「お前は用済みだ」役立たずの【地図製作者】と追放されたので、覚醒したチートスキルで最高の仲間と伝説のパーティーを結成することにした

黒崎隼人

文字の大きさ
5 / 16

第4話「君の魔法は、希望になる」

しおりを挟む
 森の脅威が去った後、俺とリリアは街へ戻った。
 冒険者ギルドにオークキング討伐の報告をすると、ギルド内は騒然となった。
 もちろん手柄はほとんどがリリアのものだ。俺は「偶然居合わせた協力者」ということになっている。

「まさか、あのリリアがオークキングを……」
「しかも街にも森にもほとんど被害を出さずに、だと?」

 ギルド職員も他の冒険者たちも、信じられないといった様子でリリアを見ている。
 これまでの彼女の評判は「歩く災厄」。魔法の暴発で依頼をこなすどころか、被害を拡大させることの方が多かったらしい。

 討伐報酬の金貨を受け取り、俺たちは二人で酒場へと向かった。
 もちろん祝杯をあげるためだ。

「レインさん、本当にありがとうございました」

 運ばれてきたエールで乾杯をすると、リリアは改めて頭を下げた。
 その顔は先ほどまでの不安げな表情とは違い、晴れやかな笑みを浮かべていた。

「礼を言われる筋合いはないさ。言っただろ、俺も助けてもらったって」

「でも、私の魔法が初めて人の役に立ったんです。……誰かを傷つけるんじゃなくて、誰かを守るために使えた。それが本当に嬉しい」

 俯きながらぽつりとつぶやく彼女の声は、少し震えていた。
 彼女はずっとその強すぎる力を疎ましく思い、悩んできたのだろう。
 自分の力が周りを不幸にすると信じ込んでいたのかもしれない。

「リリアの魔法はすごいよ。あんな威力、俺は見たことがない」

「でも、コントロールが……。狙ったところに全然いかなくて」

「それなら俺がなんとかする」

 俺はきっぱりと言った。
 リリアは驚いたように顔を上げる。

「俺のスキルは空間を正確に把握する力だ。君が魔法を撃つ時、俺が隣にいればいつでも正確な座標を教えられる」

「……!」

 リリアの青い瞳が大きく見開かれる。
 そこに希望の光が宿るのを、俺は見た。

「リリア。もしよかったら、俺とパーティーを組まないか?」

 これは俺にとっても大きな賭けだった。
 もう誰も信じないと、人を頼るのはやめようと決めたばかりだった。
 でも彼女を見ていると、そんな決意が揺らいでしまう。
 彼女の力になりたい。彼女の笑顔をもっと見たい。そう強く思った。

「私が……レインさんと、パーティーを?」

「ああ。君の圧倒的な火力と俺の正確なナビゲーション。二人ならどんな依頼だってこなせるはずだ。最強のパーティーになれると思わないか?」

 俺がそう言うと、リリアは俯いてしまった。
 長い銀髪が揺れてその表情を隠してしまう。

『まずかったか……?急すぎたか……?』

 断られるかもしれない。そう思った時、彼女の肩が小さく震えているのに気づいた。

「……う、嬉しい……です」

 顔を上げたリリアの瞳から、大粒の涙がこぼれ落ちていた。

「私、ずっと一人だったから……。誰かと一緒に冒険するなんて夢みたいで……。こんな私でいいなら……ぜひ、お願いします!」

 彼女は泣きながら最高の笑顔を見せてくれた。
 その笑顔を守るためなら何でもできる。俺は心の底からそう思った。

 こうして俺とリリアの二人だけのパーティーが結成された。
 名前はまだない。だけど不思議と不安はなかった。

 翌日から俺たちは早速コンビを組んで依頼をこなし始めた。
 薬草採集の依頼では、俺がスキルで希少な薬草の群生地をピンポイントで発見しあっという間に依頼達成。
 ゴブリンの討伐依頼では、俺が洞窟内のゴブリンの位置をすべて把握し、リリアが俺の指示通りに壁越しに魔法を撃ち込んで一網打尽にした。

「レインさん、すごいです!本当に言った通りの場所にゴブリンが!」
「リリアの魔法こそ反則級だよ。壁ごと吹き飛ばすなんて」

 依頼をこなすたびに俺たちの連携は洗練されていった。
 俺が敵の位置と距離を伝え、リリアがその座標に寸分の狂いもなく魔法を叩き込む。
 この戦法は面白いようにハマった。

