異世界召喚 ~依頼されたのは魔王討伐ではなく……~

オフィス景

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164 心構え

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「今回は急な呼び出しに応じてもらい、感謝する」

 ブライト王子が集まった冒険者たちに頭を下げる。

「時間に余裕がないので単刀直入に話させてもらうーー魔族が同時に複数現れた」

 決して小さくないどよめきが起こる。

「既に軍は派遣したが、絶対的に戦力が足りない。諸君にその戦力不足を補ってもらいたいのだ」

「魔族相手か……」

 重苦しい雰囲気に包まれる。いくら腕に覚えがあるとは言っても、相手が魔族となれば尻込みするのも仕方ないだろう。

 まあ、こういう時は誰かが端を切らないと話が進まない。で、それは俺の役目だろ

「ーーどこへ行けばいいんだ?」

 そう訊くと、ブライト王子は小さく頷いた。

「ガレットとカンナギ近郊に現れた一団のふたつを頼みたい」

「だそうだが、みんなどうする?」

 と訊いてみたが、まだ反応が鈍い。

 ああ、大事なことを訊くのを忘れてた。

「これって、国からの依頼ってことでいいのか?」

「もちろんだ。報酬は魔物の十倍。討伐の暁にはボーナスも出そう」

「十倍!?」

 えらい奮発してきたな。でも、それだけ危険なのは確かだな。そう考えれば妥当なのかもしれない。

「っしゃ、いっちょ荒稼ぎといくか」

「魔族の首は俺がもらうぜ」

 冒険者たちは一様にやる気を見せていた。

 やる気になった冒険者たちは、てきぱきと準備を整え、出撃していった。

 俺たちも遠征用の装備をチェックし終えると、早々に王都を発った。目指すはガレットの街。オルタナの中では中規模の街だ。

 可能な限り急ぎながら、簡単なブリーフィングをしておく。実際に魔族に遭遇した時の陣形や基本方針などだが、俺たちの場合、それほど作戦にバリエーションがあるわけではないので、話はすぐに終わってしまう。

 そのタイミングで、レイナの表情に気づいた。

「レイナ、怖いか?」

 ストレートに訊いたら、こくんと小さく頷いた。

「大丈夫。それが普通だ」

 初めての実戦で平然としてたら、そっちの方が頭のネジを疑うところだ。

「怖さを自覚してれば、無茶もしないでしょ。レイナは敵を倒そうなんて思わなくていいからね。自分の身を守ることを最優先に考えてね」

 シルヴィアに言われて、レイナは素直に頷いた。

「基本的にシルヴィアは後衛だから、なるべくシルヴィアから離れないようにな」

「はい」

 表情が固いレイナの頭に手を置く。

「ひとつだけ、心構えーーヤバいと思っても口には出さない。そんな時は『何とかなる』って唱えろ。そうすりゃ本当に何とかなるから」

「何それ」

 苦笑混じりではあったが、レイナの口許が緩んだ。

 そうそう。どんな時でも笑えるゆとりがあれば、何とかなるもんだ。

 もう間もなく戦場だ。

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