異世界召喚 ~依頼されたのは魔王討伐ではなく……~

オフィス景

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94 とんでもない提案

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 訪ねてきたブライト王子は、とりあえずさっぱりした顔をしていた。

「まだ余裕ありそうだね」

「んなわけあるか。死にそうだっての」

「自ら望んでの参加だもんな。簡単に逃げ出すわけにはいかないよな」

「誰が逃げるか」

 軽いジャブ程度の会話の後、表情を改めた。

「単刀直入に訊くが、ミネルヴァに許嫁みたいな相手はいないのか?」

「今のところいないな。軒並み断られてしまって、父上も諦めてしまっている」

「もし決められるようなら、早く決めといた方がいい」

「…どういうことだ?」

「争いが起きるぞ」

「は?   争い?」

「呪いが完全に解けたら、ミネルヴァの争奪戦になるぞ」

「…そんなにか……?」

「シルヴィアとは方向性が違うが、匹敵する美少女だぞ」

 今日来た貴族のことなど、かなり注目を集めていることを話し、早めに手を打つことを勧める。

「そうか……」

「王族の結婚ともなれば自由にはならないくらいは想像つくが、話がこじれてイヤな思いをするのはミネルヴァだからな。意中の相手くらいいないのか?」

 そう言うと、ブライト王子は悪そうな笑みを浮かべた。

「そうやっておまえから話を振ってくれると助かるな」

 …イヤな予感がした。

「俺からの話というのがそれだーーコータロー、ミネルヴァをもらってやってくれないか?」

「はあ!?」

 何を言い出すんだ、こいつは!? 

「俺は本気だぞ」

「俺はもう結婚してるっての」

「だから、側室ってことでどうだ?」

「何だよ、側室って。俺は王族でも何でもねえ。ただの平民だぞ」

「別にいいだろう。平民が側室を持ったって」

「いいわけあるか!?」

「シルヴィアさんはどう思われますか?」

 ああ、よかった。シルヴィアが肯んじるわけがない。

 と思ったんだがーー

「…そうですね。それがいいかも知れませんね」

「い!?」

 まさかの賛成票に絶句してしまう。

「もしコータローの言う通り争奪戦なんてことになったら、傷つくのはミネルヴァさんですものね。下手したら病んでしまうくらいに」

「え?   そんなに?」

「考えてみて。それまで自分を拒絶していた相手が、見た目が変わっただけで擦り寄って来たらどう感じるか」

「…イヤだな、それ……」

「自分の価値は外見だけなのかって思わされちゃうし、少なくとも人間不信にはなると思う」

「……」

 言う通りになる確率は高そうな気がする。

「わたしにはコータローがいてくれたからそんなことにはならずに済んだけど、何の防波堤もない状態でそんな悪意に晒されたら……」

「む……」

 確かに、ミネルヴァがそんなことになっちまうのは絶対にイヤだな。

 となると、本来はとんでもない話だけど、検討する必要があるってことか……

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