12 / 15
第11話「偽りの聖女の末路」
しおりを挟む
国を危機に陥れた巨大な魔物は消え去り、王都には再び平和が訪れた。
全ての元凶であったセレーネは、その場で兵士たちに取り押さえられた。
彼女はもはや抵抗する気力もなく、虚ろな目で床を見つめている。
国王は、威厳に満ちた声で判決を言い渡した。
「セレーネ! 貴様は聖女の名を騙り、真の聖女であるルナを陥れ、国を滅ぼしかけた! その罪は万死に値する!」
その言葉に、セレーネの肩が小さく震えた。
「よって、貴様の聖女の位を剥奪し、魔力の全てを封じた上で、北の塔に生涯幽閉とすることを命ずる!」
死罪を免れたのは、国王の最後の慈悲だったのかもしれない。
あるいは、義理の娘とはいえ、家族であった者への情けだったのか。
兵士に両脇を抱えられ、連行されていくセレーネ。
その顔には、もはや何の感情も浮かんでいなかった。
彼女がこれから過ごすであろう、光の届かない塔での孤独な日々。
それは、彼女がルナに与えた苦しみを、自らの身で味わい続けるという、ある意味で死よりも重い罰だった。
人々は、偽りの聖女の末路を、静かに見送っていた。
事件が解決した後、ルナは正式に聖女として復位することになった。
国王は、ルナの前に深々と頭を下げた。
「ルナ……すまなかった。この父は、真実を見抜けず、お前に辛い思いをさせてしまった。どうか、許してほしい」
「父上……」
ルナは、静かに首を横に振った。
「もう、いいのです。父上も、セレーネの魔法に惑わされていたのですから」
彼女の心に、もはや父を恨む気持ちはなかった。
それよりも、これから聖女として、この国のために何をすべきか、その使命感の方が強かった。
彼女の復位を祝う式典が、盛大に執り行われた。
純白の聖女の衣をまとったルナが神殿のバルコニーに姿を現すと、広場を埋め尽くした民衆から、割れんばかりの歓声が上がった。
「ルナ様、万歳!」
「我らが聖女、ルナ様!」
半年前、石を投げつけられた同じ場所で、今、彼女は賞賛の声を浴びている。
本当に、夢のよう……。
ルナは、民衆に優しく微笑みかけ、そっと手を振った。
彼女の心は、晴れやかな光に満たされていた。
式典の後、神殿の庭園で、ルナはリオネスと二人きりで話していた。
「すごい人気だったな、聖女様」
リオネスが、からかうように言う。
ルナは、少し頬を赤らめて答えた。
「やめてください、王子様。……本当に、ありがとうございました。あなたがいなければ、私は今もミモザ村で、自分を呪いながら生きていたと思います」
「礼を言うのは僕の方だ。君のおかげで、国が救われたんだからな」
二人の間に、心地よい沈黙が流れる。
庭園の花々が、風に揺れて優しい香りを運んでくる。
「これから、どうするんだ?」
リオネスが尋ねた。
「聖女として、王宮に残るのか?」
その問いに、ルナは少し考えた後、ゆっくりと首を横に振った。
「いいえ。私は、王宮には戻りません」
「え?」
意外な答えに、リオネスが目を見開く。
「聖女としての務めは、果たします。でも、私の居場所は、ここではないと思うんです。私は……ミモザ村に戻りたい」
「ミモザ村に……?」
「はい。あの村には、私の力を必要としてくれる人たちがいます。王都のような華やかさはありませんが、私にはあの村の穏やかな暮らしが合っているんです。薬師として、人々を癒しながら生きていきたい。それが、今の私の願いです」
きっぱりと告げるルナの瞳は、自信に満ちて輝いていた。
もはや、そこに自己肯定感の低い、怯えた少女の姿はない。
リオネスは、そんな彼女の顔をじっと見つめ、やがて、ふっと笑みをこぼした。
「……そうか。君らしいな」
彼は、ルナの決意を尊重してくれたようだった。
「でも、そうなると、僕たちは離れ離れになってしまうな」
少しだけ寂しそうな声で、リオネスがつぶやく。
