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第12話「私が選ぶ未来、女王の戴冠」
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クロードの傷は、私の治癒魔法とリナリアの献身的な治療により幸いにも命に別状はなかった。ガルニア王国は、カイの騎士団によって完全に制圧され、首謀者であるガルニア王は捕らえられた。大陸を揺るがした女王誘拐事件は、こうして幕を閉じた。
そして数ヶ月後。ヴァンデルーク王国の王都は、華やかな祝祭の雰囲気に包まれていた。大陸中の国々の王侯貴族が集まり、私の正式な女王戴冠式が盛大に執り行われようとしていた。
大聖堂の祭壇へと続く真紅の絨毯を、私はゆっくりと歩む。頭上には、ヴァンデルーク王家の象徴である星をかたどった王冠が輝いている。
民衆の歓声と、仲間たちの祝福の眼差し。私は、この光景を生涯忘れないだろう。
戴冠の儀式が滞りなく進み、大司教が私を「新生ヴァンデルーク王国女王アリシア」として高らかに宣言した。割れんばかりの拍手の中、私は女王として玉座に座る。
祝賀会が始まると、各国の王たちが次々と祝いの言葉を述べに来た。その列の中に、完全に回復したクロードの姿があった。レヴァント皇国の皇帝として、彼は他の君主たちと共に恭しく私に礼をした。
全ての挨拶が終わり、祝賀会が佳境に入った頃。クロードが、再び私の前に進み出た。そして、全ての列席者が固唾をのんで見守る中、彼は私の前で片膝をついた。
「アリシア女王陛下。この歴史的な日に、レヴァント皇国皇帝として一つ、提案がございます」
彼は、真摯な瞳で私を見上げて言った。
「我が国と、貴国との間に永遠に続く強固な同盟の証を、ここに結びたい。アリシア・ヴァンデルーク。どうか、私の妃となってはいただけないだろうか」
会場中が、驚きと興奮のどよめきに包まれた。それは、大陸最強の二大国家の君主による歴史的な求婚の瞬間だった。
カイは驚き、エリオットは面白そうに口笛を吹き、リナリアは目を輝かせている。ギルバートは、感極まってハンカチで目頭を押さえている。
私は、玉座から静かに立ち上がった。そして、彼の前に歩み寄りその手を取って立ち上がらせる。
会場の誰もが、私の答えを待っていた。
私は、悪戯っぽく微笑んでみせた。
「いいえ、クロード皇帝陛下」
その言葉に、クロードの顔が一瞬こわばる。
私は、続けた。
「求婚するのは、私の方からです」
「…え?」
今度は、クロードが驚く番だった。
私は、彼の両手をしっかりと握りその蒼い瞳をまっすぐに見つめて言った。
「クロード・レヴァント。私の、唯一無二の伴侶になっていただけますか?」
そして、少しだけ声を潜めて彼にしか聞こえないように付け加えた。
「ただし、今度は私があなたを選ぶ番です。あなたは、もう私を捨てることはできませんよ?」
私の言葉の意味を理解したクロードは、一瞬、目を見開いた後たまらないといった風に破顔した。その笑顔は、私が初めて見る彼の心からの笑顔だった。
「…ああ。喜んで、君に選ばれよう」
私たちは、もう皇帝と妃ではない。皇太子と悪役令嬢でもない。
それぞれが独立した国の王として立ち、対等なパートナーとして互いの手を取り合って未来を築いていく。それが、私たちが見つけた新しい愛の形だった。
割れんばかりの拍手と祝福の中、私たちは固く手を取り合った。
そして数ヶ月後。ヴァンデルーク王国の王都は、華やかな祝祭の雰囲気に包まれていた。大陸中の国々の王侯貴族が集まり、私の正式な女王戴冠式が盛大に執り行われようとしていた。
大聖堂の祭壇へと続く真紅の絨毯を、私はゆっくりと歩む。頭上には、ヴァンデルーク王家の象徴である星をかたどった王冠が輝いている。
民衆の歓声と、仲間たちの祝福の眼差し。私は、この光景を生涯忘れないだろう。
戴冠の儀式が滞りなく進み、大司教が私を「新生ヴァンデルーク王国女王アリシア」として高らかに宣言した。割れんばかりの拍手の中、私は女王として玉座に座る。
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全ての挨拶が終わり、祝賀会が佳境に入った頃。クロードが、再び私の前に進み出た。そして、全ての列席者が固唾をのんで見守る中、彼は私の前で片膝をついた。
「アリシア女王陛下。この歴史的な日に、レヴァント皇国皇帝として一つ、提案がございます」
彼は、真摯な瞳で私を見上げて言った。
「我が国と、貴国との間に永遠に続く強固な同盟の証を、ここに結びたい。アリシア・ヴァンデルーク。どうか、私の妃となってはいただけないだろうか」
会場中が、驚きと興奮のどよめきに包まれた。それは、大陸最強の二大国家の君主による歴史的な求婚の瞬間だった。
カイは驚き、エリオットは面白そうに口笛を吹き、リナリアは目を輝かせている。ギルバートは、感極まってハンカチで目頭を押さえている。
私は、玉座から静かに立ち上がった。そして、彼の前に歩み寄りその手を取って立ち上がらせる。
会場の誰もが、私の答えを待っていた。
私は、悪戯っぽく微笑んでみせた。
「いいえ、クロード皇帝陛下」
その言葉に、クロードの顔が一瞬こわばる。
私は、続けた。
「求婚するのは、私の方からです」
「…え?」
今度は、クロードが驚く番だった。
私は、彼の両手をしっかりと握りその蒼い瞳をまっすぐに見つめて言った。
「クロード・レヴァント。私の、唯一無二の伴侶になっていただけますか?」
そして、少しだけ声を潜めて彼にしか聞こえないように付け加えた。
「ただし、今度は私があなたを選ぶ番です。あなたは、もう私を捨てることはできませんよ?」
私の言葉の意味を理解したクロードは、一瞬、目を見開いた後たまらないといった風に破顔した。その笑顔は、私が初めて見る彼の心からの笑顔だった。
「…ああ。喜んで、君に選ばれよう」
私たちは、もう皇帝と妃ではない。皇太子と悪役令嬢でもない。
それぞれが独立した国の王として立ち、対等なパートナーとして互いの手を取り合って未来を築いていく。それが、私たちが見つけた新しい愛の形だった。
割れんばかりの拍手と祝福の中、私たちは固く手を取り合った。
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