5 / 15
第4話「王子様のアプローチはストレートすぎる」
しおりを挟む
リオネス王子との奇妙な「賭け」が始まってから、数日が過ぎた。
リナの日常は、一変した。
薬草店の奥には常に王子がいて、彼女の一挙手一投足に興味津々な視線を送ってくる。
「リナ、今作っているのは何の薬だい?」
「肩こりに効く塗り薬です」
「へえ、すごいな。僕の肩も凝っているんだが」
「王子様は一日中寝ているだけでしょう!」
思わず言い返してしまい、リナは慌てて口を押さえた。
王子に対してなんて口の利き方を。
しかし、リオネスは気にした様子もなく、楽しそうに笑っている。
「ははは、手厳しいな。でも、君と話していると退屈しなくていい」
そんな調子で、彼は何かとリナに話しかけてきた。
彼の存在は、静かだったリナの生活に、穏やかな波紋を広げている。
そして、リナが最も恐れていた「不幸」は、今のところ起きていなかった。
いや、正確に言うと、リオネスの身には相変わらず小さな不運が降りかかっていた。
飲もうとした薬湯に虫が飛び込んできたり、彼のベッドの真上の天井から雨漏りが始まったり(その日だけピンポイントで大雨が降った)、見舞いに来た村長がうっかり彼の足に物を落としたり。
だが、そのどれもが、リオネスにとっては「通常運転」の範囲内らしい。
「うん、今日も平常運転で平和だな!」
雨漏りの水を桶で受けながら、彼はなぜか満足げに頷いていた。
この人の『平常』の基準は、どうなっているのかしら……。
リナはもはや、ツッコむ気力も失っていた。
むしろ、奇妙なことに、リナが関わると、その不運が少しだけ良い方向へ転がる現象が起き始めていた。
薬湯に虫が飛び込んできた時は、リナが作り直したお茶の方が格段に美味しく、結果的にリオネスを喜ばせた。
雨漏りは、そのおかげで屋根裏に大きな蜂の巣ができていたのが見つかり、大事になる前に駆除できた。
村長が落としたのはフカフカのクッションだったので、リオネスは全くの無傷だった。
「ほら、やっぱりリナは幸運の女神様だ。君がいると、僕の不運がうまく中和されるみたいだ」
リオネスは得意げに言ったが、リナは素直に喜べなかった。
たまたまよ。きっと、偶然が重なっただけ……。
自分に幸運を呼ぶ力なんてあるはずがない。
そう思い込もうとする一方で、彼のそばにいる時の、胸がぽかぽかと温かくなるような不思議な感覚を、リナは無視できなくなりつつあった。
そんなある日、リオネスがとんでもないことを言い出した。
「リナ、僕の恋人になってくれないか」
「ぶっ!?」
リナは飲んでいた薬草茶を盛大に吹き出した。
「な、ななな、何を、急に……!」
「いや、急ではないよ。君と出会った最初の日から、ずっとそう思っていた」
あまりにもストレートすぎる告白に、リナの思考は完全に停止した。
顔が火を噴くように熱い。
「君は優しくて、芯が強くて、とても魅力的だ。僕は君に一目惚れしたんだ」
青い瞳が、熱を帯びてリナをじっと見つめている。
冗談を言っているようには見えない。
「む、むむ、無理です! 滅相もございません! 私のような者が、王子様の恋人だなんて、天地がひっくり返ってもありえません!」
リナは全力で首を横に振った。
身分の違いももちろんだが、それ以前の問題だ。
「私といたら、王子様がもっと不幸になります! ただでさえ不運なのに、超不運になってしまいます!」
「超不運か。それはそれで、ちょっと面白そうだな」
「面白がらないでください!」
真剣に言っているのに、彼は全く取り合ってくれない。
「僕は本気だよ、リナ。君のそばにいたいんだ。君が自分のことを呪われていると思っているなら、僕がそばにいて、それが間違いだって証明してあげる」
「で、ですが……」