その言葉に、ルナの胸がきゅんとなった。
「それは……」
「僕も、王子としての役目がある。王都を長く離れるわけにはいかない」
分かっている。
身分が違うのだ。
彼には彼の、私には私の、生きる道がある。
ミモザ村での日々が、まるで遠い夢のように思えた。
「……お元気で、王子様」
寂しさを押し殺し、ルナは笑顔で言った。
「君もな。……たまには、顔を見に行くよ。僕の不運が、君の村に迷惑をかけない程度にね」
リオネスも、冗談めかして笑う。
これで、終わり。
二人の道は、ここで分かれるのだ。
そう思った時、リオネスが真剣な顔でルナに向き直った。
「ルナ。一つ、言い忘れていたことがある」
「なんでしょう?」
「ミモザ村で言った、僕の告白。あれの返事を、まだ聞いていない」
「え……!」
忘れていたわけではない。
けれど、この状況でその話が出てくるとは思わず、ルナは完全に不意を突かれた。
「僕の気持ちは、今も変わらない。いや、前よりもっと、君のことが好きになっている。君のいない王都なんて、考えられない」
リオネスは、ルナの前にひざまずくと、彼女の手を取った。
「だから、ルナ。僕と、結婚してほしい」
「け、結婚!?」
あまりに唐突なプロポーズに、ルナの頭は真っ白になった。
「王子様、何を……! 身分が違いすぎます!」
「身分なんて関係ない。それに、いい考えがあるんだ」
そう言うと、リオネスはいたずらっぽく笑った。
偽りの聖女の末路は、孤独な幽閉。
では、真の聖女が選ぶ未来とは。
そして、不運な王子が考えた「いい考え」とは、一体何なのか。
二人の物語は、まだ終わらない。
全ての元凶であったセレーネは、その場で兵士たちに取り押さえられた。
彼女はもはや抵抗する気力もなく、虚ろな目で床を見つめている。
国王は、威厳に満ちた声で判決を言い渡した。
「セレーネ! 貴様は聖女の名を騙り、真の聖女であるルナを陥れ、国を滅ぼしかけた! その罪は万死に値する!」
その言葉に、セレーネの肩が小さく震えた。
「よって、貴様の聖女の位を剥奪し、魔力の全てを封じた上で、北の塔に生涯幽閉とすることを命ずる!」
死罪を免れたのは、国王の最後の慈悲だったのかもしれない。
あるいは、義理の娘とはいえ、家族であった者への情けだったのか。
兵士に両脇を抱えられ、連行されていくセレーネ。
その顔には、もはや何の感情も浮かんでいなかった。
彼女がこれから過ごすであろう、光の届かない塔での孤独な日々。
それは、彼女がルナに与えた苦しみを、自らの身で味わい続けるという、ある意味で死よりも重い罰だった。
人々は、偽りの聖女の末路を、静かに見送っていた。
事件が解決した後、ルナは正式に聖女として復位することになった。
国王は、ルナの前に深々と頭を下げた。
「ルナ……すまなかった。この父は、真実を見抜けず、お前に辛い思いをさせてしまった。どうか、許してほしい」
「父上……」
ルナは、静かに首を横に振った。
「もう、いいのです。父上も、セレーネの魔法に惑わされていたのですから」
彼女の心に、もはや父を恨む気持ちはなかった。
それよりも、これから聖女として、この国のために何をすべきか、その使命感の方が強かった。
彼女の復位を祝う式典が、盛大に執り行われた。
純白の聖女の衣をまとったルナが神殿のバルコニーに姿を現すと、広場を埋め尽くした民衆から、割れんばかりの歓声が上がった。
「ルナ様、万歳!」
「我らが聖女、ルナ様!」
半年前、石を投げつけられた同じ場所で、今、彼女は賞賛の声を浴びている。
本当に、夢のよう……。
ルナは、民衆に優しく微笑みかけ、そっと手を振った。
彼女の心は、晴れやかな光に満たされていた。
式典の後、神殿の庭園で、ルナはリオネスと二人きりで話していた。
「すごい人気だったな、聖女様」
リオネスが、からかうように言う。
