異世界召喚 ~依頼されたのは魔王討伐ではなく……~

オフィス景

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131 決意表明

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「ひとつ訊いてもいいですか?」

「何だい?」

「レジーナの王都もこれくらい賑やかなんですか?」

 アンジェリーナは少々バツが悪そうに訊いた。

「そうか。地元の方がかえって自由が利かないかもな」

「お恥ずかしい話ですが、こうやって民の熱気を感じられる場所に身を置くことがこれまでなかったもので……」

 王族にとってはそれが普通なんだろう。でも、アンジェリーナには何か思うところがあるようだ。

「そうだな賑やかさではこっちの方が上かもしれないな。その分レジーナには歴史とか伝統に基づく落ち着きがある、って感じかな」

「そうですか……」

 …きっと俺には想像もつかないような難しいこと考えてるんだろうな。

 少しの間沈思していたアンジェリーナだったが、やがて眦を決して、ひとつ頷いた。

「うん」

「どうした?」

「ありがとうございます。色々悩んでたことが吹っ切れました」

 晴れ晴れとした笑顔。この笑顔に貢献できたのなら、善行を施した気分になれるな。

「これから、大変になるぞー」

 ひとつ大きく伸びをしたアンジェリーナはその表情と相まって、さっきまでより数段魅力的に見えた。思わずドキッとしてしまう。

 落ち着け、俺。アンジェはシルヴィアの妹だぞ。

 おかしな気分になりそうだったが、当のアンジェリーナがその空気を救ってくれた。

「さあ、腹がへっては戦ができぬと言いますし、次のお店へ行きましょう」

「まだ食うのか!?」

 本気で驚いた。

 俺、自分では食べる方だと思ってたんだけど、正直もう満腹だぞ。

「デザートが欲しいです」

「ああ、別腹ってヤツね」



 リクエストのケーキまでしっかり平らげたアンジェリーナは、とても満足そうだった。

「今日一日ありがとうございました。とっても楽しかったです。こんなに楽しかったのは初めてっていうくらい楽しかったです」

「そりゃよかった」

 わざわざ連れ出した甲斐があったってもんだ。

「何だかこういうお忍びがクセになっちゃいそうです」

 イタズラっぽく笑う。

「そんなことになったら、俺が怒られそうだな」

「はい。怒られてください」

 あっけらかんと言われてしまった。

 …何かえらくキャラが変わってる気がするな……

 自分でも言ってたけど、いろんなものを吹っ切った感じがする。これはきっとアンジェリーナにとってはいい方向への変化なんだろう。そう信じたい。

「コータローさん」

「ん?」

「ひとつ宣言したいことがあるんですけど、聞いてもらえますか?」

 一転して真面目な顔。

「決意表明です」

「決意表明?」

「はい」

 正面から見つめられて、ほんの少しだが気圧された。それくらい強い目力だった。

 何かよほどの決意なんだろう。俺は居住まいを正して言葉を待った。

 アンジェリーナが小さく息を吸った。



「ーーわたし、王になります」

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