「返事は今すぐじゃなくていい。でも、僕の気持ちだけは、知っておいてほしかった」
そう言って優しく微笑むリオネスに、リナは何も言えなくなってしまった。
彼の言葉は、まるで陽だまりのようだ。
頑なに閉ざされたリナの心の扉を、優しく叩き続ける。
その日の夜、リナは一人、眠れずにいた。
リオネスの言葉が、頭の中で何度も繰り返される。
恋人……私と、王子様が……。
ありえない。
そんなこと、あってはならない。
でも、もし。
もしも、本当に彼の言う通り、私に呪いがなくて、彼のそばにいることが許されるなら。
そう考えただけで、胸の奥がきゅっと甘く痛んだ。
追放されてから、恋愛なんて自分には一生縁のないものだと思っていた。
誰かを好きになることも、誰かから好意を寄せられることも、自分には許されないのだと。
なのに、リオネスは、そんなリナの心の壁をいとも簡単に飛び越えてきた。
「……困った人」
小さくつぶやいて、リナは枕に顔をうずめた。
顔の熱が、なかなか冷めてくれない。
彼の真っ直ぐすぎるアプローチは、リナを戸惑わせ、混乱させ、そして、ほんの少しだけ、期待させてしまう。
私、どうしたらいいんだろう……。
答えの出ない問いを抱えたまま、リナの長い夜は更けていった。
彼女の心に蒔かれた小さな恋の種は、彼女が気づかないうちに、ゆっくりと芽を出し始めていた。
リナの日常は、一変した。
薬草店の奥には常に王子がいて、彼女の一挙手一投足に興味津々な視線を送ってくる。
「リナ、今作っているのは何の薬だい?」
「肩こりに効く塗り薬です」
「へえ、すごいな。僕の肩も凝っているんだが」
「王子様は一日中寝ているだけでしょう!」
思わず言い返してしまい、リナは慌てて口を押さえた。
王子に対してなんて口の利き方を。
しかし、リオネスは気にした様子もなく、楽しそうに笑っている。
「ははは、手厳しいな。でも、君と話していると退屈しなくていい」
そんな調子で、彼は何かとリナに話しかけてきた。
彼の存在は、静かだったリナの生活に、穏やかな波紋を広げている。
そして、リナが最も恐れていた「不幸」は、今のところ起きていなかった。
いや、正確に言うと、リオネスの身には相変わらず小さな不運が降りかかっていた。
飲もうとした薬湯に虫が飛び込んできたり、彼のベッドの真上の天井から雨漏りが始まったり(その日だけピンポイントで大雨が降った)、見舞いに来た村長がうっかり彼の足に物を落としたり。
だが、そのどれもが、リオネスにとっては「通常運転」の範囲内らしい。
「うん、今日も平常運転で平和だな!」
雨漏りの水を桶で受けながら、彼はなぜか満足げに頷いていた。
この人の『平常』の基準は、どうなっているのかしら……。
リナはもはや、ツッコむ気力も失っていた。
むしろ、奇妙なことに、リナが関わると、その不運が少しだけ良い方向へ転がる現象が起き始めていた。
薬湯に虫が飛び込んできた時は、リナが作り直したお茶の方が格段に美味しく、結果的にリオネスを喜ばせた。
雨漏りは、そのおかげで屋根裏に大きな蜂の巣ができていたのが見つかり、大事になる前に駆除できた。
村長が落としたのはフカフカのクッションだったので、リオネスは全くの無傷だった。
「ほら、やっぱりリナは幸運の女神様だ。君がいると、僕の不運がうまく中和されるみたいだ」
リオネスは得意げに言ったが、リナは素直に喜べなかった。
たまたまよ。きっと、偶然が重なっただけ……。
自分に幸運を呼ぶ力なんてあるはずがない。
そう思い込もうとする一方で、彼のそばにいる時の、胸がぽかぽかと温かくなるような不思議な感覚を、リナは無視できなくなりつつあった。
そんなある日、リオネスがとんでもないことを言い出した。
「リナ、僕の恋人になってくれないか」