ルナは、少し頬を赤らめて答えた。
「やめてください、王子様。……本当に、ありがとうございました。あなたがいなければ、私は今もミモザ村で、自分を呪いながら生きていたと思います」
「礼を言うのは僕の方だ。君のおかげで、国が救われたんだからな」
二人の間に、心地よい沈黙が流れる。
庭園の花々が、風に揺れて優しい香りを運んでくる。
「これから、どうするんだ?」
リオネスが尋ねた。
「聖女として、王宮に残るのか?」
その問いに、ルナは少し考えた後、ゆっくりと首を横に振った。
「いいえ。私は、王宮には戻りません」
「え?」
意外な答えに、リオネスが目を見開く。
「聖女としての務めは、果たします。でも、私の居場所は、ここではないと思うんです。私は……ミモザ村に戻りたい」
「ミモザ村に……?」
「はい。あの村には、私の力を必要としてくれる人たちがいます。王都のような華やかさはありませんが、私にはあの村の穏やかな暮らしが合っているんです。薬師として、人々を癒しながら生きていきたい。それが、今の私の願いです」
きっぱりと告げるルナの瞳は、自信に満ちて輝いていた。
もはや、そこに自己肯定感の低い、怯えた少女の姿はない。
リオネスは、そんな彼女の顔をじっと見つめ、やがて、ふっと笑みをこぼした。
「……そうか。君らしいな」
彼は、ルナの決意を尊重してくれたようだった。
「でも、そうなると、僕たちは離れ離れになってしまうな」
少しだけ寂しそうな声で、リオネスがつぶやく。
その言葉に、ルナの胸がきゅんとなった。
「それは……」
「僕も、王子としての役目がある。王都を長く離れるわけにはいかない」
分かっている。
身分が違うのだ。
彼には彼の、私には私の、生きる道がある。
ミモザ村での日々が、まるで遠い夢のように思えた。
「……お元気で、王子様」
寂しさを押し殺し、ルナは笑顔で言った。
「君もな。……たまには、顔を見に行くよ。僕の不運が、君の村に迷惑をかけない程度にね」
リオネスも、冗談めかして笑う。
これで、終わり。
二人の道は、ここで分かれるのだ。
そう思った時、リオネスが真剣な顔でルナに向き直った。
「ルナ。一つ、言い忘れていたことがある」
「なんでしょう?」
「ミモザ村で言った、僕の告白。あれの返事を、まだ聞いていない」
「え……!」
忘れていたわけではない。
けれど、この状況でその話が出てくるとは思わず、ルナは完全に不意を突かれた。
「僕の気持ちは、今も変わらない。いや、前よりもっと、君のことが好きになっている。君のいない王都なんて、考えられない」
リオネスは、ルナの前にひざまずくと、彼女の手を取った。
「だから、ルナ。僕と、結婚してほしい」
「け、結婚!?」
あまりに唐突なプロポーズに、ルナの頭は真っ白になった。
「王子様、何を……! 身分が違いすぎます!」
「身分なんて関係ない。それに、いい考えがあるんだ」
そう言うと、リオネスはいたずらっぽく笑った。
偽りの聖女の末路は、孤独な幽閉。
では、真の聖女が選ぶ未来とは。
そして、不運な王子が考えた「いい考え」とは、一体何なのか。
二人の物語は、まだ終わらない。
88
あなたにおすすめの小説
辺境に追放されたガリガリ令嬢ですが、助けた男が第三王子だったので人生逆転しました。~実家は危機ですが、助ける義理もありません~
香木陽灯
恋愛
「そんなに気に食わないなら、お前がこの家を出ていけ!」
実の父と義妹に虐げられ、着の身着のままで辺境のボロ家に追放された伯爵令嬢カタリーナ。食べるものもなく、泥水のようなスープですすり、ガリガリに痩せ細った彼女が庭で拾ったのは、金色の瞳を持つ美しい男・ギルだった。
「……見知らぬ人間を招き入れるなんて、馬鹿なのか?」
「一人で食べるのは味気ないわ。手当てのお礼に一緒に食べてくれると嬉しいんだけど」
