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132 決意表明 2

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「わたし、王になります」

 アンジェリーナはきっぱり言いきった。

「王に?」

「はい。わたしは女なので、正確には女王ですが」

「あれ?   アンジェの旦那になる人が王位を継ぐことになってるって言ってなかった?」

「はい。でも、それじゃダメだって気づいたんです」

 アンジェリーナの目は怖いくらいに真剣だった。

「しきたりをそのまま受け入れたら、波風は立たないかもしれません。でも、わたしは自分では何も決められなくなってしまいます。夫になる人の言うことを聞いて、おしとやかな妻でいるーー今まではそこに何の疑問も持たずにいましたが、それじゃわたしが生きている意味がないことに気づいたんです」

 言いたいことはよくわかった。小さく頷いて先を促す。

「これまでのわたしは常に受身でした。人が用意してくれた道の上を歩くだけで、それがあたりまえで、それでいいんだと思っていました。自分から積極的に物事に関わろうとしてなかったんです」

「そりゃあもったいないよな」

「そうなんです!」

 アンジェリーナは拳を握って距離を詰めてきた。

「今日、すごく楽しかったんです。楽しもうと思って関わっていけば、世界はこんなにも輝いてるんだってわかったら、居ても立ってもいられなくなって……」

「それで王になろうと思ったの?」

「…変、ですか……?」

 自信なさげにトーンダウンしてしまう。

 ああ、いかんいかん。ここでへこますのは愚策中の愚策だ。

「全然変じゃないよ。察するに、王になった方がよりいろんなことに、より深く関われると思った、ってとこかな?」

「そうなんです!   わかってくれました?」

 興奮したアンジェリーナに手を握られた。

「そこまでわかってくれるなんて、コータローさん、最高です」

 そこまで感激されると、まぐれだったとは言いにくくなってしまう。

「以前ウェインとああいうことになってから、漠然となんですけど、このままでいいのかなって思っていたんです。例えばあのままウェインが王になって、とんでもないことをやらかしても、わたしには責任ってないんですよ」

「そうなの?」

「そうなんです。でも、それって変ですよね。と言うか、不公平だと思うんです。それこそ、わたしって何のためにいるんだろうって思うレベルで」

「まあ、そうだな」

「ですよね。変なんですよ、わたしの立場って」

 確かに変だ。俺がアンジェリーナの立場だったら、バカにされてると思うかもしれない。

「わかってもらえて嬉しいです。わたしたちって、考え方似てるんですかね?」

 ちょこんと首を傾げる仕草が可愛い。揺れてはいけないものが揺れてしまいそうだ。

「そんなわけで、わたしは自分のしたことに責任を持てる立場になりたいと思ったんです」

「オーケー、わかった。理解した」

 そう聞かされれば、俺の選ぶ道は一択だ。

「応援、してくれます?」

「もちろん」

 きっぱり頷く。

「よかったあ」

 アンジェリーナの顔がほころぶ。

「コータローさんが応援してくれるなら、誰が敵にまわっても頑張れます!」

 …そ、その言い方は、要らぬ誤解を招くんじゃないかな……?

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