異世界召喚 ~依頼されたのは魔王討伐ではなく……~

オフィス景

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 アンジェリーナとマリエールが何のためにオルタナを訪れたのかといえば、グルメツアーのわけはなく、俺とミネルヴァの結婚式に参列するというのがそもそもの目的だ。

 招待客は既に全員がオルタナ入りしており、明日の本番に備えている。

「やっぱり大がかりになっちまうよな」

 どうもほとんどの国から使節団が派遣されているらしい。総勢で二千人は下らないとのことで、正直ちょっとびびっている。

「いよいよ明日なんですね」

 ミネルヴァの表情もやや固い。

 今は部屋に二人っきりだ。気を利かせたのか、シルヴィアは姉妹のところへ行って、今日は戻らないと言っていた。

「明日に差し障りのない程度にしておくのよ」

 ニヤニヤしながらそんなことを言い残していったが、正直そういう気分にはならなかった。

 二度目だから平気かなと思っていたのだが、ミネルヴァの緊張が伝染ったらしく、気がついたらこっちまでガチガチになっていた。

「コータローさん、シルヴィアさんとの時って緊張しなかったの?」

「それなりにはしたと思うけど、他に気をとられることがあったから、そっちの方に気が行ってて、緊張してる余裕がなかったって感じかな」

「何ですか、それ?」

「結婚式の時って、まだ呪いが解けてなかったんだよ。変に茶々入れられて気まずくなるのが嫌だったから、色々シミュレーションしてたんだよ」

「なるほど。大変でしたね」

「結果的には最高の展開になってくれたからよかったんだけどな」

「わたしも後になってそう言えたらいいな」

「もちろんそうするさ。そこだけは絶対だ」

 きっぱり言いきったら、ミネルヴァの表情が少しほぐれた。

「コータローさんと出逢えて、ホントによかった」

「うん。俺もそう思うよ。ミネルヴァと出逢えてよかった」

 そこでふと引っかかった。

「俺とミネルヴァが出逢えたのって、完全にローザさんのおかげだよな」

 彼女が俺を探しに来てくれなければ、俺たちが知り合うことはなかったはずだ。

「そうね。何かお礼をしなくちゃいけないわね」

「ローザさんっていえば、王子とはどうなってるんだ?」

「相変わらずじゃないかな」

「王子には縁談とか来てないのか?」

「全部断ってるみたい。まだ未熟者だからって」

「なるほどな。まあ、王子の結婚なんて当人の自由にはなかなかならんって言うしな」

 そう言ったら、今度は表情が曇った。

「どうした?」

「…わたしたちの結婚って、政略結婚じゃないよね?」

「は?」

 何を言い出すんだ、こいつは?

「俺たちのどこに政略なんて不粋なものが入る余地があるんだ?」

「そ、そうだよね。うん、よかった」

「よくはないーーミネルヴァ、ここに座れ」

「え?   あ、ちょっと……顔が怖いんだけど……」

「うるさい。いいから座れ」

「はい……」

 少々びびりながら俺の隣に移るミネルヴァ。

「バンザイ」

「え?」

「バンザイ」

 おずおずと両手を挙げたところで、ミネルヴァの夜着を捲り上げ、頭から抜き取った。

「きゃあっ!?」

 何度見ても見飽きることのない魅惑のふくらみが露になる。

 続いて俺も上を脱いだ。

「な、な、何、何、何ですか!?」

「おいで」

 抱き寄せ、胸と胸を合わせる。

 しばらくその状態で動きを止める。

「…あ……」

「わかった?」

「ドキドキしてるね」

「だろ」

「これ、なんか嬉しい」

「お互いの鼓動を確かめられるのって、特別な関係の二人だけだろ。んでもって、このドキドキを実感すれば、変な疑いはしなくて済むだろ」

「ごめんなさい」

「わかればいいーー今日はせっかくだからこのまま寝るか」

「うん!」

 お互いの体温を感じられる幸せを噛みしめながら、俺たちは眠りに就いた。

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