異世界召喚 ~依頼されたのは魔王討伐ではなく……~

オフィス景

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133 波紋

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 アンジェリーナの決意表明は、当然のように物議を醸すことになった。

「本気!?」

 シルヴィアとマリエールはまったく同じ反応を示した。

「もちろん本気よ。この上なく本気」

 腹を括った者の強みか、アンジェリーナは涼しい顔で頷いた。

「どうしたの、いきなり」

 マリエールが問い質すその横で、シルヴィアが目顔で訊いてきた。

 何を言ったの?

 俺じゃないよ。

 顔の前で手を振って、無実をアピールする。

 俺のせい、じゃないよな。別に唆したりしたわけじゃねえし、アンジェが自分から言い出したこと、だよ、な……

 でも、意思決定の後押しをしたことになる、のか?

 …少なくとも、まったくの無関係とは言えないような気がしてきた……

「…そんなにヤバい話なの?」

「かなり反発されると思う」

「何で?」

「政治は男の人のものだから」

「そうなのか?」

「コータローのいた世界では違ったの?」

「ああ。多くはなかったけど、女王様とか普通にいたぞ」

「そうなんだ……」

「でも前例がないことが難しいことだってのもわかる」

「うん。アンジェならしっかりしてるし、できなくもないかなとも思うけど、そんなに単純な話じゃないと思うのよね……」

「…うーむ……」

 なかなか難しい話になっちまったな。

「でも、アンジェがやるって言うなら、応援してやりたいな」

「すぐそばにいるならともかく、離れたところにいるのよ。応援するって言っても……」

「…む……」

 シルヴィアの言うことはいちいち正論で、ぐうの音も出ない。

「アンジェ姉の言いたいことはよくわかったし、本気だってこともわかった。でも、そんなに慌てない方がいいと思う。お父様もまだお元気だし、時間はあるから、しっかり考えるべきじゃないかな?」

 冷静沈着なマリエールの言葉が聞こえてきた。非常に落ち着いた声音と意見。もしかしてマリエールが姉妹一のしっかり者か?

「そうね。ごめん。ちょっと先走り過ぎたわ」

 アンジェリーナがひとつ大きく息を吐いた。

「ゆっくり、しっかり考えてみる。その上でやりたいって結論が出た時は、応援してくれると嬉しい」

「わかった」

 マリエールとシルヴィアが揃って頷いた。

「コータローさんも、お願いしますね」

「おう、任せとけ」

「じゃあこの話はここまでにしてーーおみやげあるから、食べよ?」

 アンジェリーナは包みを取り出した。

「コータローさんが案内してくれたお店のお菓子なんだけど、とっても美味しかったの」

 そうして振る舞われたお菓子は、マリエールのツボにはまったらしい。

「何これ。美味しすぎる」

「他にも美味しいものいっぱい食べさせてもらったのよ」

 マリエールに睨まれた。

「アンジェ姉ばっかりズルい」

 ということで、今度はマリエールを連れ出すことになってしまった。 

「アンジェ姉を案内したところよりいいところでね」

 と微妙に高いハードルを設定されてしまったので、また新規開拓に励まなければ……

 まだ色気より食い気ってのは、可愛いと評していいのかどうなのか、微妙なお年頃だぞ、お嬢様方。

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