 これまでリリアを「災厄」と呼んで遠巻きにしていた冒険者たちも、次第にその評価を改めていった。

「おい、見たか?リリアの魔法、最近は百発百中だぞ」
「ああ。隣にいるあの地図製作者の男、何者なんだ?」
「『災厄』じゃなくて、もはや『必中の神雷』だな」

 リリアはもう誰からも災厄だなんて呼ばれなくなった。
 彼女は自分の力に自信を持ち始め、その表情は日に日に明るくなっていった。

 そんなある日、俺たちは少し難易度の高い依頼を受けることにした。
 内容は古い鉱山に住み着いた岩石ゴーレムの討伐。
 ゴーレムは魔法が効きにくい。リリアの雷撃でも決定打にはならないかもしれない。

「物理攻撃に強い仲間がもう一人いればな……」

 俺がそうつぶやくと、リリアが不安そうな顔をした。

「私の魔法だけじゃ、ダメ……でしょうか?」

「いや、そういうわけじゃないんだ。ただ、もっと色々な戦い方ができると思ってな」

 俺たちは鉱山へと向かった。
 中は入り組んだ迷路のようになっているが、俺のスキルがあれば迷うことはない。
 ゴーレムは最深部にいる。マップに巨大な赤い点が映っていた。

「レインさん、あれ……見てください」

 リリアが指さす先、通路の脇に打ち捨てられたように転がっている道具があった。
 大きなハンマーと火薬の入った袋だ。

『誰かがゴーレムに挑んで、失敗したのか……?』

 ハンマーはひどく錆びつき、柄も折れている。
 だがその造りは素人目に見ても、尋常なものではないことが分かった。
 まるでそれ自体が意志を持っているかのような、力強いオーラを放っている。

 俺がそのハンマーを手に取った、その時だった。
 背後から地響きと共に巨大な影が迫ってきた。

「グルォォォ!」

 岩石ゴーレムだ。俺たちが最深部へ来るのを待ちきれず、ここまで出てきたらしい。

 リリアが咄嗟に魔法を放つが、雷撃はゴーレムの硬い装甲に弾かれほとんどダメージを与えられていない。

「まずい、逃げるぞ!」

 俺はリリアの手を掴みテレポートで距離を取ろうとした。
 だがゴーレムが振り下ろした腕が壁を砕き、その衝撃で俺たちは体勢を崩してしまう。

『ここまでか……!』

 迫りくる岩の拳を前に俺が死を覚悟した、その瞬間。
 俺たちの前に屈強な影が立ちはだかった。

「ちっ、こんな所で騒ぎやがって……。せっかく静かに飲んでたってのによ」

 そこに立っていたのはライオンのような顔立ちをした、大柄な獣人の男だった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜

東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。 ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。 「おい雑魚、これを持っていけ」 ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。 ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。  怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。 いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。  だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。 ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。 勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。 自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。 今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。 だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。 その時だった。 目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。 その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。 ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。 そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。 これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。 ※小説家になろうにて掲載中

神眼の鑑定師~女勇者に追放されてからの成り上がり~大地の精霊に気に入られてアイテム作りで無双します

すもも太郎
ファンタジー
 伝説級勇者パーティーを首になったニースは、ギルドからも放逐されて傷心の旅に出る。  その途中で大地の精霊と運命の邂逅を果たし、精霊に認められて加護を得る。  出会った友人たちと共に成り上がり、いつの日にか国家の運命を変えるほどの傑物となって行く。  そんなニースの大活躍を知った元のパーティーが追いかけてくるが、彼らはみじめに落ちぶれて行きあっという間に立場が逆転してしまう。  大精霊の力を得た鑑定師の神眼で、透視してモンスター軍団や敵国を翻弄したり、創り出した究極のアイテムで一般兵が超人化したりします。  今にも踏み潰されそうな弱小国が超大国に打ち勝っていくサクセスストーリーです。  ※ハッピーエンドです

追放されたので辺境でスローライフしてたら、いつの間にか世界最強の無自覚賢者になっていて元婚約者たちが土下座してきた件

にゃ-さん
ファンタジー
王都で「無能」と蔑まれ、婚約破棄と追放を言い渡された青年リオン。 唯一の取り柄は、古代語でびっしり書かれたボロ本を黙々と読み続けることだけ。 辺境で静かに暮らすはずが、その本が実は「失われた大魔導書」だったことから、世界の常識がひっくり返る。 本人は「ちょっと魔法が得意なだけ」と思っているのに、 ・竜を一撃で黙らせ ・災厄級ダンジョンを散歩感覚で踏破し ・国家レベルの結界を片手間で張り直し 気づけば、訳あり美少女たちに囲まれたハーレム状態に。 やがて、かつて彼を笑い、切り捨てた王都の貴族や元仲間たちが、 国家存亡の危機を前に「助けてくれ」と縋りついてくる。 だがリオンは、領民と仲間の笑顔を守るためだけに、淡々と「本気」を解放していくのだった——。 無自覚最強×追放×ざまぁ×ハーレム。 辺境から始まる、ゆるくて激しいファンタジー無双譚!

