異世界召喚 ~依頼されたのは魔王討伐ではなく……~

オフィス景

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158 三人目の嫁

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「…何を言ってんだ、おまえは」

 思わず呆れた声が出た。

「…二人に比べてわたし何の役にもたってないし……」

「まだレイナの力を発揮する場面がないだけだろ」

「二人ともすごい美人だし……」

「そこは負けてないから心配すんな」

「でも……」

 煮えきらない。

「二人にいじめられてるーーわけねえよな」

 自分で言っておいてアホかと思ったら、後ろから首を絞められた。

「うわ、やめろミネルヴァ」

「一瞬でもその発想になることが許せない。わたしたちを何だと思ってるわけ!?」

「悪かったよ。勘弁してくれ」

 確かに今のは俺が悪かった。平謝りするしかない。

「次にそんなことを言ったらひどいからね」

 何とか許してもらえた。口は災いの元だな。気をつけよう。

「で、レイナは何を思い悩んでいるわけ?」

「…その…なかなか進展しなくて……やっぱりわたしのことは義務感で拾ってもらったのかな、なんて思ってしまったり……」

「え!?」

 そんなことを考えてたのか!?

「……」

 ミネルヴァの目が怖い。

 またこのパターンか、と言いたげな顔をしている。

「そろそろ三ヶ月よね」

「は、はい」

「じゃあもう大丈夫ねーー押し倒そう」

「「はい?」」

 またおかしなこと言い出したぞ。

 口には出さなかったのだが、ミネルヴァの視線が冷たさを増した。

「そうでもしないと話が進まないでしょ。ほんっとに要らないところに気を使うんだから」

「何だよ」

 理不尽にディスられた気がする。

「あのね、レイナの方はとっくに準備できてるんだよ」

「え?」

「やっぱりわかってなかった」

 盛大にため息をつかれた。一気に旗色が悪くなったように感じるのは気のせいか?

「どうせまた余計なこと考えてたんでしょ。選択肢もない状態でこんなことになっちゃったけど、ホントは嫌なんじゃないかとか」

「…何でわかるんだ?」

 ズバリ言い当てられた。俺ってそんなにわかりやすいのか?

「これでもあなたの妻ですから」

 きっぱり言い切ったミネルヴァがカッコよく見えた。

「そういう配慮がコータローの優しさから出てるのはわかるし、優しいのは素敵なことだと思う」

 一旦言葉を切ったミネルヴァに正面から見据えられて、ちょっと気圧された。

「でも、優し過ぎるのはダメだよ。決めるべきところはきちんと決めてくれないと」

 ごもっとも……

 ぐうの音も出ない。

「まあ、そういう考えが出たってことは、レイナに対する気持ちが育ってきてるってことだと思うけど」

「そうなんですか!?」

 レイナの目に期待がこもってるのは気のせいではないだろう。

「出会ってすぐにそんな気持ちにはなれなくても、これだけ一緒にいるんだから、もう問題はないでしょ。違う?」

「…違いません」

「え?   ホントにいいんですか?」

「いや、はっきりさせなくて悪かったーーレイナさえよければ、俺と結婚して欲しい」

「はい。喜んで」

 一瞬の迷いもなく即答してくれた。待たせてしまったんだなと思うと、改めて申し訳なさが湧いてくる。

「まったく世話の焼ける……」

 残念なことに、返せる言葉がひとつもなかった。


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