二人の奇妙な共同生活が始まる。ギルが獲ってくる肉を食べ、共に笑い、カタリーナは本来の瑞々しい美しさを取り戻していく。しかしカタリーナは知らなかった。彼が王位継承争いから身を隠していた最強の第三王子であることを――。
※ふんわり設定です。
※他サイトにも掲載中です。
トカゲ令嬢とバカにされて聖女候補から外され辺境に追放されましたが、トカゲではなく龍でした。
克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。
リバコーン公爵家の長女ソフィアは、全貴族令嬢10人の1人の聖獣持ちに選ばれたが、その聖獣がこれまで誰も持ったことのない小さく弱々しいトカゲでしかなかった。それに比べて側室から生まれた妹は有名な聖獣スフィンクスが従魔となった。他にもグリフォンやペガサス、ワイバーンなどの実力も名声もある従魔を従える聖女がいた。リバコーン公爵家の名誉を重んじる父親は、ソフィアを正室の領地に追いやり第13王子との婚約も辞退しようとしたのだが……
王立聖女学園、そこは爵位を無視した弱肉強食の競争社会。だがどれだけ努力しようとも神の気紛れで全てが決められてしまう。まず従魔が得られるかどうかで貴族令嬢に残れるかどうかが決まってしまう。
お掃除侍女ですが、婚約破棄されたので辺境で「浄化」スキルを極めたら、氷の騎士様が「綺麗すぎて目が離せない」と溺愛してきます
咲月ねむと
恋愛
王宮で侍女として働く私、アリシアは、前世の記憶を持つ転生者。清掃員だった前世の知識を活かし、お掃除に情熱を燃やす日々を送っていた。その情熱はいつしか「浄化」というユニークスキルにまで開花!…したことに本人は全く気づいていない。
そんなある日、婚約者である第二王子から「お前の周りだけ綺麗すぎて不気味だ!俺の完璧な美貌が霞む!」という理不尽な理由で婚約破棄され、瘴気が漂うという辺境の地へ追放されてしまう。
しかし、アリシアはへこたれない。「これで思う存分お掃除ができる!」と目を輝かせ、意気揚々と辺境へ。そこで出会ったのは、「氷の騎士」と恐れられるほど冷徹で、実は極度の綺麗好きである辺境伯カイだった。
アリシアがただただ夢中で掃除をすると、瘴気に汚染された土地は浄化され、作物も豊かに実り始める。呪われた森は聖域に変わり、魔物さえも彼女に懐いてしまう。本人はただ掃除をしているだけなのに、周囲からは「伝説の浄化の聖女様」と崇められていく。
一方、カイはアリシアの完璧な仕事ぶり(浄化スキル)に心酔。「君の磨き上げた床は宝石よりも美しい。君こそ私の女神だ」と、猛烈なアタックを開始。アリシアは「お掃除道具をたくさんくれるなんて、なんて良いご主人様!」と、これまた盛大に勘違い。
これは、お掃除大好き侍女が、無自覚な浄化スキルで辺境をピカピカに改革し、綺麗好きなハイスペックヒーローに溺愛される、勘違いから始まる心温まる異世界ラブコメディ。
聖女の力を妹に奪われ魔獣の森に捨てられたけど、何故か懐いてきた白狼(実は呪われた皇帝陛下)のブラッシング係に任命されました
AK
恋愛
「--リリアナ、貴様との婚約は破棄する! そして妹の功績を盗んだ罪で、この国からの追放を命じる!」
公爵令嬢リリアナは、腹違いの妹・ミナの嘘によって「偽聖女」の汚名を着せられ、婚約者の第二王子からも、実の父からも絶縁されてしまう。 身一つで放り出されたのは、凶暴な魔獣が跋扈する北の禁足地『帰らずの魔の森』。
死を覚悟したリリアナが出会ったのは、伝説の魔獣フェンリル——ではなく、呪いによって巨大な白狼の姿になった隣国の皇帝・アジュラ四世だった!
人間には効果が薄いが、動物に対しては絶大な癒やし効果を発揮するリリアナの「聖女の力」。 彼女が何気なく白狼をブラッシングすると、苦しんでいた皇帝の呪いが解け始め……?