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

ユニークスキルの名前が禍々しいという理由で国外追放になった侯爵家の嫡男は世界を破壊して創り直します

かにくくり
ファンタジー
エバートン侯爵家の嫡男として生まれたルシフェルトは王国の守護神から【破壊の後の創造】という禍々しい名前のスキルを授かったという理由で王国から危険視され国外追放を言い渡されてしまう。 追放された先は王国と魔界との境にある魔獣の谷。 恐ろしい魔獣が闊歩するこの地に足を踏み入れて無事に帰った者はおらず、事実上の危険分子の排除であった。 それでもルシフェルトはスキル【破壊の後の創造】を駆使して生き延び、その過程で救った魔族の親子に誘われて小さな集落で暮らす事になる。 やがて彼の持つ力に気付いた魔王やエルフ、そして王国の思惑が複雑に絡み大戦乱へと発展していく。 鬱陶しいのでみんなぶっ壊して創り直してやります。 ※小説家になろうにも投稿しています。

追放された【才能鑑定】スキル持ちの俺、Sランクの原石たちをプロデュースして最強へ

黒崎隼人
ファンタジー
人事コンサルタントの相馬司が転生した異世界で得たのは、人の才能を見抜く【才能鑑定】スキル。しかし自身の戦闘能力はゼロ! 「魔力もない無能」と貴族主義の宮廷魔術師団から追放されてしまう。 だが、それは新たな伝説の始まりだった! 「俺は、ダイヤの原石を磨き上げるプロデューサーになる!」 前世の知識を武器に、司は酒場で燻る剣士、森に引きこもるエルフなど、才能を秘めた「ワケあり」な逸材たちを発掘。彼らの才能を的確に見抜き、最高の育成プランで最強パーティーへと育て上げる! 「あいつは本物だ!」「司さんについていけば間違いない!」 仲間からの絶対的な信頼を背に、司がプロデュースしたパーティーは瞬く間に成り上がっていく。 一方、司を追放した宮廷魔術師たちは才能の壁にぶつかり、没落の一途を辿っていた。そして王国を揺るがす戦乱の時、彼らは思い知ることになる。自分たちが切り捨てた男が、歴史に名を刻む本物の英雄だったということを! 無能と蔑まれた男が、知略と育成術で世界を変える! 爽快・育成ファンタジー、堂々開幕!

荷物持ちを追放したら、酷い目にあった件について。

しばたろう
ファンタジー
無能だと思い込み、荷物持ちのレンジャーを追放した戦士アレクス。 しかし―― 彼が切り捨てた仲間こそが、 実はパーティを陰で支えていたレアスキル持ちだった。 事実に気づいた時にはもう遅い。 道に迷い、魔獣に襲われ、些細な任務すらまともにこなせない。 “荷物持ちがいなくなった瞬間”から、 アレクスの日常は静かに崩壊していく。 短絡的な判断で、かけがえのない存在を手放した戦士。 そんな彼と再び肩を並べることになったのは―― 美しいのに中二が暴走する魔法使い ノー天気で鈍感な僧侶 そして天性の才を秘めた愛くるしい弟子レンジャー かつての仲間たちと共に、アレクスはもう一度歩き出す。 自らの愚かさと向き合い、後悔し、懺悔し、それでも進むために。 これは、 “間違いを犯した男が、仲間と共に再び立ち上がる” 再生の物語である。 《小説家になろうにも投稿しています》

追放された公爵令息、神竜と共に辺境スローライフを満喫する〜無敵領主のまったり改革記〜

たまごころ
ファンタジー
無実の罪で辺境に追放された公爵令息アレン。 だが、その地では神竜アルディネアが眠っていた。 契約によって最強の力を得た彼は、戦いよりも「穏やかな暮らし」を選ぶ。 農地改革、温泉開発、魔導具づくり──次々と繁栄する辺境領。 そして、かつて彼を貶めた貴族たちが、その繁栄にひれ伏す時が来る。 戦わずとも勝つ、まったりざまぁ無双ファンタジー!

処理中です...