「ぶっ!?」
リナは飲んでいた薬草茶を盛大に吹き出した。
「な、ななな、何を、急に……!」
「いや、急ではないよ。君と出会った最初の日から、ずっとそう思っていた」
あまりにもストレートすぎる告白に、リナの思考は完全に停止した。
顔が火を噴くように熱い。
「君は優しくて、芯が強くて、とても魅力的だ。僕は君に一目惚れしたんだ」
青い瞳が、熱を帯びてリナをじっと見つめている。
冗談を言っているようには見えない。
「む、むむ、無理です! 滅相もございません! 私のような者が、王子様の恋人だなんて、天地がひっくり返ってもありえません!」
リナは全力で首を横に振った。
身分の違いももちろんだが、それ以前の問題だ。
「私といたら、王子様がもっと不幸になります! ただでさえ不運なのに、超不運になってしまいます!」
「超不運か。それはそれで、ちょっと面白そうだな」
「面白がらないでください!」
真剣に言っているのに、彼は全く取り合ってくれない。
「僕は本気だよ、リナ。君のそばにいたいんだ。君が自分のことを呪われていると思っているなら、僕がそばにいて、それが間違いだって証明してあげる」
「で、ですが……」
「返事は今すぐじゃなくていい。でも、僕の気持ちだけは、知っておいてほしかった」
そう言って優しく微笑むリオネスに、リナは何も言えなくなってしまった。
彼の言葉は、まるで陽だまりのようだ。
頑なに閉ざされたリナの心の扉を、優しく叩き続ける。
その日の夜、リナは一人、眠れずにいた。
リオネスの言葉が、頭の中で何度も繰り返される。
恋人……私と、王子様が……。
ありえない。
そんなこと、あってはならない。
でも、もし。
もしも、本当に彼の言う通り、私に呪いがなくて、彼のそばにいることが許されるなら。
そう考えただけで、胸の奥がきゅっと甘く痛んだ。
追放されてから、恋愛なんて自分には一生縁のないものだと思っていた。
誰かを好きになることも、誰かから好意を寄せられることも、自分には許されないのだと。
なのに、リオネスは、そんなリナの心の壁をいとも簡単に飛び越えてきた。
「……困った人」
小さくつぶやいて、リナは枕に顔をうずめた。
顔の熱が、なかなか冷めてくれない。
彼の真っ直ぐすぎるアプローチは、リナを戸惑わせ、混乱させ、そして、ほんの少しだけ、期待させてしまう。
私、どうしたらいいんだろう……。
答えの出ない問いを抱えたまま、リナの長い夜は更けていった。
彼女の心に蒔かれた小さな恋の種は、彼女が気づかないうちに、ゆっくりと芽を出し始めていた。
91
あなたにおすすめの小説
辺境に追放されたガリガリ令嬢ですが、助けた男が第三王子だったので人生逆転しました。~実家は危機ですが、助ける義理もありません~
香木陽灯
恋愛
「そんなに気に食わないなら、お前がこの家を出ていけ!」
実の父と義妹に虐げられ、着の身着のままで辺境のボロ家に追放された伯爵令嬢カタリーナ。食べるものもなく、泥水のようなスープですすり、ガリガリに痩せ細った彼女が庭で拾ったのは、金色の瞳を持つ美しい男・ギルだった。
「……見知らぬ人間を招き入れるなんて、馬鹿なのか?」
「一人で食べるのは味気ないわ。手当てのお礼に一緒に食べてくれると嬉しいんだけど」
二人の奇妙な共同生活が始まる。ギルが獲ってくる肉を食べ、共に笑い、カタリーナは本来の瑞々しい美しさを取り戻していく。しかしカタリーナは知らなかった。彼が王位継承争いから身を隠していた最強の第三王子であることを――。
※ふんわり設定です。
※他サイトにも掲載中です。
トカゲ令嬢とバカにされて聖女候補から外され辺境に追放されましたが、トカゲではなく龍でした。
克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。
