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第12章:不遜なる王国の要求と、暴かれる陰謀
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エルグランド王国は、もはや限界に達していた。度重なる不作と、アルフォンスの失政により、国庫は底をつき、王都の食糧庫は空っぽになった。民衆の暴動が頻発し、治安は悪化の一途を辿っている。
追い詰められたアルフォンスと、彼を操る貴族たちが目を付けたのは、当然、豊かに潤う辺境伯領だった。彼らは、辺境領を自分たちの都合の良い食糧供給地としか見ていなかった。
ある日、一体の使者団が、辺境伯の館、もとい、今や領地の政庁として機能しているロゼリアたちの拠点へとやってきた。王太子アルフォンスの名代としてやってきた使者の代表は、リナに取り入って成り上がった、家柄だけの落ちぶれた貴族だった。
彼は、ロゼリアとバルトロ辺境伯を前に、ふんぞり返って王の命令書を読み上げた。
「王太子アルフォンス殿下のお達しである! 昨今の国家の食糧危機に鑑み、バルトロ辺境伯領は、その備蓄食糧の八割を、無償で王家へ供出せよ! これは、王国に属する臣下としての、当然の義務である!」
あまりに一方的で、不遜な要求。それは命令というより、略奪の宣言に近かった。バルトロ辺境伯が怒りに顔を赤くし、剣の柄に手をかけるのを、ロゼリアは冷静に制した。
彼女は、玉座に座るかのように堂々と椅子に腰かけたまま、冷ややかな視線を使者に向ける。
「お断りいたします」
凛とした声が、静かな広間に響き渡った。使者は、信じられないという顔でロゼリアを見る。
「な、なんだと! これは王命であるぞ! 一介の追放された女が、王命に逆らうというのか!」
「私は、エルグランド王国の法に則り、王太子殿下との関係を解消した身。そして、ここにいる領民たちは、飢えと絶望から、自らの汗と努力で立ち上がった誇り高き民です。彼らが血のにじむような思いで得た収穫を、無策と怠慢で国を傾かせたあなた方に、無償でくれてやる義理など、ひとかけらもございません」
ロゼリアの毅然とした態度は、一歩も引かなかった。
「ここはすでに、あなた方の都合で搾取されるだけの土地ではないのです。もし食糧がご入用でしたら、どうぞ、他の商人と同様に、正当な対価を支払って買い付けてくださいませ。もっとも、今の王家に、その支払い能力がおありかどうかは、甚だ疑問ですが」
痛烈な皮肉に、使者の顔は真っ赤になった。彼は捨て台詞を吐いて、逃げるように帰っていった。
だが、この交渉の裏で、ロゼ-リアはゲオルグに命じて捕らえていた人物を、別室で尋問していた。それは、使者団に紛れ込んでいた、見慣れない男だった。
男は、ゲオルグの厳しい尋問の前に、あっさりと全てを白状した。彼は、隣国であるガルバニア帝国の密偵だった。そして、彼の口から語られたのは、衝撃的な事実だった。
「聖女リナは、我らが帝国と内通しておりました。彼女の聖なる力は、我が国から提供した古代の魔道具による偽り。その見返りとして、彼女はエルグランド王国の国力を内側から削ぎ、混乱させることを約束していたのです」
全てが繋がった。リナの力の正体。原因不明の天候不順。そして、王国の急速な衰退。全ては、隣国の侵略計画の一環であり、リナはその手先に過ぎなかったのだ。
ロゼリアは、冷徹な目で地図を見つめた。アルフォンスは、この事実を知らないだろう。彼は、隣国の掌の上で踊らされているに過ぎない。
「カイ、辺境伯、ゲオルグ。……戦争の準備を」
ロゼリアの静かな声が、三人の腹心に告げられた。拒絶されたアルフォンスが、次にどのような行動に出るか、彼女には手に取るようにわかっていた。愚かな王子は、必ず力で奪いに来るだろう。