「余の呪いを解くどころか、極上の手触りで撫でてくるとは……。貴様、責任を取って余の専属ブラッシング係になれ」
こうしてリリアナは、冷徹と恐れられる氷の皇帝(中身はツンデレもふもふ)に拾われ、帝国で溺愛されることに。 豪華な離宮で美味しい食事に、最高のもふもふタイム。虐げられていた日々が嘘のような幸せスローライフが始まる。
一方、本物の聖女を追放してしまった祖国では、妹のミナが聖女の力を発揮できず、大地が枯れ、疫病が蔓延し始めていた。 元婚約者や父が慌ててミレイユを連れ戻そうとするが、時すでに遅し。 「私の主人は、この可愛い狼様(皇帝陛下)だけですので」 これは、すべてを奪われた令嬢が、最強のパートナーを得て幸せになり、自分を捨てた者たちを見返す逆転の物語。
醜貌の聖女と呼ばれ、婚約破棄されましたが、実は本物の聖女でした
きまま
恋愛
王国の夜会で、第一王子のレオンハルトから婚約破棄を言い渡された公爵令嬢リリエル・アルヴァリア。
顔を銀の仮面で隠していることから『醜貌の聖女』と嘲られ、不要と切り捨てられた彼女は、そのまま王城を追われることになる。
しかし、その後に待ち受ける国の運命は滅亡へと向かっていた——
「異常」と言われて追放された最強聖女、隣国で超チートな癒しの力で溺愛される〜前世は過労死した介護士、今度は幸せになります〜
赤紫
恋愛
私、リリアナは前世で介護士として過労死した後、異世界で最強の癒しの力を持つ聖女に転生しました。でも完璧すぎる治療魔法を「異常」と恐れられ、婚約者の王太子から「君の力は危険だ」と婚約破棄されて魔獣の森に追放されてしまいます。
絶望の中で瀕死の隣国王子を救ったところ、「君は最高だ!」と初めて私の力を称賛してくれました。新天地では「真の聖女」と呼ばれ、前世の介護経験も活かして疫病を根絶!魔獣との共存も実現して、国民の皆さんから「ありがとう!」の声をたくさんいただきました。
そんな時、私を捨てた元の国で災いが起こり、「戻ってきて」と懇願されたけれど——「私を捨てた国には用はありません」。
今度こそ私は、私を理解してくれる人たちと本当の幸せを掴みます!
追放された落ちこぼれ令嬢ですが、氷血公爵様と辺境でスローライフを始めたら、天性の才能で領地がとんでもないことになっちゃいました!!
六角
恋愛
「君は公爵夫人に相応しくない」――王太子から突然婚約破棄を告げられた令嬢リナ。濡れ衣を着せられ、悪女の烙印を押された彼女が追放された先は、"氷血公爵"と恐れられるアレクシスが治める極寒の辺境領地だった。
家族にも見捨てられ、絶望の淵に立たされたリナだったが、彼女には秘密があった。それは、前世の知識と、誰にも真似できない天性の《領地経営》の才能!
「ここなら、自由に生きられるかもしれない」
活気のない領地に、リナは次々と革命を起こしていく。寂れた市場は活気あふれる商業区へ、痩せた土地は黄金色の麦畑へ。彼女の魔法のような手腕に、最初は冷ややかだった領民たちも、そして氷のように冷たいはずのアレクシスも、次第に心を溶かされていく。
「リナ、君は私の領地だけの女神ではない。……私だけの、女神だ」
「魔法を使わない魔術師を切り捨てた国は、取り返しのつかない後悔をする
藤原遊
ファンタジー
魔法を使わない魔術師は、役に立たない。
そう判断した王国は、彼女を「不要」と切り捨てた。
派手な魔法も、奇跡も起こさない。
彼女がしていたのは、魔力の流れを整え、結界を維持し、
魔法事故が起きないよう“何も起こらない状態”を保つことだけだった。
代わりはいくらでもいる。
そう思われていた仕事は、彼女がいなくなった途端に破綻する。
魔法は暴走し、結界は歪み、
国は自分たちが何に守られていたのかを知る。
これは、
魔法を使わなかった魔術師が、
最後まで何もせずに証明した話。
※主人公は一切振り返りません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる