追放された【才能鑑定】スキル持ちの俺、Sランクの原石たちをプロデュースして最強へ

黒崎隼人

文字の大きさ
14 / 15

番外編「英雄たちの休日」

しおりを挟む
 王国に平和が訪れて、しばらく経ったある日のこと。
 司は、パーティーメンバー全員に、休暇を取ることを提案した。
「いつも張り詰めっぱなしじゃ、いい仕事はできないからな。たまには、息抜きも必要だ」
 という、司のプロデューサーらしい配慮だった。
 こうして、「原石の輝き」のメンバーは、初めての休日を、王都の観光としゃれこむことになった。
「うわー! すごい人! これが市場ってやつか!」
 リョウガが、子供のようにはしゃいでいる。串焼きの屋台から漂う香ばしい匂いに、早速引き寄せられていた。
「リョウガ、落ち着いてください。はしたないですよ」
 ミリアは、人混みに少しうんざりしながらも、ものめずらしそうに露店に並ぶ魔法道具を眺めている。
「見てください、司さん! あそこに、可愛い髪飾りがあります!」
「アンナさん、走ると危ないですよ!」
 アンナとレオも、すっかり王都の雰囲気を楽しんでいるようだった。
 そんな四人の姿を、司は少し離れた場所から、微笑ましく見守っていた。
 戦場では頼もしい英雄である彼らも、こうして見ると、年相応の若者たちだ。こういう時間も、彼らの成長には必要なのかもしれない。
「チームのエンゲージメントを高めるには、仕事以外のコミュニケーションも重要だからな」
 などと、また前世の癖で分析してしまう自分に、司は苦笑した。
 その時だった。
「きゃあっ!」
 人混みの中から、小さな悲鳴が聞こえた。見ると、幼い少女が、チンピラ風の男たち数人に絡まれている。
「お嬢ちゃん、一人かい? 俺たちと、いいことしない?」
 男たちが、下品な笑みを浮かべて少女に迫る。
 その瞬間。
 リョウガが食べていた串焼きを放り出し、アンナの目がカッと見開かれ、レオが少女の前に立ちはだかり、ミリアの指先がかすかに光った。
 司が止める間もなく、事態は一瞬で決着した。
 リョウガの拳がチンピラの一人を殴り飛ばし、レオの盾が残りの男たちの攻撃を完璧に防ぎ、アンナの炎の魔法が男たちの足元を威嚇するように燃え上がり、ミリアの蔓が彼らをがんじがらめに縛り上げていた。
 ものの数秒の出来事だった。
 あっけにとられる市場の人々。
 縛り上げられ、情けない悲鳴を上げるチンピラたち。
 そして、「しまった」という顔で、司の方を恐る恐る振り返る、四人の英雄たち。
 司は、深々とため息をついた。
「……今日は、休日だと言ったはずだが?」
「いや、その、体が勝手に……」
「だって、女の子が困ってたし……」
 四人は、バツが悪そうに言い訳をする。
 司は、やれやれと首を振ると、縛り上げられたチンピラたちをちらりと見た。
「まあ、人助けはいいことだ。あとは衛兵に任せて、行くぞ」
「「「「はい!」」」」
 四人は、叱られなかったことにホッとしたように、元気よく返事をした。
 その後、一行は、人気のレストランで食事をしたり、劇場で芝居を観たりと、思い思いに休日を満喫した。
 夕暮れ時。王都を見下ろす丘の上で、五人は並んで夕日を眺めていた。
「なあ、司」
 リョウガが、ぽつりと言った。
「俺、今日、分かったことがある」
「なんだ?」
「俺たちが守ったのは、王国だけじゃねえ。こういう、なんでもない一日なんだなって」
 串焼き屋の親父の笑顔。楽しそうに買い物をしていた親子。今日、自分たちが守った、名もなき人々の穏やかな日常。
 その言葉に、他の三人も、静かにうなずいた。
「そうだな。その通りだ」
 司は、リョウガの頭を、わしわしと撫でた。
「だからこそ、俺たちは、もっと強くならなきゃいけない。この平和を、ずっと守り続けていくためにな」
「おう!」
 夕日に照らされた英雄たちの顔は、決意に満ちていた。
 彼らの休日は、こうして終わった。
 明日からは、またそれぞれの才能を磨く日々が始まる。
 世界中の、まだ見ぬ原石たちを救い出し、この平和な一日を、未来永劫に続けていくために。
 司は、頼もしい仲間たちの横顔を見ながら、プロデューサーとしての決意を、新たにするのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

神眼の鑑定師~女勇者に追放されてからの成り上がり~大地の精霊に気に入られてアイテム作りで無双します

すもも太郎
ファンタジー
 伝説級勇者パーティーを首になったニースは、ギルドからも放逐されて傷心の旅に出る。  その途中で大地の精霊と運命の邂逅を果たし、精霊に認められて加護を得る。  出会った友人たちと共に成り上がり、いつの日にか国家の運命を変えるほどの傑物となって行く。  そんなニースの大活躍を知った元のパーティーが追いかけてくるが、彼らはみじめに落ちぶれて行きあっという間に立場が逆転してしまう。  大精霊の力を得た鑑定師の神眼で、透視してモンスター軍団や敵国を翻弄したり、創り出した究極のアイテムで一般兵が超人化したりします。  今にも踏み潰されそうな弱小国が超大国に打ち勝っていくサクセスストーリーです。  ※ハッピーエンドです

落ちこぼれ職人、万能スキルでギルド最強になります!

たまごころ
ファンタジー
ギルド最弱の鍛冶師レオンは、仲間に「役立たず」と笑われて追放された。 途方に暮れる彼の前に現れたのは、伝説の鍛冶書と、しゃべる鉄塊(?)。 鍛冶・錬金・料理・魔道具――あらゆるクラフトスキルを吸収する《創精鍛造》を極め、万能職人へと覚醒! 素材採取から戦闘まで、すべて自作で挑む“ものづくり異世界成り上がり譚”が今、始まる。 裏切った元仲間? 今さら後悔しても遅いぞ!

転生貴族の移動領地~家族から見捨てられた三子の俺、万能な【スライド】スキルで最強領地とともに旅をする~

名無し
ファンタジー
とある男爵の三子として転生した主人公スラン。美しい海辺の辺境で暮らしていたが、海賊やモンスターを寄せ付けなかった頼りの父が倒れ、意識不明に陥ってしまう。兄姉もまた、スランの得たスキル【スライド】が外れと見るや、彼を見捨ててライバル貴族に寝返る。だが、そこから【スライド】スキルの真価を知ったスランの逆襲が始まるのであった。

防御力ゼロと追放された盾使い、実は受けたダメージを100倍で反射する最強スキルを持ってました

黒崎隼人
ファンタジー
どんな攻撃も防げない【盾使い】のアッシュは、仲間から「歩く的」と罵られ、理不尽の限りを尽くされてパーティーを追放される。長年想いを寄せた少女にも裏切られ、全てを失った彼が死の淵で目覚めたのは、受けたダメージを百倍にして反射する攻防一体の最強スキルだった! これは、無能と蔑まれた心優しき盾使いが、真の力に目覚め、最高の仲間と出会い、自分を虐げた者たちに鮮やかな鉄槌を下す、痛快な成り上がり英雄譚! 「もうお前たちの壁にはならない」――絶望の底から這い上がった男の、爽快な逆転劇が今、始まる。

平凡なサラリーマンが異世界に行ったら魔術師になりました~科学者に投資したら異世界への扉が開発されたので、スローライフを満喫しようと思います~

金色のクレヨン@釣りするWeb作家
ファンタジー
夏井カナタはどこにでもいるような平凡なサラリーマン。 そんな彼が資金援助した研究者が異世界に通じる装置=扉の開発に成功して、援助の見返りとして異世界に行けることになった。 カナタは準備のために会社を辞めて、異世界の言語を学んだりして準備を進める。 やがて、扉を通過して異世界に着いたカナタは魔術学校に興味をもって入学する。 魔術の適性があったカナタはエルフに弟子入りして、魔術師として成長を遂げる。 これは文化も風習も違う異世界で戦ったり、旅をしたりする男の物語。 エルフやドワーフが出てきたり、国同士の争いやモンスターとの戦いがあったりします。 第二章からシリアスな展開、やや残酷な描写が増えていきます。 旅と冒険、バトル、成長などの要素がメインです。 ノベルピア、カクヨム、小説家になろうにも掲載

さんざん馬鹿にされてきた最弱精霊使いですが、剣一本で魔物を倒し続けたらパートナーが最強の『大精霊』に進化したので逆襲を始めます。

ヒツキノドカ
ファンタジー
 誰もがパートナーの精霊を持つウィスティリア王国。  そこでは精霊によって人生が決まり、また身分の高いものほど強い精霊を宿すといわれている。  しかし第二王子シグは最弱の精霊を宿して生まれたために王家を追放されてしまう。  身分を剥奪されたシグは冒険者になり、剣一本で魔物を倒して生計を立てるようになる。しかしそこでも精霊の弱さから見下された。ひどい時は他の冒険者に襲われこともあった。  そんな生活がしばらく続いたある日――今までの苦労が報われ精霊が進化。  姿は美しい白髪の少女に。  伝説の大精霊となり、『天候にまつわる全属性使用可』という規格外の能力を得たクゥは、「今まで育ててくれた恩返しがしたい!」と懐きまくってくる。  最強の相棒を手に入れたシグは、今まで自分を見下してきた人間たちを見返すことを決意するのだった。 ーーーーーー ーーー 閲覧、お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます。とても励みになります! ※2020.6.8お陰様でHOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!

隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜

桜井正宗
ファンタジー
 能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。  スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。  真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。

勇者パーティを追放された地味な器用貧乏は、 魔王軍の女騎士とスローライフを送る

ちくわ食べます
ファンタジー
勇者パーティから「地味、英雄譚の汚点」と揶揄され追放された器用貧乏な裏方の僕。 帰る場所もなく死の森を彷徨っていたところ、偶然にも重傷を負った魔王軍四天王で最強の女騎士「黒鉄剣のリューシア」と遭遇する。 敵同士のはずなのに、なぜか彼女を放っておけなくて。治療し、世話をし、一緒に暮らすことになった僕。 これは追放された男と、敗北を重ね居場所を失った女の物語。

処理中です...