もはや、話し合いで解決できる段階は終わった。自分たちの手で築き上げたこの豊かな土地と、愛する民の暮らしを守るため、ロゼ-リアは戦うことを決意した。それは、もはや単なる交渉決裂ではない。新しい時代の幕開けを告げる、独立への狼煙だった。
追い詰められたアルフォンスと、彼を操る貴族たちが目を付けたのは、当然、豊かに潤う辺境伯領だった。彼らは、辺境領を自分たちの都合の良い食糧供給地としか見ていなかった。
ある日、一体の使者団が、辺境伯の館、もとい、今や領地の政庁として機能しているロゼリアたちの拠点へとやってきた。王太子アルフォンスの名代としてやってきた使者の代表は、リナに取り入って成り上がった、家柄だけの落ちぶれた貴族だった。
彼は、ロゼリアとバルトロ辺境伯を前に、ふんぞり返って王の命令書を読み上げた。
「王太子アルフォンス殿下のお達しである! 昨今の国家の食糧危機に鑑み、バルトロ辺境伯領は、その備蓄食糧の八割を、無償で王家へ供出せよ! これは、王国に属する臣下としての、当然の義務である!」
あまりに一方的で、不遜な要求。それは命令というより、略奪の宣言に近かった。バルトロ辺境伯が怒りに顔を赤くし、剣の柄に手をかけるのを、ロゼリアは冷静に制した。
彼女は、玉座に座るかのように堂々と椅子に腰かけたまま、冷ややかな視線を使者に向ける。
「お断りいたします」
凛とした声が、静かな広間に響き渡った。使者は、信じられないという顔でロゼリアを見る。
「な、なんだと! これは王命であるぞ! 一介の追放された女が、王命に逆らうというのか!」
「私は、エルグランド王国の法に則り、王太子殿下との関係を解消した身。そして、ここにいる領民たちは、飢えと絶望から、自らの汗と努力で立ち上がった誇り高き民です。彼らが血のにじむような思いで得た収穫を、無策と怠慢で国を傾かせたあなた方に、無償でくれてやる義理など、ひとかけらもございません」
ロゼリアの毅然とした態度は、一歩も引かなかった。
「ここはすでに、あなた方の都合で搾取されるだけの土地ではないのです。もし食糧がご入用でしたら、どうぞ、他の商人と同様に、正当な対価を支払って買い付けてくださいませ。もっとも、今の王家に、その支払い能力がおありかどうかは、甚だ疑問ですが」
痛烈な皮肉に、使者の顔は真っ赤になった。彼は捨て台詞を吐いて、逃げるように帰っていった。
だが、この交渉の裏で、ロゼ-リアはゲオルグに命じて捕らえていた人物を、別室で尋問していた。それは、使者団に紛れ込んでいた、見慣れない男だった。
男は、ゲオルグの厳しい尋問の前に、あっさりと全てを白状した。彼は、隣国であるガルバニア帝国の密偵だった。そして、彼の口から語られたのは、衝撃的な事実だった。
「聖女リナは、我らが帝国と内通しておりました。彼女の聖なる力は、我が国から提供した古代の魔道具による偽り。その見返りとして、彼女はエルグランド王国の国力を内側から削ぎ、混乱させることを約束していたのです」
全てが繋がった。リナの力の正体。原因不明の天候不順。そして、王国の急速な衰退。全ては、隣国の侵略計画の一環であり、リナはその手先に過ぎなかったのだ。
ロゼリアは、冷徹な目で地図を見つめた。アルフォンスは、この事実を知らないだろう。彼は、隣国の掌の上で踊らされているに過ぎない。
「カイ、辺境伯、ゲオルグ。……戦争の準備を」
ロゼリアの静かな声が、三人の腹心に告げられた。拒絶されたアルフォンスが、次にどのような行動に出るか、彼女には手に取るようにわかっていた。愚かな王子は、必ず力で奪いに来るだろう。
もはや、話し合いで解決できる段階は終わった。自分たちの手で築き上げたこの豊かな土地と、愛する民の暮らしを守るため、ロゼ-リアは戦うことを決意した。それは、もはや単なる交渉決裂ではない。新しい時代の幕開けを告げる、独立への狼煙だった。
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