リバコーン公爵家の長女ソフィアは、全貴族令嬢10人の1人の聖獣持ちに選ばれたが、その聖獣がこれまで誰も持ったことのない小さく弱々しいトカゲでしかなかった。それに比べて側室から生まれた妹は有名な聖獣スフィンクスが従魔となった。他にもグリフォンやペガサス、ワイバーンなどの実力も名声もある従魔を従える聖女がいた。リバコーン公爵家の名誉を重んじる父親は、ソフィアを正室の領地に追いやり第13王子との婚約も辞退しようとしたのだが……
王立聖女学園、そこは爵位を無視した弱肉強食の競争社会。だがどれだけ努力しようとも神の気紛れで全てが決められてしまう。まず従魔が得られるかどうかで貴族令嬢に残れるかどうかが決まってしまう。
聖女の力を妹に奪われ魔獣の森に捨てられたけど、何故か懐いてきた白狼(実は呪われた皇帝陛下)のブラッシング係に任命されました
AK
恋愛
「--リリアナ、貴様との婚約は破棄する! そして妹の功績を盗んだ罪で、この国からの追放を命じる!」
公爵令嬢リリアナは、腹違いの妹・ミナの嘘によって「偽聖女」の汚名を着せられ、婚約者の第二王子からも、実の父からも絶縁されてしまう。 身一つで放り出されたのは、凶暴な魔獣が跋扈する北の禁足地『帰らずの魔の森』。
死を覚悟したリリアナが出会ったのは、伝説の魔獣フェンリル——ではなく、呪いによって巨大な白狼の姿になった隣国の皇帝・アジュラ四世だった!
人間には効果が薄いが、動物に対しては絶大な癒やし効果を発揮するリリアナの「聖女の力」。 彼女が何気なく白狼をブラッシングすると、苦しんでいた皇帝の呪いが解け始め……?
「余の呪いを解くどころか、極上の手触りで撫でてくるとは……。貴様、責任を取って余の専属ブラッシング係になれ」
こうしてリリアナは、冷徹と恐れられる氷の皇帝(中身はツンデレもふもふ)に拾われ、帝国で溺愛されることに。 豪華な離宮で美味しい食事に、最高のもふもふタイム。虐げられていた日々が嘘のような幸せスローライフが始まる。
一方、本物の聖女を追放してしまった祖国では、妹のミナが聖女の力を発揮できず、大地が枯れ、疫病が蔓延し始めていた。 元婚約者や父が慌ててミレイユを連れ戻そうとするが、時すでに遅し。 「私の主人は、この可愛い狼様(皇帝陛下)だけですので」 これは、すべてを奪われた令嬢が、最強のパートナーを得て幸せになり、自分を捨てた者たちを見返す逆転の物語。
醜貌の聖女と呼ばれ、婚約破棄されましたが、実は本物の聖女でした
きまま
恋愛
王国の夜会で、第一王子のレオンハルトから婚約破棄を言い渡された公爵令嬢リリエル・アルヴァリア。
顔を銀の仮面で隠していることから『醜貌の聖女』と嘲られ、不要と切り捨てられた彼女は、そのまま王城を追われることになる。
しかし、その後に待ち受ける国の運命は滅亡へと向かっていた——
「醜い」と婚約破棄された銀鱗の令嬢、氷の悪竜辺境伯に嫁いだら、呪いを癒やす聖女として溺愛されました
黒崎隼人
恋愛
「醜い銀の鱗を持つ呪われた女など、王妃にはふさわしくない!」
衆人環視の夜会で、婚約者の王太子にそう罵られ、アナベルは捨てられた。
実家である公爵家からも疎まれ、孤独に生きてきた彼女に下されたのは、「氷の悪竜」と恐れられる辺境伯・レオニールのもとへ嫁げという非情な王命だった。
彼の体に触れた者は黒い呪いに蝕まれ、死に至るという。それは事実上の死刑宣告。
全てを諦め、死に場所を求めて辺境の地へと赴いたアナベルだったが、そこで待っていたのは冷徹な魔王――ではなく、不器用で誠実な、ひとりの青年だった。
さらに、アナベルが忌み嫌っていた「銀の鱗」には、レオニールの呪いを癒やす聖なる力が秘められていて……?
