でも早く呪いを解かなきゃ、と決意を新たにした。

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