過労死コンサル、貧乏貴族に転生す~現代農業知識と魔法で荒地を開拓していたら、いつの間にか世界を救う食糧大国になっていました~
黒崎隼人
ファンタジー
農業コンサルタントとして過労死した杉本健一は、異世界の貧乏貴族ローレンツ家の当主として目覚めた。
待っていたのは、荒れた土地、飢える領民、そして莫大な借金!
チートスキルも戦闘能力もない彼に残された武器は、前世で培った「農業知識」だけだった。
「貴族が土を耕すだと?」と笑われても構わない!
輪作、堆肥、品種改良! 現代知識と異世界の魔法を組み合わせた独自農法で、俺は自らクワを握る「耕作貴族」となる!
元Sランク冒険者のクールなメイドや、義理堅い元騎士を仲間に迎え、荒れ果てた領地を最強の農業大国へと変えていく、異色の領地経営ファンタジー!
【完結】経費削減でリストラされた社畜聖女は、隣国でスローライフを送る〜隣国で祈ったら国王に溺愛され幸せを掴んだ上に国自体が明るくなりました〜
よどら文鳥
恋愛
「聖女イデアよ、もう祈らなくとも良くなった」
ブラークメリル王国の新米国王ロブリーは、節約と経費削減に力を入れる国王である。
どこの国でも、聖女が作る結界の加護によって危険なモンスターから国を守ってきた。
国として大事な機能も経費削減のために不要だと決断したのである。
そのとばっちりを受けたのが聖女イデア。
国のために、毎日限界まで聖なる力を放出してきた。
本来は何人もの聖女がひとつの国の結界を作るのに、たった一人で国全体を守っていたほどだ。
しかも、食事だけで生きていくのが精一杯なくらい少ない給料で。
だがその生活もロブリーの政策のためにリストラされ、社畜生活は解放される。
と、思っていたら、今度はイデア自身が他国から高値で取引されていたことを知り、渋々その国へ御者アメリと共に移動する。
目的のホワイトラブリー王国へ到着し、クラフト国王に聖女だと話すが、意図が通じず戸惑いを隠せないイデアとアメリ。
しかし、実はそもそもの取引が……。
幸いにも、ホワイトラブリー王国での生活が認められ、イデアはこの国で聖なる力を発揮していく。
今までの過労が嘘だったかのように、楽しく無理なく力を発揮できていて仕事に誇りを持ち始めるイデア。
しかも、周りにも聖なる力の影響は凄まじかったようで、ホワイトラブリー王国は激的な変化が起こる。
一方、聖女のいなくなったブラークメリル王国では、結界もなくなった上、無茶苦茶な経費削減政策が次々と起こって……?
※政策などに関してはご都合主義な部分があります。
「魔法を使わない魔術師を切り捨てた国は、取り返しのつかない後悔をする
藤原遊
ファンタジー
魔法を使わない魔術師は、役に立たない。
そう判断した王国は、彼女を「不要」と切り捨てた。
派手な魔法も、奇跡も起こさない。
彼女がしていたのは、魔力の流れを整え、結界を維持し、
魔法事故が起きないよう“何も起こらない状態”を保つことだけだった。
代わりはいくらでもいる。
そう思われていた仕事は、彼女がいなくなった途端に破綻する。
魔法は暴走し、結界は歪み、
国は自分たちが何に守られていたのかを知る。
これは、
魔法を使わなかった魔術師が、
最後まで何もせずに証明した話。
※主人公は一切振り返りません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる